見出し画像

自治体職員必須知識 その1:すでに同性事実婚は法的に保護されている

さて、いきなり2回連続で知識創造理論の難しい話を展開してしまったので、今日は職員のみなさんにお役に立ちそうな法律のおはなしをします。
って、またお堅いハナシじゃん!!・・・ま、しかたないか。

「LGBT法」なかなか国会通過しませんねー。『この法律とおったらうちの自治体でも対応考えればいいさぁ』と思っている方も多いでしょう。
でも、実は司法においてはすでに同性事実婚が法的保護の対象とされてるの知ってますか?

同性婚の法的保護について、最高裁判所(第2小法廷:草野耕一裁判長)は、2021年3月17日これを認める判決を下してます。ひと言で内容を言うと、女性二人の同性事実婚カップルの一方が浮気をして破局。浮気をされた女性が起こした不貞行為に対する損害賠償請求を認めたというものです。
もちろん、その他の判例においても同性婚に関するものがボチボチ出始めてます。(東京弁護士会の『Libra』のバックナンバー[2021年 1・2月合併号]を参照)
厳密に言えば、国会で議論されているLGBT法案はこれらを踏まえて後追いで成立を目指しているのかもしれません。

『同性カップル条令』で保護を始めている自治体も増え始めているし、保険会社も契約内容によっては同性パートナーを受取人に指定するのOKだったり、携帯電話会社によっては家族割サービスの対象にしてるところもある。すでに法律がなくとも社会が動き始めているってことだ。

それじゃあ自治体はどうしたらよいの?と当然なる。多くの自治体は国の法案通過を待ってこれに対応しようとしているようだけど、すでに司法が認めている以上、LGBT法がない現状であっても異性事実婚と同じ対応をしないと「自治体が我々の事実婚状態を認めず同性であることを理由に差別的な扱いをしている!」と言う行政訴訟を同性カップルから起こされた場合、不利になる可能性はかなり高い。
「いやいや、民法上の事実婚と行政法上の事実婚は厳密には扱いが別だから」確かにそうだが、これだけ社会的認知が広がり、判例も人権保護の流れが色濃いことを考えると、『うちの自治体は対応進んでなくて…』では済まないだろう。

今回の同性カップル対する問題のみならず、自治体は率先して時代の流れをつかみ、法律に頼らず自治立法権を行使して自分たちのまちをアップグレードしていくべきじゃないだろうか。特に国会の立法機能が残念ながら時代のスピードに追いついていない現状と、解釈権の行使だけでは不十分な案件が増えていることに不安を覚える。

地方から新しい動きがはじまり、それが変革の波となって日本がさらに良くなることを夢見ている自分としては、各自治体の首長・議員・職員の方々にはぜひ頑張っていただきたいと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?