アはアーケードのア 第37回『三輪サンちゃん』(1984年/セガ)

ターゲット収集型のスピーディなアクションゲーム

 メガドライブミニ2で『三輪サンちゃん』をしばらく遊んでみました。

 当時、とても気に入っていたのに行きつけのお店になく、あまり遊べなかったゲームの一つだったので感激しています。

 プレイしてみて改めて感じたのが、とんでもなくテンポがいいこと。動きがクイックでフィールドの広さもコンパクトなので、短期決戦型であっという間に1ステージが終わる。

 このスピード感って同社の『フリッキー』『テディボーイブルース』『アップンダウン』辺りとも似ている感じがしますね。

 どれもタイムボーナスをつけることでスピードクリアに誘導している、という面もあるけれど、たぶん順序は逆なのでしょうね。ゲームの仕様がスピードクリアと相性がいいから、タイムボーナスというフィーチャーもうまく噛み合っている。そこで繰り広げられる攻防はかなりの密度。

 また、これも改めて思ったのですが、良作揃いの同時期のナムコにも、こういうスピード感を持ったゲームって(あるけれど)少ない気がします。良し悪しの話ではなくて、メーカーのカラー、つくりかたの違いなんでしょうね。ナムコは大体時間に囚われず、じっくりプレイするタイプのゲームになりがちというか。

 当時はそのナムコの長時間プレイに耐え得る構成がプレイヤーから高く評価されていた面があって、それは今も間違ってないと思うのですが、コンシューマという環境で改めてセガのこれらのゲームを遊ぶと、キビキビしていて当時の印象以上にすごくいい。

セガらしさ炸裂のダイナミックな動きが気持ちいい

 『三輪サンちゃん』の話にもどりますが、サイドアタックのとき、フェンスの向こう側のレーンまでキャラクターが大胆にはみ出すのに、そのレーン上にターゲットがあっても取ることはできない。もちろん取れたら単純すぎてゲームとしてダメなのですが、何というか、絵的にすごく強引な仕様でおもしろい。

 当時、よく遊ばれていたかたには伝わるかと思うのですが、『フリッキー』や『アップンダウン』って、特徴的な力技の吸い込み処理がありますよね。

 『フリッキー』だったら、フロアに飛び乗るとき、かなり高さが足りてなくても強引に座標補正がかかって着地できてしまう。

 『アップンダウン』だと、ジャンプからの着地時にけっこう道から外れていてもミスにならず、やはり強引な補正で引きもどしてくれる。

 ぼくはあの感触が大好きなのですが、『三輪サンちゃん』のサイドアタックのダイナミックさにはあれらの系譜を感じます。

 それから、敵の強さの序列がとてもロジカルで美しい。3種の敵がいて、それぞれ、①サイドアタックでもブロックでも倒せる ②ブロックでのみ倒せる ③どちらでも倒せない。役割として過不足がない。

 一点、遊んでいて戸惑ったのが、2ステージ目以降、開始演出もウェイトタイムも一切なしにゲームが始まること。こんな仕様だったなんてまったく忘れていました。なかなか珍しい作りです。ミス時は毎回風船からの着地演出が入るのに。

ミス時にステージの頭にもどされるか否かを切り替えられる

 ボーナスステージはフルーツを集めながら時間内にゴールを目指すミニゲームになっています。ルールを忘れていてちょっとおもしろかったのが、フルーツはあくまで任意で、しかも残りタイムもボーナスにならない。ゴールさえできれば、あとは好きにしろというつくり。

 このミニゲームの構成だとフルーツも全部取らないとゴールできない仕様にしそうな気もするのですが、そうはなっていない。また、メインゲームではタイムボーナスを重視しているのに、こちらはそれがない。その対比がおもしろいですね。

 このコラムの元になったツイートをした際にリプライをいただいてやっと思い出したのですが、フルーツを一つも取らずにゴールするとシークレットボーナス(EXTRA BONUS)があるんですね(自分でも改めてプレイして試してみました)。このシークレットボーナスがあるからフルーツが任意になっていたのか。おもしろい。

 あと、メガドライブミニ2版のOptionにStage Resetという設定項目があって、どういう設定かと思ったら、ミス時にステージの頭にもどされるか否かを切り替えられるんですね。やはり他のかたのツイートを見たら、アーケード版からあったディップスイッチ設定とのこと。かなり珍しい仕様な気がします。 了

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?