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『人材業界の未来シナリオ』


「採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ」黒田真行氏・佐藤雄佑氏 共著

  人生100年時代と少子高齢化、急速なテクノロジーの進化によって企業にとっての人材採用はどのように変化するか。
  その視点から、IndeedやSNSなどの新ビジネスの可能性に触れつつ、その脅威に挑むべく旧来の2大チャネルであった「人材紹介業」と「求人広告」の大手各社がいかなる勝ち残り戦略を描いているかを通して人材ビジネス各社が迫られる変革の必要性を明快に述べた快著です。

  筆者は、急激な少子高齢化を背景に「優秀な人材から選ばれた企業は継続成長し、選ばれなかった企業は消失する」との見立てのもと、企業が「雇用する側」から「選ばれる側」へと変わると述べています。
  それにより人材ビジネス各社には、“採用企業基点”から“求職者基点”の思想へと転換を迫られる点、また採用する人材に応じてよりシビアにチャネルの選択が行われることから、“より安く”という圧力が強まる点などを挙げ、事業・サービスの再定義の必要性を説いています。

  人材紹介ビジネスに携わる、特に若いコンサルタント諸氏には、日本型雇用システムの生成過程となぞらえながら人材紹介ビジネスがいかに社会に根差していったかを改めて学び、その延長線上にある“未来”に起こる非連続な変化の必然性について知る参考書として是非とも読んでいただきたい一冊です。

  一方、各社の戦略立案に携わる方々や業界研究を行なう研究者の方々は、議論の活性化のために敢えて否定的な見地からも読んでみるとよいのではないでしょうか。

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