稲穂 健市 Kenichi Inaho

弁理士、米国公認会計士(デラウェア州Certificate)、科学技術ジャーナリスト、…

稲穂 健市 Kenichi Inaho

弁理士、米国公認会計士(デラウェア州Certificate)、科学技術ジャーナリスト、東北大学特任教授、内閣府上席科学技術政策フェロー、知的財産権訴訟における裁判所専門委員。 『楽しく学べる「知財」入門』/『こうして知財は炎上する 』/『ロボジョ!』の著者。80カ国訪問。

最近の記事

稲穂健市の知財コソコソ噂話 第12話 ジェンダー・ダイバーシティと知財

 今年6月、世界経済フォーラム(WEF)が、世界各国の男女格差を数値化した「ジェンダー・ギャップ指数」の2024年版を公表しました。評価対象となった146カ国のうち日本は118位であり、G7のなかでは依然として最下位です。同じようなニュースを毎年聞いている気がしますが、前年の125位より少し上昇した点は評価できるでしょう。  ところで、日本で暮らす外国人と日本におけるジェンダー・ギャップの話をすると、「コンサートやミュージカルの観客は女性ばかりだし、高級なカフェで優雅に談笑し

    • 稲穂健市の知財コソコソ噂話 第11話 大きな知財と小さな知財

       知的財産権で保護される対象にはさまざまなものがありますが、今回は特にスケールの大きなものと小さなものについてご紹介したいと思います。  まず意匠からです。意匠法の保護対象は長らく「物品」に限定されていましたが、2020(令和2)年4月施行の法改正により、土地に固着した建築物のデザインも新たに保護されるようになりました。具体例として、店舗、住宅、学校、病院、工場などが挙げられます。かなりサイズの大きなものもあり、例えば高さ80m以上もある東京・飯田橋のタワーマンション「アルビ

      • 稲穂健市の知財コソコソ噂話 第10話 ディズニーと知財

         高専生や大学生向けの授業で知財ニュースを紹介する機会があるのですが、2023年末に米国で初代ミッキーマウスの著作権が切れた件は、非常に認知度が高い話題だと感じました。小さいころからディズニー社のキャラクターに触れてきたことで、この種のニュースに関する情報感度が高くなっているのかもしれません。個人的には、この報道に接して、1987年に滋賀県の小学校で児童が卒業制作としてプールの底に描いたミッキーの絵をディズニー社が消させた逸話を思い出しました。  米国では、ミッキーのデビュー

        • 「愛知の発明の日」記念講演会での講演が無事終了!

          8月2日(金)に名古屋市のトヨタ産業技術記念館で開催された「『愛知の発明の日』記念講演会」での講演が無事終了しました。トヨタ自動車元会長の内山田竹志氏による「イノベーションが未来を拓く~発明で社会課題に挑む~」に続き、「事例から読み解く!イノベーションと知財」と題するお話をしました。参加者の方々にとって役立つ内容であったことを願っています。

        稲穂健市の知財コソコソ噂話 第12話 ジェンダー・ダイバーシティと知財

          『パテント・アトーニー』に「知財miniトリビア」の第14回が掲載!

          日本弁理士会の広報誌「パテント・アトーニー」の2024年夏号(Vol.114)に、私が担当する「知財miniトリビア」の第14回が掲載されました。タイトルは「活発化する外国企業による他社商標登録への異議申立」です。ほとんどのケースで異議が認められていない点は興味深いです。

          『パテント・アトーニー』に「知財miniトリビア」の第14回が掲載!

          「知財業界での教育」(弁理士の日記念ブログ企画2024)

          本日7月1日は「弁理士の日」です。「独学の弁理士講座」を主催するドクガク氏から、「弁理士の日」を盛り上げるため、今年は「知財業界での教育」というお題を与えられました。 そもそも、「知財業界」とは何でしょうか? 一般的には、主に、特許権・実用新案権・意匠権・商標権といった産業財産権の権利化(出願・中間処理)や活用(ライセンス・訴訟)に関わる人たちの業界を指すものと考えられます。職種的には、弁理士/弁護士、特許技術者、特許サーチャー、特許事務員、特許翻訳者、審査官/審判官/裁判

          「知財業界での教育」(弁理士の日記念ブログ企画2024)

          8/2(金)午後、「愛知の発明の日」記念講演会で講演!

          8月2日(金)午後、名古屋市のトヨタ産業技術記念館で開催される「愛知の発明の日」記念講演会で講演をすることになりました。「プリウス生みの親」として知られるトヨタ自動車エグゼクティブフェローの内山田竹志さんのご講演に続いて、「事例から読み解く! イノベーションと知財」についてお話いたします。東海地方にお住まいの方は、ぜひ足をお運びください。

          8/2(金)午後、「愛知の発明の日」記念講演会で講演!

          稲穂健市の知財コソコソ噂話 第9話 知的財産権と刑事罰

           知的財産権は独占排他的な権利です。そのため、自分の知的財産権が侵害された場合、権利者は侵害者の行為を差し止めたり、侵害者に対して損害賠償を求めたりすることができます。また、その行為が悪質なときは、侵害者が刑事罰に問われることもあります。故意に特許権・意匠権・商標権・著作権を侵害した場合は、原則、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。  逃亡や証拠隠滅の防止のため「逮捕」に至ることもあります。著作権侵害については、音楽・映画・漫画・ゲー

          稲穂健市の知財コソコソ噂話 第9話 知的財産権と刑事罰

          稲穂健市の知財コソコソ噂話 第8話 改めて考えたい「著作者人格権」

           今年1月末、日本テレビ系ドラマ『セクシー田中さん』の原作者で漫画家の芦原妃名子さんが急逝したことは、多くの人に衝撃を与えました。芦原さんは生前、ドラマの脚本をめぐり制作側と見解の違いが生じていたことを自ら明かしていました。  小説にせよ漫画にせよ、原作が映像化される際に大きく内容が改変されることは少なくありません(アニメが実写化されるときなども)。原作のイメージと全く異なる俳優がキャスティングされる例も多く見られます。もっとも、映像化に際しての独自の試みにより成功した作品も

          稲穂健市の知財コソコソ噂話 第8話 改めて考えたい「著作者人格権」

          稲穂健市の知財コソコソ噂話 第7話 地震発生を予知する発明

           2024年1月1日に発生した能登半島地震は大きな被害をもたらしました。被災された皆さまには心からお見舞い申し上げます。地震発生の予知はなかなか難しいとされており、今回もその前兆こそあったものの、事前の予知には至りませんでした。ただ、地震発生予知関連の発明は、じつは毎年コンスタントに特許出願されています。地殻やマントルの動きに関する信号や応力の変化などから予知しようとするものが多く、なかにはスウェーデン人による「ある領域内のどこで次の大地震が起こるかを予知する方法」(特表20

          稲穂健市の知財コソコソ噂話 第7話 地震発生を予知する発明

          内閣府に着任して2年目に入りました!

          内閣府に着任してから、早くも2年目に入りました。なんとか霞が関の仕事の進め方や独特な用語にも慣れ、周囲の方々に支えていただきながら、それなりに自分の持ち味も発揮できるようになってきたように思います。科学技術・イノベーション政策の企画立案の場にいることは大変貴重な経験となっています。東京と仙台と毎週行き来する生活にも、随分と慣れてきました。 忙しいときはなかなか難しいのですが、中央省庁の各食堂も一部を除き、ひと通り回りました。個人的な好みでトップ3を挙げると、①財務省の「テゾ

          内閣府に着任して2年目に入りました!

          『パテント・アトーニー』に「知財miniトリビア」の第13回が掲載!

          日本弁理士会の広報誌「パテント・アトーニー」の2024年春号(Vol.113)に、私が担当する「知財miniトリビア」の第13回が掲載されました。タイトルは「20年4カ月以上も公開されなかった特許出願」です。私の調べた限り、最も長い期間、出願公開されなかった特許出願となります。

          『パテント・アトーニー』に「知財miniトリビア」の第13回が掲載!

          「第45回 東北大学知財セミナー」が無事終了!

          1週間のカリフォルニア出張から帰国し、多少時差ボケの残る状態でしたが、昨日、東北大学片平キャンパスとオンラインのハイブリッドで開催された「第45回東北大学知財セミナー」で講演しました。 今回は700名を超える方々にご登録いただきました。「2023年度知財関連ニュースから学ぶ知財の最前線」と題し、私がピックアップした13の事例について解説を行いました。最後の質疑応答では大変興味深い質問もありました。参加者の方々にとって楽しく充実した内容となったことを願っています。

          「第45回 東北大学知財セミナー」が無事終了!

          3/27(水) 15:00~ 「第45回 東北大学知財セミナー」にて登壇!

          3月27日(水)に開催される「第45回東北大学知財セミナー」で登壇します。テーマは「2023年度知財関連ニュースから学ぶ知財の最前線」です。東北大学片平キャンパスとオンラインのハイブリッド開催となります。ご興味のある方はぜひお申し込みください。 会場参加申込 オンライン参加申込

          3/27(水) 15:00~ 「第45回 東北大学知財セミナー」にて登壇!

          内閣府「総合知」ウェビナー(2/15)が無事終了!

          2月15日(木)にオンライン形式で開催された内閣府主催の「第3回『総合知』ウェビナー」が無事終了しました。私はパネリストの一人として「URAの視点から考える産学連携と『総合知』」と題する話題提供を行いました。「総合知」の普及に少しでもお役に立てたのであれば幸いです。一緒に登壇された皆さま、準備及び運営に関わった皆さま、そしてご視聴くださった皆さまに、心より感謝申し上げます。

          内閣府「総合知」ウェビナー(2/15)が無事終了!

          内閣府「総合知」ウェビナー(2/15)に登壇!

          内閣府の主催する「第3回『総合知』ウェビナー」が、来週2月15日(木)にオンライン形式で開催されます。私もパネリストとして登壇します。ご興味のある方はぜひお申し込みください。 【ウェビナータイトル】 「総合知」で未来社会を創造 【概要】 ひとりひとりのウェルビーイングを実現できる未来社会を創造するために、今後「総合知」の考え方は 一層重要になることが期待されます。 本ウェビナーでは、フューチャー・デザイン など未来志向の考え方に基づき、様々な背景や知見を有する論客により、

          内閣府「総合知」ウェビナー(2/15)に登壇!