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そうか、そういうことか。を紡ぐ

注)このnoteは、株式会社ネクイノ代表取締役の石井健一が株式会社ネクイノメンバー向けに書いているnoteです。そのため、使用している用語に通常で使われているものと意味合いが異なる場合があります。

0.はじめに

2023年1発目の投稿です。今年は卯年。うさぎといえば、確か大学3年生の時だったかな・・・大学の実習で使ったうさぎ(実験動物)が実験後に処分されてしまうことを聞き、「それならこの子飼うのでください・・・」って言って無理やり貰ってきた思い出があります。僕は漫画家の吉田戦車さんが好きなので、うさぎくんの名前は「吉田」にしました。本文とは全然関係ないですが、獣医さんに行った時「石井吉田くーん」って呼ばれるんですが待合室にいた他のお客さん(お客さんでいいのか・・・患者さんじゃないよね)にクスって笑われたのを覚えています。どっちが苗字か確かによくわからん。
ちなみに、この吉田くんあんまりの墓、今での実家の片隅に残っています(こんど墓参りしよ)

図1 吉田戦車さん・・・といえばかわうそくん
(amazonから画像取ってきました)

さて、本題。今日のnoteは先ほどリリースした、この内容について改めて経緯と思いを書こうと思い綴りました。

1.改めて、ウィメンズヘルスを取り巻く課題について

ウィメンズヘルス(女性医学)は生物学的な特徴に基づくライフイベントや疾患・不定愁訴などを医療の力で解決・支援していく領域で、出典によって少し違いはあれど大きく

1.生理とBC/PC(≒ホルモン分泌と周期)
2.妊活・不妊治療(≒妊孕性)
3.更年期障害(≒ホルモン分泌減少による課題)
4.特有のがん
5.セクシャルウェルネス

※BC=バースコントロール、PC=パフォーマンスコントロールの略

各種出典より石井が改変

あたりに分類することができます。生物学的女性のほぼ全ての方が対象になるのも関わらず、個人差が大きい、なかなか共有の課題として会話しにくい、などの理由から集合知として課題認知・解決策が社会実装できていないのが2023年の現状じゃないか、と思います。

解決策がないのか?、っていうと全然そんなことはなくて、医学的な視点からは解決策はある、といって過言でない状態にあって、例えば皆さんご存知の低用量ピル。欧州各国では対象人口に対して20-30%以上の方々が常用=社会実装されています。つまり、課題を抱えている人の多くが解決策にアクセスできる環境にある、と言えます。(参考:日本の服用率はその1/5-1/10程度)
また、更年期障害も特にグローバルのフェムテック領域では近年取り上げられることが多くなってきた領域ですが、更年期障害の治療・症状緩和には不足したホルモン剤の投与(+漢方薬など東洋医学的アプローチ)、という基本的な治療法が存在します。実際、非常に高い症状緩和率を示すため、医療機関へのアクセスが確保できればこの課題で悩む人はもっともっと少なくなる、と考えられます。

じゃあ、なぜアクセスが確保できないのか?っていうのが次のポイントで病院・診療所も含め日本には6,000-8,000軒くらい婦人科を標榜している医療機関があります。専門医がスポットで診療しているところも含めればもっと多くのタッチポイントがわが国には存在しています。この、専門性の高い医療機関が溢れかえってしまっていて診療余力がない、というのであればアクセスの課題は理解しやすいのですが(中国とか、インドの医療機関はこんなイメージ、ただし婦人科だけじゃなくて全領域ね)決してそんなわけではない。じゃあ、何だろう。

僕は、その症状や悩みを「持つ」ことそのものに対する罪悪感とか、周りからサボってる・・みたいに見える/見られるっていうことが根っこにあるんだろうな、って思ってます。だから、この根っこの部分をメジャーアップデートすることが重要で、そのために資源を投下して世の中に問いていくことが必要なんだろうな、って考えてます。

2.パフォーマンスコントロール

今回お取り組みをご一緒させていただくフウガドールすみだレディースさん、改めて貴重な機会をいただき本当にありがとうございます。

図2 プレスリリースより引用

生理や周期の課題はその人のパフォーマンスに直結します。社会生活を営んでいく上でそれは多くの人に(程度の差こそあれ)同じように訪れるものですが、そのパフォーマンスが成果に直結する方々、特にアスリートなどはパフォーマンスを安定させること、コントロールしていくことが特に重要といえます。なので、社会と対話をしていくにあたりまず「特定のセグメント」における「特定の課題」を実際に顕在化すること、そして解決すること、そうすることで

ああ、そういうことか。

っていうイメージを社会に提案しつづけることが僕たちの使命なんだろうな、って思ってます。

3.もうちょっと経緯を書くと

今回のプロジェクトの実現までには、実は社内での最初の構想から4年くらいかかっています。きっかけは、これ×2↓↓

上の記事は、なでしこ(女子サッカー日本代表)のレジェンド、澤さんのインタビューです。記事を書かれた日時を目ん玉見開いて見ていただきたいんですが、2017年12月。そうまる5年以上も前の話なんです。いまでこそ、インフルエンサー含め多くの方々が生理の話やピル服用の話を発信できるようになりましたが、当時は本当に勇気がいる発言だったと思います。それでも、海外で活躍をしてきた人だからこそ、その必要性やあたりまえ感を思って発信に至ったんだ、と想像できます。

◉排卵日には靱帯がゆるみやすく、けがをしやすいので、基礎体温を見て気を付けていました
◉試合日と重ならないように生理周期をコントロールしたり、生理による鉄分不足(貧血の原因)を防いだり、というメリットもありました。試合のパフォーマンス向上にもつながった

アスリートとして最前線で戦う中で、明らかなメリットを理解しながら医療を上手に活用していますよね。こういうケースってきっと世の中にいっぱいあるんだろうな・・・って調べると、2つ目の記事が出てきました。これは2020年に書かれています。フィジカルの調整や、トレーニング、メンタルヘルスの部分まで、生物学的女性に特有な課題に「医療」という解決策をどう繋げていくのか、そのアクセスの仕方についての大きなイノベーションだと考えています。こういった課題と解決策をつなぎ込んでいくプロセスをネクイノでもやりたいよなぁ・・・って思ったのが2018年末くらいで、そこから紆余曲折をへて2023年にやっとキックオフ、となったという経緯なんです。

4.何をやるの?その先は?

最初の取り組みとすると、顕在化している課題を医療と結びつけること。この課題について顕在化させていくこともこれに含まれます。上記、生理とパフォーマンスの課題とするとこれを課題と認識している選手の方に対してアクセスを改善させるだけでなく、その周囲(チームだけではなく支援者やご家族など)には課題と認識していない、または認識してはいけないと感じている方もいらっしゃるはずですこういったさまざまなステークホルダーを巻き込みながら課題に対する解決策をひとつひとつつなぎ込んでいく工程にまずは取り組みたいです。

そして、生理の課題であればもうちょっと深く突っ込みたいのが、「無月経」です。

スポーツの種類にもよるそうなのですが、概ね
◉活動量が多い(トレーニング含む)
◉小柄な体型が有利
の場合、女性アスリートは無月経のリスクに晒されます。前者はサッカーや水泳など、後者はフィギュアスケートや体操・陸上中長距離など。陸上の中有長距離はトレーニング時から活動量も多いので重複してリスクが高そうですよね。

これはアスリートだけには限らないのですが、多くの生物学的女性にとって生理は「面倒臭い」もの。なくなるのであれば無くなってしまった方がある意味都合がいい、と言っても過言ではないと思います。そういった背景の中で、運動負荷をかけていく過程、(短期的に)タイムや成績が良くなる指向性を持つ「生理が止まる」と言うイベントは、コーチや周囲へ言いにくいこともあり、また同じようなセグメントの選手間でよく発生することもあって「普通のこと」「当たり前のこと」に定着していってしまいます。これ、文章で書くと「これはやばい!」って思っていただけるんじゃないかなと思うのですが、これが現実に起こっているのが今の世の中で、今の日本なんです。成長期・壮年期における無月経は妊孕性の低下だけでなく、若年性骨粗鬆症の発生他体に多くの負荷をかけることが報告されています。

僕たちは(主語が大きいですが)みんなオリンピックとかワールドカップとかスポーツイベントが大好きです。想像を絶する負荷をかけて鍛え上げられたフィジカル、ギリギリの緊張感の中でそれを跳ね除けて成果に結びつけるメンタル、そしてそのひたむきなプレーに感動し、日々生きる活力をもらえたりします。

でも、忘れちゃいけないのが「その場所に立てた人の向こうに、数えきれないくらいの屍が転がっている」状態を「よし」とてはいけないこと。

医療、っていう解決策を課題にちょっとずつでも近づけること。橋をかけることにこだわり続けること。いま、まだ具体的な課題として世の中に認知をされていないこの生物学的女性のカラダとスポーツのこと。こう言ったことをこのプロジェクトを通じて世の中に「なるほど、そういうことね」と言う形で発信し続けていきたいと考えています。

2023年1月16日
株式会社ネクイノ
代表取締役 いしけん


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