AI時代、人が存在する価値とは?
最近のAIの衝撃は、写真が登場した時と似ている。
当時も「人が何をするのか」が問われていたからだ。
アートの歴史を振り返ると、リアルな描写が全盛の時代があった。
そんな中、突如として写真が現れた。カメラを使えば一瞬でリアルな絵ができあがる。この品質を見て多くの人びとは思っていた。
「写真の登場でアートは死んだ」
そんな中、マティスが「現実をそのままトレースするだけがアートではない」というメッセージを伴った作品を発表しアートを復活させた。続いて、ピカソが「一枚の絵に多視点を持ち込む」という新たな世界を見出し、アートの歴史をさらに更新した。以降も、多くのアーティストが新たな価値観でアートの世界を切り拓いている。
昨日、街中で白髪姿の老夫婦が杖をつきながら寄り添って歩いている姿をみて、どこか不思議な気持ちになった。2人のこれまでの人生や近年の結婚観との対比、コロナ禍で街中で見なくなっていた老夫婦の姿を再び見れるようになってきたこと、春の訪れを感じる気候等、沢山のコンテキストが詰まっていたからだ。
街中の老夫婦という日常の一コマにも、気持ちを揺さぶるパワーが確かに存在している。
写真がアートに与えた影響と同様、「新たなコンテキストを見つけ形にする」こうしたプロセスにこそ人が関わる価値があるのだろう。
技術の進化が凄まじい今だからこそ、気持ちや感覚に素直でありたいと思う瞬間だった。
Photo by anna beukema on Unsplash
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