渡辺健一郎/kenken

批評家・俳優 「演劇教育の時代」で第65回群像新人評論賞受賞。著書に『自由が上演される…

渡辺健一郎/kenken

批評家・俳優 「演劇教育の時代」で第65回群像新人評論賞受賞。著書に『自由が上演される』(講談社)。 お気軽にご連絡ください。sebatex@gmail.com

最近の記事

演技における居心地の悪さ②

読書と内言  私たちは「読書」という能力が人間にとって当たり前のものであるかのように思っていますが、しかしそこで行われていることは全く一様ではないとマシュー・ルベリー『読めない人が「読む」世界』(片桐晶訳、原書房、2024)で言われています。  この本、三日くらい前に初めて読んだのですが、まさに私が前回の記事で問題にしたこととほぼ重なる内容を書いてくれていると感じられました。私たちは「同じ本」を前にしたとき、「同じ読書」をしているのではない。「意味の解釈」が異なるだけでは

    • 演技における居心地の悪さ①

      前/後が上演される  2024年2月10日、京都芸術センター(以下、芸セン)講堂で開かれていたお茶会に参加いたしました。芸センでは定期的に、アーティストがホストとなった「明倫茶会」が行われています。多くの場合は単にお茶を飲みながら団欒する、という限りではないようです。私は初めての茶会参加でしたが、特異な体験から様々な思考が湧出してしまったので、ここに記述しておきます。  あらかじめ言っておけば、その回のホストであった演出家・村社祐太朗は、どうやら「演劇」を「広義の人間関係

      • 2023年7〜9月活動予定(演劇/批評)

        【文章】渡辺健一郎×小峰ひずみ 往復書簡(第三回)「顕れる観客」 批評家、小峰ひずみさんとの往復書簡第3回目です。「書くこと・思考のリズム」を問題にしている点で共通している私たちですが、しかしそのリズムには大きな違いがある。書くことにまつわるそれぞれのリズムは、読者=観客といかなる関係を持つのか。 【演劇】1.不労社『悪態_2307』 アフタートーク 7月23日(日) 15:00〜 フジハラビル(大阪、南森町あたり) 関西を中心に活動している劇団で、2022の若手演出

        • 【演劇】あした帰った『あなたは山になる』

          私がいま厚めに関わっている団体、「あした帰った」の演劇上演のお知らせをいたします。 ●「あなたは山になる」概要 2023/6/4(日) 15:00- @高槻城公園芸術文化劇場・大スタジオ 劇研アクターズラボ+伊藤拓也 あした帰った   出演・構成:岡部暁美 片岡志保美 斎藤ひかり ナオカ          夏小屋丸Chiering 八木智大 保田大介   調整・制作:渡辺健一郎   指導・演出:伊藤拓也  ※高槻現代劇場が取り壊しになり、この3月に新たにできた「高槻城

        演技における居心地の悪さ②

          【宣伝】デリダ『声と現象』読解講座(オンライン)

           PARA神保町にて「ジャック・デリダがわからないーー『声と現象』読解」という講座をやることになりました。芸術に関わる人のための哲学書読解講座。 前年度はベンヤミン『ドイツ・ロマン主義における芸術批評の概念』を読んだのですが、これが少なくとも私にとってはあまりに実り多く、引き続きコレという著作をやらせてもらえることになって本当に良かった。  デリダの中では地味だという扱いを受けている本書ですが、芸術に関わる人ならまずこれなのでは、という直観があります。「表現」とか「表象=上演

          【宣伝】デリダ『声と現象』読解講座(オンライン)

          渡辺健一郎×小峰ひずみ 往復書簡(1)――指導者について、書くことについて

          小峰ひずみ様  往復書簡の提案、快諾していただいて大変うれしく、ありがたく思います。……せっかくこういう形式なのにどうしても堅苦しくなってしまいそうで、適切な第一歩というのが分からなくなり、書き出しに小一時間かかってしまっている自分に苦笑しています。無理やりひねり出した書き出しが、定型的で凡庸なものになってしまうことをお許しください。  なるほど、とりあえず書き出してしまうためにも、時候の挨拶などの「型」は用いられるのだと、今思いました。返信せねばならないメールには「お世話

          有料
          300

          渡辺健一郎×小峰ひずみ 往復書簡(1)――指導者につい…