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麻衣とずん太の「知財コソコソ噂話」第3回(北朝鮮の知財について)

麻衣: ずん太くんは、北朝鮮の映画って、見たことある?

ずん太: あるよ。『プルガサリ~伝説の大怪獣~』は面白かったなあ~。

麻衣: 北朝鮮の怪獣映画を見たことがあるなんて、ずん太くんは意外と北朝鮮ツウなのね。でもね、知ってた? 北朝鮮の映画の著作権は日本では保護されないのよ。北朝鮮は日本と国交がないことから、2011年12月、日本の最高裁判所は、「北朝鮮の映画は日本の著作権法で保護される著作物には当たらない」と結論付けているわ。

ずん太: そうなんだ。保護されないのは映画だけなの?

麻衣: いえ。映画以外の著作物についても同様よ。さらに言えば、著作権だけじゃなく、特許権も保護されないわ。北朝鮮に住む北朝鮮国籍の人が国際出願したものを日本で特許にしようとした会社があったんだけど、日本の特許庁はその出願の日本での手続きを却下したのよ。北朝鮮も、一応、国際的な知的財産権保護に関する様々な条約に加盟しているんだけどねえ…。

ずん太: それって、ちょっとかわいそうな話だね。

麻衣: 私もちょっとやりすぎのような気がするわ。台湾については日本でもその知財が保護されているのにね。逆に言えば、北朝鮮で日本の知財が保護されなくても、日本側としては何も文句を言うことができないとも言えるわ。それに関連する話だけど、ちょっと次の写真を見てみて。

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ずん太: 金日成同志が旧日本軍と戦っていたときの伝記物語かな?

麻衣: さすが、ずん太くん。よくわかったわね。これは私のお友達が平壌(ピョンヤン)を旅行中に高麗ホテルの客室で撮影したものよ。

ずん太: テレビにハングルが書いているけど、これって北朝鮮の国産テレビかな?

麻衣: たしかに、ハングル文字で「チンダルレ」(つつじ)と書かれているわね。でも、私のお友達の話だと、裏面や内部を覗くと日本メーカーの製品と思われるような文字や記号が色々と見つかったそうよ。

ずん太: うーん…。もしかすると、もともとあった日本メーカーの商標を削り取って、国産品に見せかけるため新たに自前の商標を付け加えたのかもしれないね。

麻衣: 商標法には、「商標を剥奪抹消する行為が商標権の侵害に当たるか?」という論点があるそうよ。でも、先ほどの理屈からすると、もしこれが商標権侵害に該当するものだとしても、日本側は何も文句を言うことはできないことになるわね。

ずん太: なるほど。ところで、さっきから、著作権とか特許権とか商標権とか、色々な権利の名前が出てきたけど、どれも知財の一種だよね。いったい知的財産権って、何種類くらいあるの?

麻衣: いい質問ね。じつはとてもたくさんあるの。次の図を見てごらんなさい。

知的財産権の体系

ずん太: うわー、これは大変だ! どこから手を付けたらいいかわからないよ!

麻衣: そんなに身構える必要はないわ。このコーナーでも毎回丁寧に取り上げていくから心配しないで。

ずん太: わかったよ。それにしてもこのコーナー、全然「コソコソ噂話」じゃないような気がするんだけど…。


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