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新人先生伴走物語① 先生たちの初任者研修制度って?

3月で公立中学校の校長を役職定年になり、4月から小学校の初任者の拠点校指導員になりました。
希望を胸に、生き生きと学校に通う先生に元気を頂きながら、のびのびと“なりたい自分”にむかっていけるように伴走したいと思っています。

38年も学校に勤めてきましたが、小学校での経験は、小学校での2年間だけ。初任の先生たちに負けないように学び直しをしながら過ごす毎日は、これまでと違う楽しさに出会うことができました。

一方で、本当に先生たちのお役に立てるのか、不安に思うこともあります。自分だけでは進んで行けないので、こちらで学ばせていただきたいと思い、記録していくことにしました。

先生の初任者研修ってどうなってるの?

一般企業の多くは、1ヶ月程度の研修期間を経て配属になることが多いようです。
しかし、学校現場では4月1日に事例交付式があり、その足で赴任校に向かいます。したがって、研修は先生として勤務しながら行います。
他府県の話を聞いてみると、自治体によって研修の持ち方は随分違うようですが、本県のものは内容的にも充実しているのではないかと感じています。
具体的には次の通りです。

初年度の研修

【校外研修】
☑️県の教育センター等が計画するもの 
 教職基礎研修、校種別研修、同校種授業研修
☑️校長が選択して計画を立てるもの
 異校種の研修、選択研修1
以上の研修は、基本的には全日の出張となり、その間は非常勤講師の先生が授業をします。

【校内研修】
☑️授業研修
 参観授業 示範授業 授業研修 一般研修 
以上は勤務しながら校内で行う研修です。

拠点校指導員の職務

拠点校指導員は上記の研修のうち、次の校内研修を担当します。
 参観授業 授業研修 一般研修
私の場合は、拠点校となる学校の2人の先生、あと2校に1人ずつの計4人の先生を担当しています。

授業研修では、参観した授業をもとに教科指導について研修します。
一般研修では、生徒指導、特別な配慮や支援を要する子どもへの対応など、メンタルヘルスも含めて、広く研修を深めます。

これからの教師に求められる資質とは

中教審「『令和の日本型学校教育』を担う…」答申から、これからの教師に求められる資質・能力をまとめると主な内容は、次の5つになります。

1.教職に必要な素養

・「令和の日本型学校教育」を踏まえた新しい時代における教育、学校及び教職の意義や社会的役割や服務等を理解するとともに、国内外の変化に合わせて常に学び続けようとしている。
・ 豊かな人間性や人権意識を持ち、他の教職員や子供達、保護者、地域住民等と自らの意見も効果的に伝えつつ、円滑なコミュニケーションを取り良好な人間関係を構築することができる。  他

2.学習指導

・関係法令、学習指導要領及び子供の心身の発達や学習過程に関する理解に基づき、子どもたちの「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を行うなど、 「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実に向けて、学習者中心の授業を創造することができる。 他

3.生徒指導

・ 生徒指導の意義や原理を理解し、他の教職員や関係機関等と連携しつつ、個に応じた指導や集団指導を実践することができる。 他

4.特別な配慮や支援を必要とする子供への対応

・特別な配慮や支援を必要とする子供の特性等を理解し、組織的に対応するために必要となる知識や支援方法を身に付けるとともに、学習上・生活上の支援の工夫を行うことができる。

5.ICT や情報・教育データの利活用

・学校におけるICTの活用の意義を理解し、授業や校務等に ICT を効果的に活用するとともに、児童生徒等の情報活用能力(情報モラルを含む。)を育成するための授業実践等を行うことができる 。
・ 「個別最適な学び」と「協働的な学び」の実現に向け、児童生徒等の学習の改善を図るため、教育データを適切に活用することができる。

教師に求められる資質能力の再整理|文部科学省
『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等のあり方について〜「新たな教師の学びの姿」の実現と、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成〜答申(概要)|文部科学省,


あなたはどんな先生になりたいの?

初めての一般研修で尋ねました。
「あなたはどんな先生になりたいの?」
それぞれの先生方は生き生きと思いを語ってくれました。

今、先生はブラックなどと言われることがある。
実際に採用試験の倍率も驚くほど下がっています。
採用試験の倍率が下がると「教師の質」が低下しているのではないか、ということが話題になる。
しかし、決して質が低下しているわけではない。
いや、むしろ私たちの時代より、質は向上しているのではないか。
目の前の若い先生たちを見ていると、そんな気がしています。

こんな時代に教職を選んでくれること自体が高い意欲と素養を持っている証拠だと言えるように思います。

1年間のお付き合いではありますが、初任者の先生たちには教師エージェンシーを発揮できて、Well-Beingに向かいながら、学校教育のチェンジメーカーになったくれることを願っています。
自分も成長しながら、先生方の成長に伴走していきたいと思っています。


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