CPI=顧客業績評価指標

Harvard Business Review の最新記事から「あなたは最も重要な業績指標を見落としていないか」。
  顧客中心主義や顧客第一主義を謳う企業は多いが、その成果を正しく計測するために自社のCPI(顧客業績評価指標)を定義し、それを測ることで他社との差別化を行なうことができるという主張です。

 売上高や成長率といったKPI(重要業績評価指標)は顧客が会社のためにどのように行動しているかを映し出すものですが、顧客中心主義を徹底し、成長を最大化したい企業は自社が顧客のためにどのように行動しているかも数値計測すべきだというのです。

 顧客は、企業と取引するときは常に何らかの目的、問題、ニーズ、意図、問い、要するに期待する結果を持っています。またそのような結果がどのくらい早く、どのくらい簡単に実現するかという期待も抱いています。そうした期待がどの程度実現しているかを測定する指標がCPIです。

   記事では、保険ビジネスを例にそれを解説しています。

  データによると、保険加入を検討している顧客が問合せのオンラインフォームを送信したり電話で問い合わせをしたりした場合、すぐに見積もりを示す保険会社は問合せへのお礼だけ述べて後に担当者から連絡するとしか言わない保険会社に比べて顧客に契約してもらえる可能性が高いといいます。顧客が望んでいるのは、すぐに見積もりを知ることだからというのが理由です。

 ある保険会社が問合せを(担当エリアなどに基いて)担当者に回している間に、顧客はほかの保険会社から素早く見積もりを示されていて、保険会社の担当者がその顧客に連絡を取ったときには既に他社と契約を済ませているかもしれません。

  この例では、「迅速に見積もりを示してほしい」という顧客の期待に対してより優れた成果を挙げた企業がライバルに差をつけています。つまり「迅速な見積り」を自社のCPIの一つと位置づけ、それを数値計測してマネジメントしている保険会社はこのCPIと成長との間に直接的な相関関係を見出せるのです。

   時間、利便性、選択肢の数、費用の節約、みずからの行動への評価など多くの要素がCPIになり得ますが、重要なのは顧客がそれを重んじているかどうかです。

 一方、ネット・プロモーター・スコア(NPS)、つまり顧客がその企業の製品やサービスをほかの人にどのくらい勧めたいかを測定した数値をCPIと位置づけようとする人は多いですが、実際にはNPSを気にするのは企業だけで、顧客はこれを気にしていません。その点では、NPSもKPIの一種にすぎないと言えます。

 NPSを指標に顧客満足を寒がるのが“解”を求める作業であるとしたら、CPIを定義するのは”問い”を立てること。自社の顧客が真に求めているものは何かを考え抜く努力から逃げてはなりません。


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