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上海生まれの娘と僕は三角関係㉑

僕の娘は上海生まれ。

少しずつ親になる

子育てを経験してみて
僕は色んな事を考えるようになった

娘が生まれた時、僕はまだまだ父親ではなかった

しかし娘は
生まれた夜に僕を父親として
僕の人差し指をムギュムギュと握り
必死に生きようとしている事を教えてくれた

初めて抱いた我が子への感情
この子の為に生きなければと思わされた

幼い娘の世話が日常的になり
僕は子育てに嵌っていく

中国では両親が熱心に孫を見てくれるから
僕がする事は少なかったけど
仕事から戻り家に帰ると
僕と娘の時間が訪れる

ご飯を食べさせ
お風呂に入れ、遊んで寝かす事が
日々の生活になっていく

オムツをかえ
ミルクを作り
お風呂に入れ
寝かす

何回してもぎこちない手つきで
対応する僕だけど
実は楽しかった

朝から晩まで両親か妻が世話してるので
夜は妻にも休ませ少しでも負担を取り除きたい
もあるけど

お風呂に入れたり寝かしたり
娘と接してる時間が、想像以上に
楽しかったのが本音だった
朝からずっとなら大変だと思うけど
僕に与えられた時間は毎日3〜4時間程

僕は器用ではないから
迷惑かけながら
よくある子育ての苦手な男のように
妻に色々言われながらの対応だったけど
疲れて仕事から帰り大変な日もあったけど
嫌なことも忘れられる
唯一の時間となっていた

娘が初めに覚えた言葉は中国語

妻と両親と娘は会話が弾むようになり
僕一人だけ取り残され
一人寂しい想いをしていた時期もあった

僕の知らないところで
妻と両親と娘の会話が増え
色んな事を両親が勝手に進めて行く
僕は随分後から聞くことも増える

両親が我が子のように接している
ように見え僕は心で
この子は僕の子だ!と叫んでいた

何でも対応する両親は僕が娘に入る隙を
与えてくれない。
よく言えば僕に手間を取らせなく何でも
手伝ってくれる

そのため、僕は自分の子なのに何も
しない環境を形作られてしまっている

両親も悪気があるのでは無い
深いコミュニケーションが取れてないから
同意なしに色々進んでいく事が多い
妻も親を制御できない

何も言えない僕は我慢し暮らす時期が続いた


両親があまりにも孫を可愛がるから
遠慮する僕は
そんな勢いに負けていた

靴下が一人で履けない娘は、ある時
僕に靴下を履かして欲しいと
お願いしてきた

両親が駆け寄り私がやるからと
娘がもってきた靴下を取り両親が履かそうとする

娘はパパに履かせてほしいと泣き
両親を困らせる

両親は困惑し僕は靴下を返してもらい
娘に履かせる

心で娘に
ありがとう お前はパパの子だからね と言い
困る両親には悪いが
何もかも
僕から奪い取らないで欲しいとさえ
思っていた時期があった

そんな娘も成長し

いつも おんぶに抱っこ と言っていたのに
一人で歩くようになり
一人で靴下も履くようになり
一人でお風呂にも入るようになる

少しずつ自分で何でもできるようになり
親離れしていく

成長する子に喜びを感じ
手がかからなくなり楽になり
親の負担は減るが


なんだか必要以上に寂しさも蓄積していく
僕の心は複雑だ

勝手な僕は

永遠に時が今のまま止まり
僕ら家族の時間が
今と変わらないで欲しいと
祈りたくなる

今日と同じ日常が
明日も
明後日も
一月後も
1年後も
十年後も
五十年後も

そのままでいい

これ以上何ひとつ変わらなくていい

これ以上成長しなくていい
娘も僕も妻も
今のまま
今の家族の形のままで 

そう
今の家族の形のまま
永遠に暮らしたい


そんな夢みたいな事を抱き
刹那的な幸せに永遠の幸せを重ねる

幸せは長くは続かない
人生には終わりがある

今日と同じ日常が
明日もあるとは限らない
明後日もあるとは限らない
一月後も
一年後も・・・
形あるものには終わりがある
だから切ない想いになる

この感情は何なのだろう

どれだけ娘に嫌がられても
どれだけ娘にソファで蹴られても
どれだけ娘に笑われても
どれだけ娘が悪さをしても
僕から娘を嫌いになる事はない

妻が娘の嫌な夢を見て僕に聞いてきた
子供同士で喧嘩して友達を殺してしまった
そんな嫌な夢を見たと
あなたならどうする?

僕は答える言葉選びに迷ったけど
娘に怒るし相手に一生謝っても
亡くなった人は戻らない事だけど

娘を守れるのは最後は僕ら二人しかいない
だから初めから僕は娘を許していると思う
と言ってしまった

きっと僕は親失格で世間から見たら
子供の躾もできないダメな親として
映るんだと思うけど、

僕は自分の子を
逃げ場の無い追い詰め方なんて
出来ないと思った
世間が彼女を裁くから
僕は彼女を守るんじゃないかなと
妻に言った

妻も同じ意見だった
しかしそんな事になってないから
本当の事はわからない

その時僕はどんな感情で
どんな判断をして
娘と向き合うのだろうか

少しずつ親になる

時間が止まるのではなく
今日と同じ幸せな日常をループする
そんな輪廻の世界で暮らせるならば
もっとゆっくりと二人を愛してゆける

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