稲穂 健市 Kenichi Inaho

弁理士、米国公認会計士(デラウェア州Certificate)、科学技術ジャーナリスト、…

稲穂 健市 Kenichi Inaho

弁理士、米国公認会計士(デラウェア州Certificate)、科学技術ジャーナリスト、東北大学特任教授、内閣府上席科学技術政策フェロー、知的財産権訴訟における裁判所専門委員。 『楽しく学べる「知財」入門』/『こうして知財は炎上する 』/『ロボジョ!』の著者。80カ国訪問。

最近の記事

稲穂健市の知財コソコソ噂話 第9話 知的財産権と刑事罰

 知的財産権は独占排他的な権利です。そのため、自分の知的財産権が侵害された場合、権利者は侵害者の行為を差し止めたり、侵害者に対して損害賠償を求めたりすることができます。また、その行為が悪質なときは、侵害者が刑事罰に問われることもあります。故意に特許権・意匠権・商標権・著作権を侵害した場合は、原則、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。  逃亡や証拠隠滅の防止のため「逮捕」に至ることもあります。著作権侵害については、音楽・映画・漫画・ゲー

    • 稲穂健市の知財コソコソ噂話 第8話 改めて考えたい「著作者人格権」

       今年1月末、日本テレビ系ドラマ『セクシー田中さん』の原作者で漫画家の芦原妃名子さんが急逝したことは、多くの人に衝撃を与えました。芦原さんは生前、ドラマの脚本をめぐり制作側と見解の違いが生じていたことを自ら明かしていました。  小説にせよ漫画にせよ、原作が映像化される際に大きく内容が改変されることは少なくありません(アニメが実写化されるときなども)。原作のイメージと全く異なる俳優がキャスティングされる例も多く見られます。もっとも、映像化に際しての独自の試みにより成功した作品も

      • 稲穂健市の知財コソコソ噂話 第7話 地震発生を予知する発明

         2024年1月1日に発生した能登半島地震は大きな被害をもたらしました。被災された皆さまには心からお見舞い申し上げます。地震発生の予知はなかなか難しいとされており、今回もその前兆こそあったものの、事前の予知には至りませんでした。ただ、地震発生予知関連の発明は、じつは毎年コンスタントに特許出願されています。地殻やマントルの動きに関する信号や応力の変化などから予知しようとするものが多く、なかにはスウェーデン人による「ある領域内のどこで次の大地震が起こるかを予知する方法」(特表20

        • 内閣府に着任して2年目に入りました!

          内閣府に着任してから、早くも2年目に入りました。なんとか霞が関の仕事の進め方や独特な用語にも慣れ、周囲の方々に支えていただきながら、それなりに自分の持ち味も発揮できるようになってきたように思います。科学技術・イノベーション政策の企画立案の場にいることは大変貴重な経験となっています。東京と仙台と毎週行き来する生活にも、随分と慣れてきました。 忙しいときはなかなか難しいのですが、中央省庁の各食堂も一部を除き、ひと通り回りました。個人的な好みでトップ3を挙げると、①財務省の「テゾ

        稲穂健市の知財コソコソ噂話 第9話 知的財産権と刑事罰

          『パテント・アトーニー』に「知財miniトリビア」の第13回が掲載!

          日本弁理士会の広報誌「パテント・アトーニー」の2024年春号(Vol.113)に、私が担当する「知財miniトリビア」の第13回が掲載されました。タイトルは「20年4カ月以上も公開されなかった特許出願」です。私の調べた限り、最も長い期間、出願公開されなかった特許出願となります。

          『パテント・アトーニー』に「知財miniトリビア」の第13回が掲載!

          「第45回 東北大学知財セミナー」が無事終了!

          1週間のカリフォルニア出張から帰国し、多少時差ボケの残る状態でしたが、昨日、東北大学片平キャンパスとオンラインのハイブリッドで開催された「第45回東北大学知財セミナー」で講演しました。 今回は700名を超える方々にご登録いただきました。「2023年度知財関連ニュースから学ぶ知財の最前線」と題し、私がピックアップした13の事例について解説を行いました。最後の質疑応答では大変興味深い質問もありました。参加者の方々にとって楽しく充実した内容となったことを願っています。

          「第45回 東北大学知財セミナー」が無事終了!

          3/27(水) 15:00~ 「第45回 東北大学知財セミナー」にて登壇!

          3月27日(水)に開催される「第45回東北大学知財セミナー」で登壇します。テーマは「2023年度知財関連ニュースから学ぶ知財の最前線」です。東北大学片平キャンパスとオンラインのハイブリッド開催となります。ご興味のある方はぜひお申し込みください。 会場参加申込 オンライン参加申込

          3/27(水) 15:00~ 「第45回 東北大学知財セミナー」にて登壇!

          内閣府「総合知」ウェビナー(2/15)が無事終了!

          2月15日(木)にオンライン形式で開催された内閣府主催の「第3回『総合知』ウェビナー」が無事終了しました。私はパネリストの一人として「URAの視点から考える産学連携と『総合知』」と題する話題提供を行いました。「総合知」の普及に少しでもお役に立てたのであれば幸いです。一緒に登壇された皆さま、準備及び運営に関わった皆さま、そしてご視聴くださった皆さまに、心より感謝申し上げます。

          内閣府「総合知」ウェビナー(2/15)が無事終了!

          内閣府「総合知」ウェビナー(2/15)に登壇!

          内閣府の主催する「第3回『総合知』ウェビナー」が、来週2月15日(木)にオンライン形式で開催されます。私もパネリストとして登壇します。ご興味のある方はぜひお申し込みください。 【ウェビナータイトル】 「総合知」で未来社会を創造 【概要】 ひとりひとりのウェルビーイングを実現できる未来社会を創造するために、今後「総合知」の考え方は 一層重要になることが期待されます。 本ウェビナーでは、フューチャー・デザイン など未来志向の考え方に基づき、様々な背景や知見を有する論客により、

          内閣府「総合知」ウェビナー(2/15)に登壇!

          稲穂健市の知財コソコソ噂話 第6話 AI創作の権利は?

           昨年はAIに関する話題が世の中を沸かせました。AIと知財という観点では、筆者は約7年前に『楽しく学べる「知財」入門』(講談社現代新書、2017年)で、AIによる自律的な発明の可能性について少し触れました。  人工知能が「発明」をする可能性も現実味を帯びてきました。たとえば、IBMが開発した質問応答・意思決定支援システム「ワトソン」は、新しい料理のレシピを考えることも可能です。英語版となりますが、『CognitiveCooking with Chef Watson』(シェフ・

          稲穂健市の知財コソコソ噂話 第6話 AI創作の権利は?

          稲穂健市の知財コソコソ噂話 第5話 コロナ禍と知財

           2019年末に中国で感染が確認され、2020年から本格化した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは、2023年5月にようやくWHO(世界保健機関)が緊急事態宣言の終了を発表しました。コロナ禍は我々の日常生活に大きな影響を及ぼしましたが、特許・実用新案、意匠、商標といった産業財産権も例外ではありません。  コロナ禍と知財に関する話題としては、まずワクチンに関するものが挙げられます。たとえばmRNAワクチンの特許については、モデルナがパンデミック中は権利行

          稲穂健市の知財コソコソ噂話 第5話 コロナ禍と知財

          稲穂健市の知財コソコソ噂話 第4話 宗教団体と知財

           10月13日、文部科学省は世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)に対する解散命令を東京地裁に請求しました。2022年7月に起こった安倍晋三元首相銃撃事件以降、それまでタブー視されてあまり取り上げられてこなかった宗教団体に関する報道が増えたように思います。  それでは、宗教団体と知財の関係はどうなっているのでしょうか? 実は「特許情報プラットフォーム」(J-PlatPat)を使っても、詳しく調べるのは容易ではありません。というのも、宗教団体の名称が多岐にわたっているだけでなく、

          稲穂健市の知財コソコソ噂話 第4話 宗教団体と知財

          「事例から見た、炎上・揉め事を防ぐためのブランド/デザイン戦略」が無事終了!

          1月25日(木)、日本弁理士会関東会の主催する研修会「事例から見た、炎上・揉め事を防ぐためのブランド/デザイン戦略」の講師を担当しました。ご参加いただいた弁理士の皆さま、ありがとうございました。少しでもお役に立てたのであれば幸いです。

          「事例から見た、炎上・揉め事を防ぐためのブランド/デザイン戦略」が無事終了!

          「地政学リスクと知的財産を語るラウンドテーブル」が無事終了!

          昨日、世界知的所有権協会(WIPO)日本事務所と日本貿易振興機構(ジェトロ)が共催するウェビナー「地政学リスクと知的財産を語るラウンドテーブル」にパネリストとして登壇しました。各界を代表する有識者の方々との意見交換は大変有意義なものでした。運営に携わったスタッフの皆さま、そして当日ご視聴くださった皆さまに、心より感謝申し上げます。 集合写真は、右から嶋田 研司様(日本貿易振興機構 知的資産部長)、千本 潤介様(特許庁 特許出願非公開プロジェクト 事務局長)、橋本 正洋様(法

          「地政学リスクと知的財産を語るラウンドテーブル」が無事終了!

          1/15「地政学リスクと知的財産を語るラウンドテーブル」にパネリストとして参加!

          1月15日(月)15:00~17:00、世界知的所有権協会(WIPO)日本事務所と日本貿易振興機構(ジェトロ)が共催する「地政学リスクと知的財産を語るラウンドテーブル」にパネリストとして参加します。ウェビナー形式となっており、長澤 健一氏(キヤノン株式会社 顧問)と千本 潤介氏(特許庁 特許出願非公開プロジェクト 事務局長)による基調講演もあります。ご関心のある方はぜひお申し込みください。

          1/15「地政学リスクと知的財産を語るラウンドテーブル」にパネリストとして参加!

          『パテント・アトーニー』に「知財miniトリビア」の第12回が掲載!

          日本弁理士会の広報誌「パテント・アトーニー」の2023年冬号(Vol.112)に、私が担当する「知財miniトリビア」の第12回が掲載されました。タイトルは「日本初の食品分野の登録意匠はお金のお菓子」です。霞が関官庁街の食堂めぐりをしている中で思いついたトピックです。

          『パテント・アトーニー』に「知財miniトリビア」の第12回が掲載!