人は何度も生まれ変わる【冬ピリカグランプリ応募】

冬ピリカグランプリが面白そうなので応募しました
灯ともしびをテーマに書きました

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タイトル「灯屋ともしびや」

人は何度も生まれ変わる
引き継がれる灯

あの方がこの世を去った

私はまた堕ちてくる
探しなさい

そう言い残した言葉は
嬉しい言葉か
悲しい言葉か

あの方は生まれ変わる
そして
また出逢える

希望の言葉に救われ月明りの下で
私は泣いた

あの日から旅をして四十九日目
たどり着いた辺境の地で見つけた
灯屋ともしびや

色んな蝋燭ろうそくが所狭しと並んでる
色んな灯ともしびを放っている

無数の灯ともしびなのに
なぜか暗い部屋

店主は訪ねてくる

どの灯ともしびを探していますか？

どれも同じと思っていた灯ともしびにも
僅かな差があり同じ灯ともしびは無いと知る

微かな灯ともしび
まぶしい灯ともしび

今の心が惹ひかれあう灯ともしびを探す

弱くては落ち着かない
強くては目を閉じてしまう

人それぞれに灯ともしびの強さがある

無数にある灯ともしびの中に一つだけ

心を温かく照らす灯ともしびを見つけた

他の無数の灯ともしびは消え

一つの灯ともしびだけが私を照らす

店主はいう

見つかりましたか？

はい　みつかりました
さがしていた灯ともしびが
みつかりました

私の冷たい心は温かく懐かしくなり
幸福に満ち満ちてゆく

私は店主に聞いた

あの人は生まれ変わりましたか？

そのようですね
と店主は微笑む

さらに店主は話を聞かせてくれる

魂は導きあい　いずれ出会うでしょう
でも
それを感じる事ができる時は
また深い悲しみを感じる事になるでしょう

心の準備をしなさい
と

はい
それでも　もう一度
あの人と出会いたいです

店主は
わかりました
と答え

私は安心し
出会えるはずのない魂に出会えた気になって
灯ともしび屋を後にした

不思議な場所があるものだと
立ち止まって後ろを振り向くと

そこには灯ともしび屋はなく

古びた祠に
小さな仏が笑顔で座っていた

あの人の魂を探す旅が始まる
その先に苦しみが待っていようとも

生きている人の心は
自分勝手に灯ともしびを求めてしまう

お願いです
私の近くに堕ちてきて下さい

-完-

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（820字）

のんちゃ　さんの記事を見て知り応募しました！
ありがとう　のんちゃさん　ありがとうピリカさん