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今こそ、優秀人材獲得の前例のない好機

  Harvard Business Review の最新記事から「いまこそ、優秀な人材を獲得する前例のない好機である」。
  新型コロナウイルス感染拡大により世界中の企業が存続すら危ぶまれる危機に直面しています。経営が苦しくなると多くの企業が新規採用を停止したり大幅に縮小したりしがちですが、危機後の成長を見据えるなら人材への投資は控えるべきではありません。

  筆者は、むしろ優秀な人材を獲得できるチャンスであり、史上最大の危機がすなわち前例のない人材確保の好機が訪れたと主張しています。

  記事で引用されたエコノミスト誌のデータによると、有能な人材の不足を懸念するCEOは2012年の50%から80%に増えています。一方で経営トップの外部招聘が記録的に増えておりグローバルな大手人材斡旋会社のビジネスは昨年比で9~15%拡大しているとのことです。

  多くの企業がレイオフを進めていることで人材の流動性が増していること、また。熾烈な人材争奪戦を煽り続けてきたグローバリゼーションに後退の兆しがあることにより、企業がアクセスできる人材プールが突然、変化して、拡張しているというのです。そして先見の明のあるリーダーはそれを最大限に利用して、危機後の回復と成長に備えるべく人材確保に動きます。

  筆者によると、過去の経済的苦境は優秀な従業員やリーダーを限られた期間で幅広く採用できる機会をつくり出してきたといいます。

  第2時世界大戦後の不況で多くの企業が困難に直面していた1940年代後半、創業間もない電子機器メーカーだったヒューレット・パッカード(HP)は業績が低迷、財務状況も逼迫する中で、閉鎖間近の米軍の研究所から大量に流出した優秀なエンジニアを採用します。 後年、同社が長年にわたり成功してきた最大の要因について聞かれると、共同創業者の2人はいつも「外部の経済状況に関係なく人材に投資してきたこと」を挙げたといいます。

  一方で筆者は、今のような時期は社内の重要なプレイヤーにあらためて注目する時期でもある、と述べています。これまで以上に彼らに寄り添い、業界や会社の見通しの修正を踏まえて、彼らのスキルや知識を評価し、潜在能力を開花させるための手助けをすることが重要だとしています。

  いずれも、短期的な危機管理に集中するのではなく、拡大する悲劇から抜け出すことができた時に、生き残るだけでなく繁栄するために長期的な思考をもたなければならないと説いているのです。


  既成の産業の枠組みが次々と破壊されつつある今、多くの企業が求めるのは、高度な専門性を持った“これまでは社内にいなかったような人材”。
  回復後の社会を予測し、自社の事業定義を行なったならば、それを行なうための必要な人材像を可視化し、社内外から潜在的な候補者を丹念に発掘し、社外の候補者に対しては高い採用基準でジャッジする。
  この作業を早く、力強く始めた企業がアフターコロナの勝者となる可能性の高い企業なのではないでしょうか。
  

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