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行動経済学が興味深くておもしろい

私の所属する会社には図書館がある。

それだけでもかなり恵まれている環境だとは思うが、その図書館ではなんと何冊でも本を借りてよい。

もちろん借りる冊数が多すぎると読み切れないものの、その場で多くを選べるのはとても嬉しいこと。

講演会でいらっしゃった方の本が何冊も置いてある。

そしてふと気になるような目につく本が何冊も置いてある。

そして理由をつけて求めれば、色々な本を買ってもらえる。

もちろん会社の事業に貢献するという観点で置いてあるのかもしれないが、個人的には趣味の宝庫になっている。

読書好きにとっては、たまらない空間。

小説は市の図書館、経済・学問・行動については会社、それぞれの場所の特性を活かして、かなり有効活用できている気がする。







その中で今回借りている本が、なかなか面白い。

「行動経済学が最強の学問である」という本。

何をもって最強とするのかという点で色々と疑問があったが、手に取ってみると思った以上に面白い内容。


まず行動経済学はひとことでいうと、「人が非合理な意思決定をするメカニズム」を科学的に明確にしたもの。

なぜで人が非合理な行動・選択をしてしまうのか。

その意思決定をつかさどるものを、「認知の癖」「状況」「感情」という3つに分けて、丁寧に説明している。

・認知の癖…脳の認知の癖が、人の意思決定に影響する。一人一人情報を入手しても各個人で認知の仕方が異なるため、その違いによって生まれる歪みが非合理な選択を引き起こしているなど。

・状況…置かれた周囲の状況が人の意思決定に影響すること。周囲に合わせる、過酷環境での非合理な選択、選択肢の提示で提示した側の思うようなものを選ばされるなど。

・感情…その時の感情が意思決定に影響する。不安や怒り、その他さまざまな感情によって、冷静であれば選択しないような選択をしていまうことなど。


これらの例についていくつかの出てきた内容について紹介してみる。

〇認知の癖による影響
・システム1 vs システム2
⇒自動的で早い処理(深く考えない)による意思決定と、意識的で精度の高い処理(深い思考)による意思決定の違い
・確証バイアス
⇒自分の思い込みや願望を強化する情報ばかりを集めて、そうではない情報は軽視してしまう傾向
・概念メタファー
⇒抽象的な概念領域を具体的な概念領域を通して理解するという認知の仕組み

〇状況による影響
・情報オーバーロード
⇒膨大な情報によって必要な情報が埋もれてしまい、解決できたはずの課題が理解できなくなったり、意思決定したりすることが困難になること
・アンカリング効果
⇒先に与えられた情報や数字に無意識のうちに判断を歪められてしまうこと
・フレーミング効果
⇒同じ情報でも、それを提示する方法によって人々の判断や意思決定が変化する現象

〇感情による影響
・ポジティブアフェクト・ネガティブアフェクト
⇒自分の感情を表したり、他人に対応したりする時にする表現で、ポジティブで表現するときの効果と、ネガティブで表現するときの効果で、同じことを言っていても表現によって受け取られ方が異なる。
・目標勾配効果
⇒人が目標に近づくにつれて、行動や努力を加速させる心理的な現象
・心理的コントロール感
⇒自分で自分の扱うものをしっかりとコントロール出来ている感覚を持つことであり、これを失うとネガティブな感情や非合理的行動につながる


これ以外にも色々な仕組みが述べられているが、色々な企業や研究の例にて世の中の目に見えない仕組みを見える化して、理解させてくれるという点でとてもわかりやすい。

また自分自身の「認知の癖・状況・感情」を冷静にとらえることが出来れば、より能動的に合理的な選択を取ることが出来るのではとも感じた。

そしてある場面に遭遇したときに、少しでも「行動経済学のこの仕組みかも」と具体例を通して知っていることによって、実は企業がこっそりと使っている戦略を垣間見ることが出来る。

おそらく企業側としてはそれをさらっとマーケティングの一部として、顧客には知らせることなくこの手法を多用している。

仕組みが理解出来れば、その場面に遭遇したときに一歩引いて冷静に理解をすることや合理的な選択をすることが出来る。

是非色々な人に読んでほしいなと思った1冊であった。








世の中に張り巡らされた仕組み、それは環境・国民特性・地域毎にその仕組みにはまりやすい、はまりにくいなどはあるかもしれない。

でもその効果を知ることや、客観的に自分がどのような効果にかけられようとしているのか認識できることは、とても強い。

人がなぜそう行動するのか、その心理的なもの、色々と知ることはとても役に立つ。

なぜなら歴史・政治・経済動向の変化を含めて、大衆の思考や心理が反映されているから。

なので、ミクロな行動心理を知ること、マクロな行動心理を知ること、それらによって未来をある程度予想することは可能かもしれない。

つまり歴史は人々の行動と心理が凝縮されたものの結晶としても見ることが出来るということ。

有名な人や出来事にフォーカスするだけでなく、その時の心理的な背景を含めて、色々な面で考えてみるととても面白い。

行動経済学という知識を通して色々なものを見ていくこと、それはとても役に立つことや新しい発見につながるかもしれない。






ありがとうございました。

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