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北海道大学准教授・川田学准教授インタビュー(乳幼児研究)

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新しい時代の乳幼児研究の先駆者と見てもよい北海道大学の川田学先生へのインタビューです。2016年のものですが、現在改めてじっくり読んでもらいたいものです。
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北海道大学大学院 教育学研究院 附属子ども発達臨床研究センター

川田学准教授インタビュー・1(2016)

北海道大学大学院 教育学研究院 附属子ども発達臨床研究センター 川田学准教授インタビュー・1(2016)

        歴史と社会状況の中で子どもは生まれる

川田:私はどちらかと言えば保育とか子育て支援とか、実践領域としてはそちらなんですけども、そちらの領域でも戴いたこの、『ひきこもる心のケア』という本。このようなコンセプトの本を作ったらいいんじゃないかと思いましたね。

■例えば専門家の方にインタビューするようなものですか?

川田:そうですね。親自身が専門家に話を聞くのもいいですしね。保育者が

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川田学准教授インタビュー・2 (2016)

北海道大学大学院 教育学研究院 附属子ども発達臨床研究センター 川田学准教授インタビュー・2 (2016)

        最初から心理学を志したわけではなかった

■なるほどわかりました。その本もぜひ拝読したいと思います。で、なかなか難しいですよね(笑)。ワロンに関してどういう話をするのかというのは難しい。いろいろちょっと難しいと思ってどういう風なお話を展開していったらいいかなと思ったとき、川田先生の研究室のプロフィールを読んだとき、これがわかりやすいかな、と。

川田:ははははは(笑)。

■(笑)

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川田学准教授インタビュー・3 (2016)

北海道大学大学院 教育学研究院 附属子ども発達臨床研究センター 川田学准教授インタビュー・3 (2016)

           新生児である赤ちゃんとは?

■ひとつのキモとして、ワロンを考える場合に新生児をどう捉えるのかというのを本当に細かく書かれているので、どこをどう「こうです」ともいえないと思うんですけど。やっぱりひとつポイントになるのは、「交代遊び」とか、「一人二役対話」みたいな。まあモノローグというか、まあ家族とかを真似るみたいな、自分の中でひとり二役の対話みたいなのをはじめるのでしょうけど

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北海道大学大学院 教育学研究院 附属子ども発達臨床研究センター
 
川田学准教授インタビュー・4 (2016)

北海道大学大学院 教育学研究院 附属子ども発達臨床研究センター 川田学准教授インタビュー・4 (2016)

             「内なる他者」

■で、引き続きワロンの話で、最初その、何でしょう?「交代役割遊び」とか、そのあとに続く「一人二役遊び」みたいなこと、まあひとりごと。確かにそういう風に言われてみると子ども、幼児かな?“やってるなあ”見たいな感じはしますし、僕自身やってただろうなと思うんですけど。そこからこう、「内なる他者」というものが生まれるという。自分に付随して。自分の中に他者性みたい

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北海道大学大学院 教育学研究院 附属子ども発達臨床研究センター
 
川田学准教授インタビュー・5 (2016)

北海道大学大学院 教育学研究院 附属子ども発達臨床研究センター 川田学准教授インタビュー・5 (2016)

定型か非定型かのグラデーション

■ある意味で研究のありようみたいなこともその時代の影響を受けてしまっているということもあるということですね。で、そこでやっぱり微妙と思われる部分で言うと、いわゆる最近の発達のスペクトラム。つまり「定型か非定型か」みたいなグラデーションといいますか。スペクトラムみたいなことですが。まあ端的に言ってしまうと、発達障がいといわれる言葉の流通がひとり歩きしてしまっているよ

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川田学准教授インタビュー・6 (2016)

北海道大学大学院 教育学研究院 附属子ども発達臨床研究センター 川田学准教授インタビュー・6 (2016)

          発達の文化差

■集団活動をはじめるということもあるんでしょうかね?

川田:集団活動をはじめるということもあると思います。ただ文化差も最近報告されていて、それもちょっと面白くて。実際には何か紙芝居みたいなもので実験したりするんですけれども。典型的な課題というのは二人の、例えばAちゃんとBちゃんがいるものとして、それでまあ、杉本さんが子どもとしまして、紙芝居みたいなものを見せる

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川田学准教授インタビュー・7 (2016)

北海道大学大学院 教育学研究院 附属子ども発達臨床研究センター 川田学准教授インタビュー・7 (2016)

     日本人はひきこもりマインドを持つ?

■いまのお話でいくと、同じ島国でもイギリスは逆ですね。

川田:イギリスは真逆なんですよね。

■というのは、あれですかね?自然の土地柄が悪いからですかね?

川田:あれはまあ、宗教とかそういうのもあるんでしょうけれども、やっぱり何でしょう?基本的にはイギリスも含めてヨーロッパは人間の流動性も高いですよね。で、日本くらいじゃないですか?このひとつの国

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