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愛猫のオシッコがOKでも腎臓がOKとは必ずしも言えないのね

ども。今回は猫にありがちな腎不全と膀胱炎のお話です。前回の記事で健康診断をおすすめしたこととも大いに関係があります。

皆さんは猫を飼う上で愛猫の腎臓の状態を気にかけていますよね? 私は愛猫の腎臓の状態について気にも留めていない方などまずいないと思っています。

猫を飼っているのであればどなたも、おしっこ・飲水量・フード・トイレには気を使っているかと思います。

もう少し具体的に言えば

・おしっこの回数や量の変化
・水飲み場の高さの見直し
・新しい水への交換頻度を増やす
・フードは猫下部尿路疾患(FLUTD)対応のもの
・トイレの片づけは早めに行なう
・自宅での尿検査(pH値)

これらは私がゲンが元気な頃から実践していたことです。
自宅での尿検査(pH値)の実施についてはここ6、7年くらいですね。

私の猫に関する記事をいつも読んで下さっている方々は、猫の健康についてとても意識が高く、強い関心を持たれている飼い主さんであると思われます。

そういった意味では見る人が見れば、ごく当たり前のことをしていたに過ぎないのです。

話を戻しますと、猫と言えば腎臓病。腎臓病といえば尿。尿といえばpH値。

私が一体何を懸念して自宅でpH値を調べていたかというと、それは皆さんよくご存知の「ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石」の可能性ですね。

何しろ猫は2日おしっこが出なかったら死ぬかも知れない。
結石が超コエー、特にストルバイトがヤベー、みたいな。

てな感じで自宅でpH検査を実施していた訳です。

pH値は試験紙を使えばご自宅でも容易に調べる事が出来ますのでおすすめですね。

そもそもpH値とは水素イオン指数のことです。
具体的にはその液体が「中性」か「アルカリ性」か「酸性」かを示す値です。

数値は普通1から14までの値で、

7が真ん中の「中性」
7より小さいと「酸性」
7より大きいと「アルカリ性」となります。

【酸性】
マグネシウムやリンの結晶は溶けて尿と共に排出されるので基本的にはOKですが、pH値が6未満ですと「シュウ酸カルシウム結石」の懸念があります。

【アルカリ性】
最も有名なストルバイト結石などの猫下部尿路疾患(FLUTD)の懸念があります。

pH値7が中性ですので、ならばpH値7の中性がベストかというとそうでもなく、ベストは中性よりもやや酸性寄りのpH値6.0~6.5の弱酸性がベストだそうです。

但しpH値は1日の中でも、朝起きてすぐや食後などの時間帯によって変化するそうです。

空腹時は酸性→食後はアルカリ性→やがて酸性に戻るといった具合に。

pH値の計測方法につきましては、

我が家では「HYDRION ロールpHチェッカー」というpH試験紙を使っていました。理由はpH5.5から8.0まで基本的に0.2刻みで細かく計測できるからです。値段は2500円位と他の試験紙と比べてかなり高いですが…

数百円で買えるpH試験紙もたくさんありますが、計測範囲が0.5刻みや1.0刻みなどちょっと範囲が粗いですね。

でもまあ、あくまでも自宅での簡易チェックですから0.5刻みでも十分なのかも知れません。

私が実践していた使い方は、試験紙を長さ7cmほどにカットして未使用の割りばしの先端に挟んで、猫が排尿しだしたら素早く差し出して試験紙を尿で濡らします。そして時間を空けずに色を確認します。

「HYDRION ロールpHチェッカー」でしたら、オレンジ色の試験紙が黄緑色の6.2あたりに変色するのが理想だと思っていました。ゲンも大抵の場合ほぼそのあたりでしたので尿の状態はまあまあOKだろうとね。

また、ゲンがトイレに入ってから準備しても間に合わないので、割りばしに試験紙を挟んでセットしたものを常にトイレのそばに置いていましたね。

何しろ猫は足音を立てずにトイレに入りますから、ザッザッと猫砂を掻く音が聞こえたら時すでに遅しです。

ですので愛猫がどのタイミングでオシッコをする傾向があるのかをまずは把握する必要があります。時間帯・時間間隔・食後にするしない等々。

ゲンは食後にほぼ必ず水を飲んでいました。そしてトイレへ行くという。

もちろん食後の度に毎回トイレへ行く訳ではなく、8~11時間位のインターバルでトイレへ行っていましたね。

ですので私の場合は、前回のトイレが何時頃だったかを記憶しておいて、今回の食後に行くだろう行かないだろうを予測していました。行きそうな場合は心を落ち着かせて待機します。

こちらが焦っていると気配を感じてオシッコをするのを止めて、トイレから出てくる場合も多々あるので、なるべくオシッコをしだしてから試験紙を差し出すようにしていました。

耳を澄ますと排尿の音が聞こえたりもしますからね。もしくは確実にじっとしたら試験紙を差し出すようにすれば良いかと思います。

そして、なるべく正確に計測するには試験紙を尿で濡らしたら速やかに確認することです。

時間経つと尿による本来の色が別の色に変色してしまうそうです。

そうは言っても何分・何十分も経ってから確認する人などはいないでしょうから、その場、数秒以内であれば問題ないと思います。

ほかにおしっこ関係で自宅で気付けることとしては「多飲多尿」があります。

ちなみに猫は水をあまり多く摂らない動物らしいですね。猫の紀元は砂漠地帯だからそもそも飲水量が少ないのだとか…

そんな訳で猫は少ない飲水量で尿を作るので、その尿にはたくさんの毒素が凝縮されているそうです。

それだけ毒素濃度の濃い尿を作るということは、腎臓への負担がとても大きくなるということなので腎臓が弱りやすいという事につながるということですね。

ちなみに「多飲多尿」は腎不全の代表的な初期症状だそうです。

体への水分の吸収が上手くいかず必要な水分までもが尿として出てしまい、
結果、水分不足ってことで大量の水を飲むという。

そしてまた大量に排尿する、また大量に飲むというスパイラル。むやみやたらに腎臓を働かせれば弱るのも当然です。

尿の特徴としては匂いがなく色の薄い尿がたくさん出るそうです。

ゲンは「多飲多尿」ということはありませんでしたが猫にとって腎不全は避けては通れないと思い、療法食を与えたりもしていました。

まあとにかく愛猫がたくさん水を飲んでいる場合は要注意ですよ。

「この子はお水をたくさん飲んでたくさんおしっこをする、結構結構!」

っていう飼い主さんってかなり多くいそうです。おしっこが出ないのはマズイが、出てるぶんにはオッケー牧場みたいな。

ヤバいかも知れませんよ。そういう発想。

ヤバそうかヤバくなさそうかの判断につきましては、まずは愛猫の普段の飲水量を把握することですね。

そうすれば飲水量の多い少ないに基づいて、早期に愛猫の腎臓の不調を察知できるのでは?と思います。

あと、多飲多尿ではなく「頻尿」というのも知っておきたいところです。
「多尿」と「頻尿」は別物ですからね。

「頻尿」とはそのまんま頻繁におしっこをするということです。

猫の正常な排尿回数は1日3回まで。4回、5回という回数は一般的に多過ぎで膀胱炎の可能性が大のようです。

おしっこが出ないのも困りものですが、しょっちゅうしているのもダメだという…難しいところです。

あとはまあ「血尿」ですね。ゲンも闘病中に血尿を発症しました。

血尿の原因は様々で、細菌や原因不明の膀胱炎や尿道炎、尿路結石などの下部尿路疾患、ストレス・腫瘍・ネギなどの食中毒等々。

ウロアクトプラスPE クランベリーU液などのサプリもありますが、おしっこに血が混じっているのが明らかであれば、グズグズしていないでさっさと動物病院へ連れていくが吉だと思います。

以上ここまで「結石・多飲多尿・血尿」というおしっこトラブルを見てきた訳ですが、ウチの猫はおしっこの心配がないので腎臓は正常だと判断するのはとても危険だと思います。

もしかしたら異常に気付かなかっただけかも知れません。

猫の腎臓は人間同様に確実に衰えていき、決して回復はしません。

昨年末に亡くなった母も死因こそ腎不全による尿毒症ではなかったものの、長年慢性腎不全ステージ4の人工透析の一歩手前で、亡くなる直前には腎機能eGFRは12、3%まで低下していました。

人間には人工透析という最終手段がありますが、猫には腫瘍マーカーがないのと同様に人工透析もありません。

いや、ないと断言するのは良くないですね。一般的に広く普及していないと言った方が適切かも知れません。

犬猫の人工透析、腫瘍マーカーも無い訳ではない、あるっちゃーある様です。

また、腎機能を評価するSDMAという血液検査の新項目は普及が進んでいる様です。

しかし現在猫の腎機能を知る上で広く普及しているのは人間同様、クレアチニン(CREA)・尿素窒素(BUN)などの測定です。

そう、クレアチニン等にしろSDMAにしろ、いずれにしても血液検査なのです。

採尿なら自宅で自分で出来ますが、採血は往診でもしてもらわない限り自宅では出来ませんよね?

いくらおしっこに異変が見られなくても腎臓が正常とは限らないって話です。

要は私的には、
膀胱(おしっこトラブル)と腎臓は切り離して考えるべきということです。

皆さんは愛猫のおしっこを気に掛けていると思いますが、それって腎臓を心配しているんですよねぇ?

本当に腎臓が心配なら動物病院で健康診断(血液検査)一択ですよ。

うーむ…最近やたら元気ないから心配で動物病院へ連れて行ったら慢性腎不全ステージ3だって…マジかよ、おしっこは大丈夫だったのによ…

こういうケースってとても多そうです。

なんだよ! おしっこがOKだったら腎臓はオッケー牧場なんじゃねーのか? みたいな。そうです、オッケー牧場とは限りません。

なので愛猫の腎臓が心配なら半年に一度は健康診断に連れて行って下さい。どうせあとでジタバタしたり後悔したりするのですから。

ちなみに猫の腎臓の状態を知るのは血液検査だけではありません。

実は尿でも分かるのです。獣医さんによっては血液検査よりも重きを置く方もいるそうです。

それは「尿比重」というものです。
早い話が、

尿比重が高ければ尿は濃いということで正常
尿比重が低ければ尿は薄いということでヤバい

ってことです。

ですので愛猫を健康診断に連れて行くのがしんどい方にはその打開策になるかも知れません。

でもまあ、一度はがんばって愛猫を動物病院に連れて行き、健康診断をしてもらいその際に「尿比重」ってものがあるらしいですけど…などと聞いてみるのが良いかも知れませんね。

愛猫を連れて来るのは結構大変なので、自宅で尿を採取して私がそれを持参してチェックしてもらうというのはアリでしょうか? などとね。

あとはその獣医さんのリアクション次第ですね。

しかし尿比重自体を知らなければそういう展開にはならなさそうなのでとりあえずは知っておいた方が良いでしょう。

ま、獣医さん自ら「次回からは尿を持参してくれれば必ずしも猫ちゃんは連れて来なくても良いですよ」などと言ってくれたら助かるとは思いますが…

ただ「尿比重も大切ですが血液検査もセットで検査すべきです」との判断をされる可能性も普通にあり得ることは留意しておくべきですね。

あと、私は使った事がありませんが自宅で尿比重を計測できる「尿比重計」なるものが3~4万円しますが市販されているようです。

ATAGO製が有名のようで解説もあります。こちらです

ちょっとお高いですし、精度的に絶対的な信頼をしてしまって良い商品なのか疑問は残りますので、動物病院での健康診断をメインにしつつ日常的な簡易検査として用いるのがベターなのかな?とは思います。

あとは何かあったかな…うーん、ちょっと思い浮かばないので今日はこの辺で。

以上、愛猫のオシッコがOKでも腎臓がOKとは必ずしも言えないのね でした。ありがとうございました。


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