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(解説)建設現場におけるアスベスト被害の補償と法規制

   猿倉健司弁護士が、建設現場におけるアスベスト被害の補償と法規制に関して、AIG損害保険株式会社のホワイトペーパー(「建設現場におけるアスベスト被害の補償と法規制」」)に寄稿しました。


「建設現場におけるアスベスト被害の補償と法規制」(2022年1月4日)


国土交通省の発表 によると、アスベスト含有建材が使用されている建物の解体工事は急激に増加してきており(2018年は約6万棟)そのピークは2028年前後(約10万棟)であると推計されており、今後もアスベスト含有建材を使用している建物の解体等工事は増加することが見込まれます(2038年でも約7万棟)。

 建設現場においてアスベスト含有物質に起因する健康被害が生じた場合には、現場作業員等から、その所属企業・建材メーカー・国に対して多額の賠償請求がなされるリスクがありますが、これまで実際に数多くの訴訟が提起され、慰謝料その他の損害賠償金の支払い命令がなされています。

また、アスベスト健康被害に対しては、各種の補償・給付金制度が用意されているところ、2021年5月17日にいわゆる建設アスベスト訴訟に係る最高裁判所の判決が下され、同判決を契機とする「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が成立し、新たな補償制度も導入されています。

そのような状況下で、アスベストにさらされるおそれのある従業員の安全衛生等を保持するため、2020年6月に大気汚染防止法、2020年7月に石綿障害予防規則の改正がなされています。
各アスベスト規制は下請企業の作業員も対象としており、その違反には刑事罰が科される可能性があることから十分に留意する必要があります。

上記のアスベスト含有物質に起因する法的リスク(今後の工事におけるリスクも含む)への対応や改正法による規制強化への対応については、近時問い合わせや相談が数多くみられるなど大変関心の高いところですので、特に注意が必要となります。

              【目 次】
1.   はじめに(アスベストによるリスクの増加)
2.   アスベストによる健康被害の概要
3.  アスベスト被害補償を巡る近時の動向
 (1)  アスベスト健康被害に係る裁判
  ①  アスベスト訴訟の嚆矢
  ②  建設作業員による所属企業に対する訴訟
  ③  建設作業員による建材メーカーに対する訴訟
    (建設アスベスト訴訟)
 (2)  アスベスト健康被害に対する補償
  ①  アスベストによる疾病の労災補償
  ②  アスベスト健康被害救済給付制度
  ③  建設アスベスト給付金制度
4.   アスベスト関連法令の改正
 (1)  規制の概要と問題点
 (2)  大気汚染防止法及び石綿障害予防規則の2020年改正による主な変更点
 (3)  下請業者の責任
 (4)  違反行為への罰則
5.   アスベスト関連法令の改正を踏まえた建設業者の対応
 (1)  建設業者の負うリスク
  ①  アスベスト関連法令違反による罰則
  ②  建設作業員に対する損害賠償
  ③  発注者・物件居住者等に対する責任
 (2)  今後必要となる対応


牛島総合法律事務所 パートナー弁護士
猿倉 健司

(参考)『不動産取引・M&Aをめぐる環境汚染・廃棄物リスクと法務』


牛島総合法律事務所 パートナー弁護士 / 環境コンサルタント
猿倉健司

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牛島総合法律事務所  Ushijima & Partners
E-mail:  kenji.sarukura@ushijima-law.gr.jp
TEL: 03.5511.3244 (直通)
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