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筑駒高3縁日と東大受験の自堕落な両立

自己紹介

 筑波大学付属駒場高等学校71期、2023年度東京大学理科一類進学予定。高校入学。在学中はパーソナルコンピュータ研究部及び高校化学部に所属。高3の文化祭特別班活動では縁日班アトラク部門でアーケードゲームを制作。

本記事の概要

 受験対策を真面目にやった方ではないが、おそらく僕のようなタイプは母校には少なくないはずなので少しでも後輩の参考になればということで、筑駒入学以降の経過、特に高校3年を中心に語っていく。前半は3年間の流れを日記的に書き、後半では高3における勉強について集中的にまとめる。なので、僕の学習の軌跡及び模試成績だけを見たい人は前半をとばすとよい。

高校1~2年前史

2020年高1一学期・夏休み

 入学前から注目していたパ研と高校化学部に入部。基本オンライン授業だったので競技プログラミングを主にしていた。入学したてということで自習0。この頃は独学だったので正真正銘の無勉強。日々をAtCoderに費やした。その結果AtCoderは緑中央あたりまでには慣れたが、この頃は今と比べるとメンタルが豆腐だったため伸び悩んでたため8月一度のコンテストの失敗で挫折。競プロを無期限停止。科学部ではケイ酸塩化合物によるろ紙の不燃化とかいう謎の研究を行い、これは数か月せず自然消滅。
 この頃は教科書レベルの内容は中学の延長というか事前知識でひとまず大丈夫だったが、演習は0だった。この時点で中学の頃の駿台模試最高5位の栄光が過去のものとなっていった気がする。

AtCoderにおける成果

2020年高1二学期・冬休み

 文化祭ではHR映画の編集及びパ研のpakenCTFの作問者、中高科学部のオンライン動画の編集をした。特に力を入れたのがpakenCTFで、こちらの方面に入っていったのは当時の中学部長の某氏の誘いで、セキュリティ分野に引き込まれた。この頃は僕の黎明期でろくに解いてないくせに作問をしたため、暗号分野のゴミ問を量産し、TSGの完走を阻止。終了後にクレーム襲来。科学部の方も特に進捗無し。
 この頃も基本的に学校の課題しかやっておらず、中学からやってたZ会の通信教育も周回遅れで、これではまずいということで塾までの通学の手間が省けるZ会のオンライン個別指導を11月から受け始める。理工系の研究が進路の希望だったがひとまず高みを目指すということで理科三類並みの学力を目標に。数学を週1でペースメーカーとして受講し、わずかな課題をこなす。相変わらず勉強量は極少で大半の時間をPC技能を磨くことと技術書を読むことに費やす。

2021年高1三学期・春休み

 三学期は特に言及する学校活動無し。テストは数学以外は結構よく、数学もそこそこで、課題も提出し出席良好だったため成績自体は高かった。これまた某中学部長からのお誘いで初心者向けセキュリティコンテストpicoCTF2021に個人参加、全体順位189位/6000人弱、日本中高生内順位7位/200人弱という成績を残す。なお某氏は2位。筑駒からの出場者の総得点が他校を圧倒し1位だったため学校賞の5万円を出場者5人で等分。これが春休みの出来事。また、科学部では次年度に共同でコイルガンを製作することをK.S氏とD.A氏と同意。
 勉強は相変わらず誤差の範囲で、Z会に立てさせられた計画をほぼ不履行。ただ、学校の化学の授業がかなり難しかったので補強しようと思い立ち、「化学の新研究」の読破を目標に。

2021年高2一学期・夏休み

 競プロに挫折した身でありCTF文化がパ研に根付かなかった結果パ研幽霊部員となる。実際文化祭には一切関わっていない。一方科学部における活動が飛躍的に大きくなった。まず中3のとき嗜んでいた電気工作がテーマであったこと、共同研究である意味責任がのしかかっていたことである。一学期の前半でどうにかなんちゃって設計し、6月に製作をした。しかし、昇圧回路までは動作したものの充電機構の問題で失敗。さらに信号回路も壊れて再製作の時間も予算も無いため自然消滅。基本的に設計・実装は僕がほぼ全てを担っていたため確実に僕の責任。そのまま7月の駒場小サマースクールに突入した。PVA洗濯のりの反応原理の理解はかなり苦労した。また、高2課題研究で色素増感太陽電池についてコイルガンと同じメンバー+αでやっていたため実験に追われていた時期だった気がする。
 この時期も特筆すべき勉強量ではないしそもそもあまり覚えていない。提出した計画をほぼやらなかった覚えはある。ただ、流石に数学と理科、英語のド基礎は全部終わらせてある。あと、鉄壁もまじめにやることに。基本的に問題は解かず理解に努めた。東大実戦も受けたがろくな結果にならない。

夏実戦に高2で参戦したとき。同学年でも校内最底辺。(参加してる意識高い系の中で)

2021年高2二学期・冬休み

 文化祭準備が本格化する。今年も僕はHR映画編集担当だったが、某監督と脚本家が本気出した結果編集要員の僕が死んだ。本番数日前に細かな描写について日付変わっても論争を続け、僕はそれを待つ始末。他にも科学部のレポートと動画編集、実験ショー、後は審査委員の映画審査など、仕事がてんこ盛り。準備期間も本番も仕事人間だった。文化祭が終わったころに課題研究のレポートを書き終わる。部活動なども引退し、代わりに文化祭高3特別班が始動。無事縁日班アトラク部門所属になった。
 そろそろ勉強に本腰を入れ始める。数学はZ会の課題に加え、大学への数学のスタンダード演習数Ⅲをやる。英語は課題と鉄壁に加え文法問題集"Next Stage"を始める。化学について新研究は有機のところまで入れた。物理はエッセンスを開始。国語は定期対策に単語帳を読むぐらい。また、秋から英語の授業も開始し、記述の添削をメインにしてもらった。東大実戦も相変わらずゴミ。

秋実戦に高2参戦。夏より多少ましになった。

2022年高2三学期・春休み

 課題研究の発表会があり、某化学科教師に皆詰められたが僕の班はだいたい打ち返せたと思う。あと、縁日班の企画考案なども緩くやっていた。春休みには一年遅れとなった関西地域研究があり、僕の班は天皇陵や寺社巡りをしたが、一日15km歩くのを3日続けたので疲労困憊。帰還後に縁日が本格始動。企画決めを行い、僕はアーケードゲーム制作にアトラク長として配属された。
 この頃に新研究を通読した気がする。1月ごろにスタンダード数Ⅲを終わらせ、数ⅠAⅡBの方も開始。エッセンスは原子以外を終わらせた。英語は語法まで終わらせ、鉄壁を2/3まで読んだところ。また、共テ同日と東大同日も受け、結果は下の通り。

東進共テ同日。数ⅠAが良かった。対策開始の効果が生じてきている。
東進東大同日。点数も上がり、校内受験者の中央に迫ってきた。

高校3年本史

2022年4月ー勉強

 数学についてはZ会の少量の課題の他4月末に新数学スタンダード演習ⅠAⅡBを継続。その後すぐに新数学演習に突入。物理は名問の森を開始。英語は課題+鉄壁の残り+NextStageのイディオム部分に突入。化学は読破したということでしばらく休止。国語は古文単語を適当に読む程度。

2022年4月ー学校

 筑駒高3はほぼ選択授業で空きコマが大量発生するのが普通だが僕はかなり詰めた方で英表以外取った。縁日では5月模擬文化祭に向けてのゲームの試作版を作った。グラフィック厨なので素人のくせにUnreal Engineを猛烈に推し、初めて触るC++で開発。もう一人のメンバーがアトラク部門長だったので基本的に実装という低レイヤ作業は大半を単独で行った。まだデザインは未定で、ゲームの根幹部分の策定といった感じ。

2022年5月ー勉強

 英語でNext Stageに挫折。イディオムの途中で放棄した。数学はスタ演を中旬に終わらせ、下旬から新数学演習に突入。物理は名門の森を中旬に力学まで終わらせた。化学は休止中。共テ世界史の暗記を誤差の範囲で始める。Z会の冊子と以前購入したmikanのアプリを使用。これまでもやってきたので古代オリエントまでは覚えた。

2022年5月ー学校

 模試よりも重要な模擬文化祭があった。グラフィックがとても好評でありゲームシステムも基本問題無くてうれしい。PC作業だけだったので家でも可能であり、他のアトラクに比べ先駆けて試作できた。模擬文化祭における意見などを踏まえ、大規模な変更が必要そうだったので一から新たに製作することを決定。しばらくは休憩時間。

試作版のプレイ画像。迷路はランダム生成。

2022年6月ー勉強

 6月末に新演習をベクトルまで終わらせた。英語についてはキムタツのリスニングを週1ぐらいで始めた。物理は名問の森の波動Ⅰ。化学は休止。ゲーム制作が魔境に入っているのであまり進捗は無い。

2022年6月ー学校

 リアルなマップのため自動生成アルゴリズムを自分で一から考え実装。数えきれない夜更かしの結果無事動作。

独自のマップ生成アルゴリズムのデバッグ風景。
Unreal Engineのブループリントの風景。

2022年7月ー勉強

 7模擬の後、筑駒生は夏休みに勉強すべしということで演習量を増やした。新数学演習を2/3のところまで終わらせ、名問の森は7月末で電磁気のところまで終わらせた。化学は未だ休止。英語は、理数系が弱かったので強度を落とした。

2022年7月ー学校

 マップアルゴリズムの完成を受けてマップの部屋のデザインをBlenderで行い、ランダムマップを目に見える形にした。また、ゲームシステムについてもゲームとしての体裁を整え、最低限のUIも実装した。しかし、マルチプレイの壁が立ちふさがり、そこの実装が困難を極めた。模擬文化祭の直前は徹夜気味が続き、何とか完成。しかし、直前のスポーツ大会が土砂降りだった結果雨宿りで寿司詰めとなりクラスターが発生し七模擬が流れた。無念。この時点で最低限本番で出せるレベルにまでもっていったので、一安心。例年の縁日アトラクとしては異常な進捗らしい。

ランダム生成したマップを外側から見たとき。
複数PCでのマルチプレイが可能か確認中。

2022年8月ー勉強

 上旬に夏冠が集中しており、そこはあまり厳しくは勉強していない。基本的には新数学演習の続きをその時期にしていた。また、8月頭から化学の標準問題精講を開始。下旬について、数学は課題と新数学演習、英語は課題のみ、物理も標準問題精講を開始。国語は相変わらず漢字すらやっていない。8月末には化学標準問題精講を完了。物理は1/5完了。
 模試成績についてはオープンと実戦ともに理一A理三D。

夏の全統共テ。受験者平均に近づいているのでいい塩梅?
東大オープン。志望が一つしか設定できないのはバグだと思う。理三はまず無理。
東大実戦。成長がみられる。

2022年8月ー学校

 夏休み。高3筑駒生の夏休みは1年の前半で唯一まともに勉強できる時間なので一心不乱に勉強すべし。まじめにやらないと後で慌てることになる。(経験者談)

2022年9月ー勉強

 新数学演習を上旬に終わらせた。また、物理標問は9月末で1/3ぐらいまで。英語、数学は基本的に課題のみ。この頃から、Z会の英語で過去問を古い順に丸ごと課題として出され授業中に添削されるようになる。数学の方はバラで東大の過去問や難関大の問題を解かされた。また、有機化学の過去問を下旬から大問ごとに解くようになった。

2022年9月ー学校

 縁日再始動。過去の遺物を可及的速やかに再ロードし、改善していく。最初はUIをいじくる程度のつもりだったが大々的なUI再デザイン、さらにキャラクターモーションをつけることにした。十模擬に向けての準備は順調。

キャラとUIの再実装

2022年10月ー勉強

 文化祭直前期であり、装飾が解禁されるので勉強をする時間はない。数学と英語は課題のみ、上旬までに物理標問を1/2終わらせた。上旬はつかの間の休憩=勉強時間だった。化学は上旬までで、2010年より前の有機を終わらせ、理論・無機もその半分ぐらいは終わらせた。そして無事文化祭を迎え、大団円。そして僕はなぜかこの重要な時期に共テ模試を受けている。

全統共テ。下がっている。

2022年10月ー学校

 上記の通り文化祭準備の佳境である。十模擬を成功裏に終わらせ、中旬からは木工が本格的に始まった。下旬は僕は他アトラクの応援に駆け付け、延々と赤外LEDのチェーンをはんだ付けで作っていった。200個弱はんだ付けした気がする。その後は自身のところの木工を部門長が設計し終わったので勤しむ。10月で一番きつかった。インパクトドライバを人生で初めて使ったが好感触。
 一日目は始発できて準備すると誓うが目覚まし設定の不手際で6時45分に目を覚ます。一生の不覚。急いで学校に向かった。申し訳ない。何とかセットアップを済ませる。文化祭開始直後は客が来るか不安だったがしばらくするとちびっこたちの大行列ができて非常に喜ばしかった。
 二日目、三日目も基本的に客足は途切れることなく、他アトラクも含めて大盛況であり、アトラク全停止率0%として、近年稀に見る大成功を、近年まれにみる少人数で収めることができた。皆に感謝。

前日撮影の筐体
プレイの様子

2022年11月

 すべての学校行事が終わり、以降は勉学に全振りする。なので、これ以上は勉強についてのみ書く。物理標問をやっていたが大して時間がたたないうちに秋冠が襲来。結果は以下の通り。

東大オープン。足踏み。
東大実戦。文化祭に力を振りすぎた。

 学校の団体申し込みだった秋オープンと、秋実戦で数弱ぶりが露呈したので当日に強化すべく何冊か購入。とくに役立ったのが「大学への数学 東大・入試数学50年の軌跡」である。これを古い順から数日に一回文理両方を解いていった。また、物理標問は2/3ぐらいまでやった後物理は休止。基本的に数学過去問のみの生活をする。下旬に文理両方10年分やった。また、化学の新演習も購入し、ブランクのあった有機化学の構造決定を極めようと努めた。基本的に星2~3の難問のみを解いた。英語は課題の過去問の添削とキムタツを週1で、国語は古文単語。
 月末に駿台のプレ共テを受けた。

駿台プレ共テ。若干点数が下がった。

2022年12月

 期末が終わり登校義務が消滅。50年の軌跡と新研究を順調に進める。大みそかには80年代を終わらせ、新研究も有機を一掃した。また、世界史の暗記もそこそこして、古代史はかなり覚えた。物理は休止状態。英語は相変わらず過去問添削とキムタツを少々。共テ対策は0。国語は古文単語。

2023年1月

 共テ前日まで二次数学を続けていた。共テ前に1996年度まで終わらせた。理科が休止で、他が12月の延長上。前日には共テパック、特に世界史を数回やった。他はパラパラ通読するぐらい。リスニングは感覚を取り戻すため比較的まじめにやった。そして本試。

ほぼ特攻状態で模試より60点近く上がっていた

 数日の休憩の後、二次対策を再開、引き続き1週間ほどは数学メインに。月末になると物化の過去問を再開。月末で物理と化学は2012年以前の過去問は全て一掃し、数学もおよそ2000年度まで解いた。国語はやはり放置し、英語の添削は2015年度あたりまでリスニングを間に挟んで終わらせた。
 また、下旬に、今の学力を鑑みて理一であるなら大きく下振れしない限り受かるということで理一で出願することを面談で決めた。

2022年2月

 物理・化学の過去問を合わせてセットで150分で解くという、本番と同じ形式で解くのを始めた。数学も、2010年代に差し掛かって、時間厳守で解くようにして、最後の5年分ぐらいを添削してもらった。英語は週1の過去問に加えキムタツでほぼ毎日リスニングを1年分やっており、可能な限り前日まで時間を空けないようにした。国語については中旬から古典を最新15年分を大問ごとに解き始めた。現代文については前日に2問分を眺めたぐらいである。全ての科目においてあまり時間を空けず、鈍らないように注意した。
 そうして本番となった。詳しくは後述する。ぼちぼちな感触で順当に行けば受かるはずだが、やはり合格発表までの2週間は受験前の2週間よりもよほどきつかった。

2023年3月

 無事合格。以上。嬉しさとかはなく、ただただ安堵した。

合格通知書のPDF。電子データでコストが0なのになぜか白黒。

本試感想

1/14~1/15:大学入試共通テスト

 最初の世界史についてはそこまで手ごたえがあるわけではなく、可も無く不可もなく、という印象だった。次の国語については、現代文は特に躓くことなく進められ、見直しも1~2回することができた。古文もある程度、でき、漢文も上出来だった感触である。続いての英語は、いつも通り読解を時間内に終わらせて見直しの時間も作り十分想定内であったと言える。ただ、最後の小問は例外。リスニングもほぼ聞き逃しなくこなすことができた。
 二日目は最初が数学①だったわけだが、前半の必須問題がかなり難しくなっており(そう感じた)、進捗がとてもよろしくなかったため先に選択問題の確立と整数を解いた。逆にこちらは易化したように感じる。何とか最低限の部分を抑えた後は取り逃した部分の回収を試み、9割方埋めたところで終了。数学②もそこまで変わらず、似たような塩梅である。理科については高3に入ってからは解決した物理はともかく直前にやっと90点台に引き上げた化学はだいぶおぼつかず、計算問題を可能な限り後回しにする始末だったが何とかその一部を解きまた最後の2つの小問を勘で当て5~6点近く得た。
 二日目の夜に自己採点し、ほぼ対策していないのにもかかわらず810点という理一合格者平均に迫る点数を取れたときはなかなかうれしかった。次の日の学校での結果提出もかなり気が楽だった。

2/25~2/26:東大二次試験

 一日目の朝、龍岡門に駅から行く途中の交差点で同級生と遭遇。彼はそのまま正門の方に向かった。最初の国語では、幸い現代文は比較的把握のしやすい文章で、良いペースで書き上げられた。続いての古文も、例年と比べかなり易化しており、古文が苦手な僕もかなりとれたと言える。ただ、漢文については漢詩でなかったから良いものの読めたと勘違いしていた箇所が多く、半分強から2/3ぐらいしかもらえなかったと思う。特に前半の河川部現代語訳がかなりマニアック。
 午後の数学は、最初かなり余裕がなかった。大問一を一見してとばし確率に入るが、簡単な小問であるにもかかわらず思考が沼にはまったみたいで30分間全く道筋を思いつかない。模試で毎回取れていた確率でこのざまなら落ちたな、と思いながら他の大問を見て回る。そして大問3・4・5の前半を解いた後、煩雑そうだった大問3の後半に挑む。結構長い時間をかけた後、解法の途中で式がかなり整理できたので正答を出せたと判断し大問5の後半をやる。そして大問2の解法(完全誤答)を思いついて書きつけ、その勢いで大問1も完答した。当初の分量としては4完1半だったが大問2と大問5の2番が誤答であることを発見し3完に。鬱のまま眠った
 二日目の理科は問題冊子を開ける前からだいぶ怪しかった。こんな分厚い理科の冊子は模試で一度も見たことが無い。表紙をめくった瞬間その理由がわかった。「東大ヤッたな」と。逆に異常事態であると最初から気づき周りもできんだろうと判断したため比較的冷静に解けたと思う。大問1の核分裂を半分強解いたところで大問2に移り、こちらは前ので若干オーバーしていたのでかけた時間は少し短く半分弱を解けた。続く大問3は少し悩んだが比較的早く進められた。こちらも半分強。その後の化学も構造決定がかなりややこしかった。説明なしで、初めて新研究に載っていないテーマが構造決定に出た気がする。DとHを逃したが、無事大半を埋め、2の方も申し訳程度にやった。無機は計算がそこまで多くなく3/4程度をできたと思う。逆に理論は計算をとばした結果壊滅。全体で半分か少し上ではなかろうか。
 最後の英語はしょっぱなの要約で鼻をくじかれたが1-Bを順調にこなし、2-Aもテーマがとても具体的だったので書くことには困らなかった。その後リスニングでもほぼ聞き逃さずに進められ、前半の幸先は良かったと言える。4-Bの和訳も事故を起こさず終わらせられ、5の読解もなんと易化しておりだいぶ助かった。ただ、4-Aは見てなかったが問題文が減少していたらしいので少しは見ておけばよかった。あと、1-Bの並び替え難しすぎ
 翌日の答えの確認の結果、国語が30~40、数学が50~60、理科が45~55、英語が80~90ぐらいは取れていそうだった。ただ、確率は低いが下振れを起こすと例年の合格最低点から予想した今年の調整無しのそれを下回るので、合格発表前の2週間は気が狂いそうであった。とはいえ、順当に行けば受かる点数だったので、合格発表のボタンを押した直後はうれしさではなく安堵を強く感じた。

科目概説

数学

 理系としては、僕の最大の弱点だった。一番コスパが悪かった科目である。高1・高2の少ない勉強時間のほとんどは数学であり、その後も最も多かった。だが、結局なだらかな成績上昇でしかなかったように思う。こればっかりは暗記科目とは違い幼いころからの研鑽が大事であるように思える。
 ともかく人並みに仕上げるために秋冠の後、遅いながらも一念発起し50年分解くことを決意し、無事達成して演算力はかなり上がったようには感じた。それでも得意科目にすることはできなかった。英語に次いで幼少期が大事に感じる。僕は中学のころから幾何が苦手でそれは結局治らなかったが、高校に入って座標平面忌避症も発症した。計算煩雑すぎ。なので高2の実戦ではセキュリティの暗号分野で関係のあった整数問題と、確率だけ解いた気がする。そこで、何とか直前の荒療治で計算力を鍛え何とか克服し、全般についてある程度手を出せるようにはなった。結局、演習以外にない
 解く順番については解けるものからとしか言いようがない。10分以上行き詰まったら途中でも後回しにすべし。じっくり構えるのはどの残りもそのような状況になる難問だけになってから。

英語

 僕にとっては国語に次いで対策の強度が少ない科目だった。小学生の頃に英会話や英検受検をやらされていたこともあってか、東大二次の中で最も相性の良かった科目だった気がする。結局、演習は東大形式のZ会の課題冊子と過去問しかやっていない。あとはリスニング。リスニングは少なくとも僕にとっては比較的大きな労力無しに極められ、アドバンテージになったと言える。また、共テに通ずるところがあるが読む速度が肝心であって、1-Bを抑えられるかにつながる。大問5は例年難解な小説風の文章だが1-Bは基本的に文意を理解しやすい論説文で、如何に早く正確に解くかが大事と言える。逆に4-Aは文法問題だがはっきり言って文法を確信が持てるレベルまで磨かないとあらゆる箇所が疑わしく思えるようになり、全く解けないので放置した。2-A,B、4-Bは記述で安定した点を取りたいがこれには添削者が必ず必要であろう。5に関しては運要素が多く何とも伸ばしがたい分野だった。
 僕は大問を順に解くようにしており、4-Aを飛ばして
1-A>>1-B>>2-A>>2-B>>3>>4-B>>5>>(4-A)
という順番を心掛けていた。ただ、リスニングの前に2-Bが終わるかは結構賭けである。

物理

 物化選択にとって、煩雑な小数計算がある化学と比べ文字式が基本の物理は比較的楽であると言える。結局のところ如何に十分な数の条件を見つけ出しそれを整理するというプロセスであるからだ。そこをある程度速くするのはそこまで他と比べ難しくはない。さらに、正答なら記述はそこまで重視されるというわけではないので、基本的に自習で十分であると思う。また、化学との比較を考え、計算がとびきり得意でないのなら先に物理をやるのが得策だと思う。解く順番としては前の大問からにして、各大問に等分して割り当てた時間が過ぎたら次に移るようにしていた。
 しかし、今年に限って言えば神が本郷に降臨していた。「異常な」難化であり、確かに個々の部分は高校の範囲を逸脱してはいないが、問題はその短時間の把握に必要な読解力を身につけるには膨大な演習が必要だということである。

化学

 後半の小数計算は要は幼少期から培ってきた暗算能力による勝負であり、はっきり言って元から計算が遅いと最後まで克服は困難である。子供のころから珠算はやるべし。理論化学は多少の読解力と計算力、無機は暗記であり、そこまで特別にやることはない。奥が深いと感じたのは有機化学、それも構造決定で、これは問題の出し方が非常に多様であり、幾何的なパズルに近い。このパズルを極め、短時間で安定してとることができれば、計算問題に余裕を作ることができる。解く順番は物理と同じ。ただ、計算問題については後回しにしていた。
 さて、理論と無機は有機と違い定石の色が濃く、如何に計算のルートを減らすかが重要となる。化学の新研究にはかなり細かい各情況の式などが多く記載されており、その導き方を大まかに理解しているとだいぶ時間を節約できる。

国語

 僕は理系で、大して語ることはない。反省としては、高3になる前からしっかりと古典単語をコツコツと覚えるようにすべきだったことぐらいである。あとはどうしようもない気が。ただ、古典については有名な出典であることが多々あり、そのような場合は作品内容を知っていると相当に有利となるため、有名どころの話は漫画ででもいいので古文漢文問わず確認しておくべきだ。現代文は漢字を鍛えておけばよろしい。

世界史

 僕の共テ利用は世界史だったわけだが、もう少し早めに、真面目に暗記をしていれば10点ぐらいは伸びた気がする。いずれにしろ、理系の本題ではないのでそこそこ取れるぐらいでよいだろう。


教材

※掲載しているものは最新の版であり僕の使っていたものとは一部異なる。

全般:赤本

 言わずと知れた過去問。25か年分の科目別のやつは年代順ではなく問題分類別に並んでいることに留意。

数学:大学への数学・月刊

 過去問に挑む力をつけるうえでの主力だった。各分野を満遍なく網羅するという点で「新数学スタンダード演習」のⅠAⅡB・Ⅲの2冊と「新数学演習」の合わせて3冊を主軸にした。後者の候が難易度が高く、順調にこなすことができれば終わらせ次第過去問に入るとよい。また、余裕があれば苦手克服または得意分野を極める目的で特定分野に絞った刊に手を出すのも悪くはない。

数学:大学への数学・東大入試数学50年の軌跡

 大学への数学が蓄積した50年分の過去問集である。ひたすらこれを直前期にこなせば相当な数学力が身につくはずである。特に90年代以前の東大数学は発想力ではなく計算力を極めて重視した問題が連なっており、運の要素が少ない重い計算問題への対処という点でも有効である。また、東大が数十年出してきた問題を解く中で何らかの出題の癖を感覚的ながらであってもつかみ取ることは不可能ではないかもしれない。

英語:Evergreen

 文法書。大学受験のレベルにはちょうど良い。ただ、まじめに暗記するのも相当根気がいるので、最初に軽く通読した後は演習する際の調べもの程度にするとよい。


英語:Next Stage

 文法・語法問題集。かなりの分量があり、終わらせるのには骨が折れるのに対し受験ではそこまで細かく文法について問われることはないため、優先度は低いかもしれない。

英語:キムタツの東大英語リスニング

 リスニング問題集で、無印とSuperの2冊がおすすめ。特にSuperの後半は本番以上の難易度なので、リスニングを鍛えるのにはかなりよいと感じた。Superはリスニングの過去問に混ぜ水増しして直前期に使うとよいかも。

物理:物理のエッセンス

 短くまとまった教科書のような存在で、上下2冊ある。受験テクニックなどそこまでとても詳しく書いてあるわけではないため学校の教科書でも大して変わらないかもしれない。

物理:名問の森

 比較的難問を集めた問題集。主に難関大の過去問からなっている。教科書での基礎事項の確認が済んだ後に用いるとよいだろう。

物理:標準問題精講

 100題近くの問題を難関大の過去問から選び出している問題集。過去問に入る前の演習の段階にちょうど良い。

化学:化学の新研究

 大学受験化学の聖書。辞書のような厚さであり、極めて細かく高校化学からそれ以上の内容について記載していて、東大の過去問のテーマですらほぼ全てをカバーしている。読み終わるのにだいぶ根気がいる。一回読んだらそのまま演習に突入し、随時調べものに使用。

化学:標準問題精講

 物理のと同じシリーズ、最初の演習にちょうどよい。

化学:化学の新演習

 新研究と同じ著者の問題集。かなりマニアックな問題まで出していて、特に有機化学については問題数が多かった分過去問以上に鍛えることができた気がする。問題数がかなり多いので高難度の問題だけを選んでやればよいだろう。

国語:古文単語315

 学校配布の単語帳。

世界史:ハイスコア!共通テスト攻略世界史B

 僕はこれを半分ぐらいまで読んで76点取れた。

学習経過記録

経過表

学習経過表。基本的に行き当たりばったりである。

過去問の量

数学:1971年~2020年の50年分。さらに、1971年~2000年までは文系の問題も解いているので70年分ぐらいに相当するかも。
英語:1998年~2022年までの25年分
理科:1997年~2022年までの26年分
国語:古典は2013年~2022年の10年分。現代文は2018年~2022年の5年分

冠模試成績

成績一覧表

共テ模試成績

成績一覧表

まとめ

 部活や文化祭に高3まで打ち込みながらも僕は無事理一に受かったわけであるが、今になって考えるとだいぶ賭けであったと思う。上記の事柄は全て生存者バイアスがかかっていることを考えなければならない。また、合格発表前の2週間は試験前2週間よりも圧倒的に苦痛である。後者は希望はあるが前者にはそれがないからである。僕を含めた無神論者には一層そうだ。さらに、縁日で遅くまで学校で作業していた時は「東大は浪人しても入れるが文化祭は一生に一回だけ」とか軽く思っていたが、実際に試験が迫ると、かなり心に余裕がなくなる。毎日思い浮かぶのは、「この3年間真面目に取り組んでいればこんな苦痛はなかったのではないか」という思いである。それは発表待ちのときもそうだ。今でも、「高校生活、いや高3の時間だけでも捧げれば理科三類に受かるほどにはなれたのではないか」という思いが心の奥底にくすぶっている。であるので、自堕落でなく真に両立させたいのであれば、学校生活と受験勉強のいずれでもない時間、すなわち娯楽の時間を徹底的に削り、どちらも十分な時間を取れるようにしなければ達成できない。僕が思い返す限り、僕の生活の中でそのような削れる時間は多分にあったし、大抵の人はそうであろう。結局のところ、駒場でお隣に引っ越せるかどうかはそこだけにかかっている。


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