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4月26日、兄へのメール

今年からのコロナ禍で状況がどんどん悪化するなか、信州の高原に住んでいる兄へ、母のデイサービスを休ませていること、休ませた結果、認知機能の低下が進んでいることをどう伝えるか、頭を悩ませ、メール慣れしてはいない兄に長い熟考の末にやっとメールをした。

もちろん、メールを書かなかなければならないと思っていたが、少年期から思春期から受けた(こちらの主観的な)被害で得た一方的なぼくの距離を置きたい思いからまだ逃れられずにいる。でも兄は兄で大学出たあとずっとまっとうに社会人をやって今第二の人生を送り、我が家に年に二回長期帰宅している間は、お互いに大人な付き合い、逆に言えば遠慮ある付き合いをしてきたので、どう伝えるかはけっこう頭の中で考える時間が長かった。さまざまな意味で感染状況も悪化しているGWすぐ前なので、考えた末のメールだった。以下、メールの内容を公開する。

T兄

お久しぶりです。年末はご挨拶の歳暮をいただいたにも関わらず、返礼もせず申し訳ありませんでした。突然のメールで失礼します。

コロナ渦の危急のなか、僕も自分の仕事の時間以外はどこにも行かず在宅しています。
やはり母への濃厚接触による感染が怖く、極力ウイルス感染はしないように格別気をつけています。

デイサービスも、北海道独自の2月下旬の知事緊急事態の2週ほど前から通いを休ませています。
その分、訪問リハビリをもう一日増やしてもらいました。
母もそれ以降、外へ出かけることがなくなり、ぼくも悩みましたし、葛藤もありましたが、やはり感染リスクのほうが怖いと思い、休ませる決断を優先しています。

ですから、申し訳ないことに、かなり母の認知機能の低下は進んでいます。(デイサービスに通わせる刺激が無くても同じようになっていた可能性も否定できないかもしれませんが)

ただ、食欲はあるし、自分で入浴、排泄も自立できています。

ですが動きは少なくなり、起きてはいても一日ほとんどソファーで寝ています。寝て目覚めると、意味不明なことや夢の続きのようなことを現実の事として訴えます。下半身の動きも少し落ちてきました。

幸い、訪問リハビリの方々が大変良く対応してくれていますし、洗髪の人も快活に母に接してくれているので助かります。母自身は幻覚のような話や、自分の実家の家族や親族がいまここにいるかのような、あるいは祖父、祖母が我が家に住んでいると思い込む話を頻繁にしていますが、基本的には穏やかで、もともと攻撃的な性質ではないのでそこも助かっていますが、認知機能を考えると、今回の決断で半年から1年くらいは機能悪化を進めてしまったのではないだろうか、と母には申し訳ない気がしています。

ただ、市内で基幹病院で相当な院内感染が広がりを見せており、道央のグループホームから出たクラスターから、ほかの同地域の病院、そこに併設されているデイサービスにも感染が広がっており、やはり現状ではまず外へ出すのは難しいです。
訪問サービスも緊急性が高まってきているのか、母のマスク着用、サービス時間の厳守などのお願い文書が回ってきています。

食事については、平日は夕食は毎日配食サービスを利用しており、僕も同伴して夜の食事には、なるべく一緒に時間を過ごすようにしています。

おそらく北海道は感染の第二波が来ているのではないかと思います。
そちらは如何でしょうか?観光を含め社会活動全体が自粛状態かもしれないですね。

母は「寂しくない」と言ってますが、無自覚の内に退屈しているために(というか、現状自体を理解できていない感じです)ほとんど寝ているのかもしれません。
当面、訪問サービスを利用しながら、少しでも長く在宅生活維持をしていきたいです。

いましばらく現状でケアマネさんや訪問サービスの人と連絡を取りながら多すぎず少なすぎない刺激を与えながら、機能低下も少しずつ抑えて生活できればと思います。

この新型感染症は正直憎いですが、致し方ないです。
認知症の進行は一緒に過ごしていて少々つらいですが、静かで落ち着いた生活をしているので、どうかご安心ください。

現状をお伝えしました。
そちらでもなかなか自由がきかない時間が続くと思いますが、ご自愛ください。
義姉さんにもどうかよろしくお伝えください。


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