見出し画像

2020年2月コロナ真っただ中を上海で過ごしてみた

少し振り返る記事になります。正直1年前の話なので忘れかけてきてますが中国の2020年旧正月期間中にコロナが拡大し緊急事態宣言となり武漢市がロックダウンし次々と大都市が半ロックダウン状態に入りました。2020年の旧正月は1月25日が元旦に当たりました。24日が大晦日です。

2020年1月23日武漢市閉鎖というビックニュースが流れてきました。

正直かなり驚きました。はじめの印象は大都市を封鎖するという事は経済を完全に止めるという事なので、その決断をした政府の判断。実を言うと2019年12月ごろから武漢でサーズや鳥インフルエンザのようなウイルスがまた発症しているそうだ。というニュースは上海でも聞こえてました。しかしいつもの事というか重く受け止めておらず対岸の火事のように気にもしていませんでした。1月に入り人民は旧正月モードに心は入りだし帰省ラッシュ前のワクワクやドキドキやドタバタで仕事は毎年追い込まれますので少しずつ武漢のニュースが大きくなってはいるが、それでも対岸の火事でした。

しかし旧正月にはいった途端 ぼくらの浮かれ気分は一転します。1月23日武漢閉鎖により、いったい何が起きているのだ!と でも旧正月にはいったばかりで人民も大混乱です。海外に出国できた人出来なかった人 国内移動できた人出来なかった人。あの日の数日後にあらゆる期間がクローズしていきます。1月25日上海ディズニーも閉鎖。1月27日より団体海外旅行禁止。日に日に感染者数と死亡者数のニュースが飛び込んできました。

僕もこの長期休暇期間を利用して海外旅行に出たばかりで海外でこのニュースを耳にしました。果たして予定通り上海に戻れるのか??と その話はまた別の機会として。

幸いにも中国は旧正月という大型連休だった為、経済は止まってました

武漢封鎖後 上海市でも人民に家から必要以外の外出を避けるように呼びかけが出回りました。マンションのメインゲートは封鎖され裏口からしか出入りできなくなり体温検査、身分証明書などの提示などマンションから出てコンビニやスーパーに行くのすら面倒になりました。

政府は特にいつまで、と終了期間を提示してません。上海政府も同様ですべての企業に対して政府の許可なく営業が発覚したらもうブラックリストに入りただではすみません。すごい強制力です。旧正月が続くという状況で各企業は旧正月を7日延長とか外資系は14日延長とかの対応が各々始まります。ただでさえ長い旧正月休みをさらに延長させられては僕の会社は困るのですが営業再開許可をまつしかない状況になりました。

当時政府が認めた企業は 医療、運搬、エネルギーインフラ、交通インフラ、生活インフラ(スーパーなど)とそれに従事し関連する企業のみ。一般の企業や小売店や美容室やモールなどは停止でした。武漢でなく上海でもここまでするんだと感じました。半ロックダウン状態です。

そして一気に町から人民が消えました。

画像1

お昼の繁華街の交差点がまるで誰もいない町になりました。(写真)

本当にこの2月の期間は家から出ない。町がゴースト化していました。し その短期間で何としてもコロナを止める!という国の方針に協力するという姿勢を感じました。その為 頻繁に国民感情を高める宣伝も多く国難として一致団結する報道であふれてました。

コロナ0対策

当時から現在の上海市の対策をみているとコロナ感染者は見つかれば即強制隔離、住宅14日閉鎖監視カメラ付き、関係者のPCR検査義務化などで感染者を探し徹底的に隔離です。発症が見つかれば正直地獄です。が逆にそのおかげで大多数の人民は普通の暮らしを町でおくれている。町中にはコロナ感染者が居ない。という状況を作り出してます。(今のところ)

少し前も久しぶりに感染者が国際空港の荷物仕分け作業員から見つかり、空港は大騒ぎでした。その感染者の住む住宅エリアは封鎖され家族が行動した地方まで行きPCR検査させ個人行動も事細かく いつ誰とどこで会い どのルートで何時に帰宅してるとかNETに流出してました。プライベートも糞もありませんが あるいみ徹底してる(笑)

兎に角 感染したら最悪という認識だけは人民に植え付けられてます。でもその対策のおかげで 町の経済活動はコロナ前に戻り活気に満ちてたりします。

会社営業再開までの道のり

正直2月はいつ会社が再開できるのか??全く目処がつきませんでした。いつまで続くのか?このまま会社は潰れるのか?先の見えない不安でいっぱいでした。会社のある市の役場関係者に日々情報を確認する状況です。もちろんそんな企業ばかりなので大混乱です。しかも見回りも厳しく勝手に営業していたのが見つかると罰金どころではありません。というのも我々も何もできないのでは困り会社に数名集まり対策会議と事務処理をしていました。工場は可動していませんが、その時に見回りに来た役場の人に部屋に電気がついてるとなり見つかり会社に入ってこられました。そこで少し対策会議をしている事を告げ役場の人から厳重な警告を受けました。事務処理も数時間程度で会社に3名までと言われました。

そのような事もあり、会社に集まり会話や処理を進めるのは困難になり半日ほど3名だけ会社に来て事務処理を進める事で少しでも前に進めました。

再会への条件がなんとなく見えてきました。正式ではないんですが消毒液、マスクの確保が必須条件とわかりました。2か月分確保(従業員の数に対して)その時点で消毒液もマスクも中国でも品切れで入手困難で皆 争奪戦に入ります。我々もあの手、この手で入手方法を探ります。当時日本からマスクを送ってもらうという日系企業も多くみられました。(日本でマスク買い占め中国へ)しかし僕らの企業は そのコネがなく現地で探す事になりますが幸いな事に従業員の一人の知り合いが医療マスク生産工場の経営者だったのです。そしてコネを使いマスク数千枚ほど、こちらに流してくれると交渉してくれました。それには裏があり必ずしも良品検査を合格した物ではない条件です。良品検査にパスしなかった物が数%生まれ生産数からカウントされない為、本来なら破棄される物なら大丈夫だと。政府からの生産数コントロールから外れる為 横に回せれると。営業許可を再開するにはマスク数の申告と現物提示が必要であってマスクの良品か不良品かは関係ありませんでした。抜け穴です。不良品といっても機能自体が不良ではなく紐が・・・とかビニールが汚れてるとかマスクの生地の端で作られ色が少し変色とか売れないけど使えるレベルでした。消毒液は直ぐに店頭に並び品薄状態が解消されてたので手に入る事ができました。それでも入手に2週間ほどかかり申請を出します。

画像2

↑マンションメインゲート封鎖 車も出れません(写真)

ようやく申請し役場の人が会社に視察する日程が決まりました。3日後に会社に来て審査します。ようやくこれで再開できる!と胸をなでおろしました。そして当日がきて審査してもらいます。マスクも消毒液も準備しました。政府が進める 消毒方法、マスクのポスターも貼りました。完璧と思いそのその知らせを自宅でいまかいまかと待っていました。

審査役人から隔離部屋がない!と告げられた

なにそれ??って感じでした。隔離部屋を作りなさい!と感染者が出たら一時待機する部屋を用意しなさい。との事でした。再開がかなわず、急遽隔離部屋を作る事になりました。っていうかそんな部屋の余裕ないんですが・・・と僕は思ってましたが会社の社員が 作りました!と翌日に早速連絡がきました。早っ!もうできたの?と 普段の仕事遅いけど こういう時は早い!(笑)と そして出来たのは下の写真です

画像3

ロッカーで壁作りビニールで封鎖。なんとも簡易的で無理やり感のある・・・人一人座れるだけのスペースです。果たしてこんなので感染が防げれるのか??それはさておき、とにかく隔離部屋には変わりない。早速申請しました。半分駄目かなと思いきや、なんと条件を満たしているとなり2月24日より営業再開が許可されました。マジで!

この日の時点で周りで僕らの会社はかなり早い再開許可が出てる事に気が付きます。外部業者の多くはまだ許可下りてません。やはりマスクが手に入らないのか個人事業者も多く手続き大変とかで再開のめどがついてない会社がまだまだありました。

そこからマスク外交じゃないけどマスクを調達して外部業者に配れるか再度マスク工場に交渉しました。そうやって困ってる外部業者の何社かにもマスク外交をしてました。※ちなみに隔離部屋にいる人は感染者ではありません。みんな面白くて1度は座ってみたい気分になるようです。記念写真みたいに順番に撮影してました。おい仕事しろよ!と思いましたが・・・こんな事で怒ってはいけない!と冷静になり大人の自分発揮しました。

健康管理アプリによる監視社会

そして3月半ばには多くの企業が再開を果たし4月末にはほぼ復活し町に活気が戻りはじめゴールデンウイークには旅行ブームへと・・・

2月は本当に中国が止まりました。武漢だけではありません。中国全土で似たように遠い大都市も経済が止まってました。上海も例外ではなく止まりました。2月の時点では経済都市の上海 いったいどうなるんだ?このままでは多くの企業が倒産し北斗の拳の世界になるんじゃないかと思うドキドキでしたが1ケ月ほど完全に停止した事でウイルスの抑え込みに成功し爆発的な発症は武漢以外では見られません(もちろん政府のデーターを信用したとして)。しかしすごいのは2月の時点でコロナ感染アプリが立ち上がり日々リアルタイムで感染者数が都市毎に表示される状態になりました。人民は毎日アプリで確認し今日自分たちの住むエリアで感染者が出ているか確認できます。感染者が出ていたら感染者の14日間のルートも恐ろしい事に裏で出回ります。近くのスーパーに居た事や駅にいた事やら なぜか情報が飛び交います。そして健康管理アプリが生まれ各省毎に管理されたものが発表されます。省や県をまたぐ移動には必須になります。これが無いと入国できません。安全な省から移動してるなど14日間健康維持してるとかコロナ発症経歴がないとかアプリの色でわかります。ちなみに中国では携帯のSIMカードを購入するには個人認証が必要です。そしてSNSも個人認証し関連つけられます。携帯電話を持つ事は個人認証を政府にしている事と同じと言えます。

だからと言って怖いとか知られたくないとかではなく 当たり前として人民は思ってます。だってさからえないんだから。このおかげで便利なサービスはテクノロジーと共に僕らも恩恵を受けている。管理社会の方が案外生きやすい。みたいな気分になります。どこで何買って いつどこに行ってとか そんなデーター好きにして! 僕はもっと未来都市を見てみたい!なんて叫んでみたい気もしますが。。。しかし何か問題があれば監視される事になるという感じです。何かあればというは中国には国家反逆罪法というのがあり 政府に対して批判的であったり人民を それにより煽ったりするような意見や犯罪やルール違反者に対しては厳しい監視が入ります。政権に対しての発言は確かに自由はありませんが 正直人民の多くは興味ない。金儲けには興味ある。自分に被害なければ興味ないといった感じなおで態々政権批判をしてまで戦おうとも思いません。そうじゃない人もいるけど 金儲けの方が優先かな。

そして健康管理アプリがその後も活用され 春には病院やショッピングセンターや企業ビルやらで 健康を示す色のグリーンでないとエリアに入れないという対応も出てきます。徐々に緩和されてるので そこまで厳しさは減りましたが病院に入る為には必須です。そして空港や省をまたぐには必須です。 スマホ持ってないなら来るな!と言わんばかりに普通に全人民が強制されます。小さい子は別として。

健康管理アプリ

SNSアプリからスキャンして現在の自分の健康を表示してくれます。

これを見せると通過できる。しかし実際のところ確認する人も一瞬しかみないのでスクリーンショットで画像保管してて それを見せてる人もいます。日付まで見られないとわからないので抜け道がある。おかげで病院に入るには長蛇の列です(笑) ちゃんとしてる場所では機械でスキャンニングされるので誤魔化せませんが チラッとみて終わる場所は 適当にやり過ごせます。

でも政府もかなり力を入れて警察や取り締まりも強化して いたるところに警備が居ます。上海で生活してて政府も必死に対策に力を入れてる事は感じます。それ以前に人民人口が多いし抜け道を探してくるのである意味強い強制力をもってして統率しないと いけないのも感じます。

2020年コロナ対策で中国にいて感じた事

2月の期間は家から本当に出ないで自宅で過ごした。蟻のように居た人民も町中から忽然と人が消えました。まるで映画セットの中に入ったようでした。 

何としてもコロナを止める!という国の方針に協力するという姿勢を多くの中国人から感じました。その為 頻繁に国民感情を高める宣伝も多く国難として一致団結する報道であふれてました。

医療関係者の苦労を伝えるムービーも数多く作られ涙なしでは見れない動画も多く友達の看護婦さんも武漢に派遣されたり拒否すると免許剥奪と暗黙で言われてました。

エールを送り国歌を流しもう帰ってこないかもしれない戦場に送り出すかのような風景に熱いものを感じました。とにかく政府は世界に向けてアピールが必要でしょうが国内では早く経済を回さないといけないという思い。でも今は国の為に我慢する時という感情が入り乱れてました。が比較的混乱もなく、みな素直に自宅に籠ってたと思います。頻繁に国歌を聞き感情を揺さぶられ  最後は人民の愛国心の強さも同時に感じたのを覚えています。

最後の最後は愛国心だった。国を愛し国歌を聴けば胸が熱くなり自分の出来る事は家から出ない事くらい(笑)とユーモア―に満ちたSNS投稿であふれてました。嫁から早く働け!と言われると国の為に家にいる!(笑)というテーマで色んなアレンジした動画が投稿されてました。無茶苦茶も多いけど 中国って面白いな~と思ったコロナの1年でした。

中国報道に関して感じる事

中国なので何でもかんでも報道するという意味では自由はありません。政治的に敏感な部分は確かに規制がされてます。がNETで出回る時代でもあるので 人民が何も知らないとは少し違います。しかも多くの人が そのギリギリのラインの上で上手くユーモア―にSNS投稿してる印象もあり 行き過ぎた投稿には目を付けられる事もしばしば 。しかし何でも報道すればいい!というものではないとも感じます。情報があふれ過ぎて信じるれる情報や自分が耳にするタイミングや受け入れ方など人それぞれです。いくらTVで丁寧に説明しても説明不足だ!とか情報が少ないとか 必ず起きます。今回コロナで厳しい時期の2月3月4月頃の中国では 悪いニュースは控えめにしポジティブなニュースや国難、一致団結、などを中心にした宣伝を繰り返ししていました。CNNのニュース番組とは別に一日中 特集した番組チャンネルもみれました。でもNETでは悲惨なニュースが結構出回りリアルな武漢の現実もどこかで感じていました。しかし国の方針や対策はブレずに突き進んでいたので人民は基本受け入れるしかない強制力の中で 各々が国難に立ち向かう精神 愛国心を揺さぶる報道。行き過ぎると洗脳とか言われそうですが 歪んだ見方をしなければ 普通に受け入れTVみて報道みて 医療現場の厳しさを感じていたし武漢市の医療の悲惨さも連日報道される中で最後は国歌や愛国心をくすぐる まとめ方が多く TVを見終われば 自分に出来る事を考えて行動を控えるようなバイアスがかかるのには役に立ってた気がしました。少なくとも上海では。まあ多種多様な人なので 変な人もいますが半ロックダウン中は本当に 嘘のように 人が居ない! 警察、見回り警備が沢山いて 体温検査で37.5とかあれば その場で強制隔離シェルター呼ばれて隔離され、住宅封鎖、NETで個人情報や行動履歴流失とかされて、ある意味怖いので 気軽に外出れない(笑)。

もっと無茶苦茶かなと思いきや意外と皆 守るんだなと。思ってた。

そして2021年1月 現在の上海の状況

マスクは殆どの人がしてます。が必須ではありません。意識はある。ソーシャルディスタンスという状況は全く存在してない。普通に密密密です。人気店も長蛇の列ですし 店内も普通に密で 飛沫飛びまくりです(笑)。コロナ前と変わらない。町はそれなりに活気が戻りコロナ前に戻ってると思うほどです。外人の入国制限がある為 外人目当ての商売していたところは厳しく、日本人相手に日本食していた店は潰れている店多い。国内の人気店は相変わらず 客が戻りました。そして夜には公園でも皆大好き公園ダンスも再開してる。私生活で特に不便を強いられる事はない状態が4月から続いてます。どこかコロナが外国の話として会社でも話題にすらならない日々。会社でも逆に日本どうなってるの?アメリカどうなってるの?と 本当に外国を心配する話になってる感じ。でも今後どうなるか判らないのが中国ともいえるので 気は抜けれないとは思いますが コロナ0対策はある意味成果を出していると言えると思います。2月3月の2ケ月は厳しかったが その後は回復し国内旅行は行けます。海外に出れない分 皆国内旅行で盛り上がってる。(一部 コロナ発生したとこは別)GOトラベルじゃないけど中国は観光地のチケット半額とかの対策で安く見れたりは入れたりでお得感を出してる。流石にコロナ感染者沢山いるのに皆で旅行しましょ!なんて政策にはならない。そんな宣伝 政府は流石にしてない。

気が付けば2020年夏以降は国内旅行ブーム到来でした。とはいえ早く海外との鎖国を解いてほしいものです。 中国に滞在する外国人達も中国から気軽に出れません。今のところ中国に戻れば14日隔離されますので そこまでして帰る用事がない限り 皆控えてます。しかもチケット値段は航空便の激減によりかなり高騰してて 以前のように安いチケットが販売されるまで回復してくれるのかも心配になります。  いつになれば お国に帰れるんだ!

上海でコロナを通じて中国の色んな事を感じた年になりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?