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2020.5.8: 立教大学観光学部「ビジネスコミュニケーション」w/ ゲスト:法政大学・田中研之輔先生

ビジネスコミュニケーションというクラス

ようやく5月1日より立教大学の春期クラスが開講。もちろんオンラインによる実施が指示されている(zoom meeting:大学からは300名上限のmeetingアカウントが教員に付与されている)。

自分が担当する「ビジネスコミュニケーション」は、今期から株式会社Loco Partnersからのサポート(主に授業設計や、ゲストスピーカーのアレンジメントなどの人的サポート)を受けて実施。

株式会社Loco Partnersは、キューレション宿泊予約サービスであるRelux( https://rlx.jp/ )を運営する会社で、前年秋期の「宿泊産業組織論」の1コマでご一緒し、今回有難いことにこういった発展となった。

https://loco-partners.com/2020/04/news/11047.html

1日のイントロセッション終わり、8日にいよいよ初めてのゲストスピーカーをお呼びしてスタート。これから終わりまで、すべてのコマで多種多様なゲストスピーカーをお呼びしてお話ししていく。個人的にも初めてセッションをやらせていただく方々が多く、非常に楽しみ。

ゲストスピーカー:田中研之輔先生

今回のゲストは、法政大学の田中研之輔先生(通称:タナケン先生)。

上記プロフィールでも分かるように、アカデミアという枠を飛び出し、産学のフィールドを自由に飛び回っている非常にアクティブな先生。そして奇遇にも同い年w。

今回お話しいただいたのは、タナケン先生が標榜する「プロティアン・キャリア論」。プロティアンとは、変幻自在に姿を変えるギリシア神話のプロテウスが語源。自身は何にでもなれる、すなわちプロティアン・キャリアとは「キャリアの成否を決めるのは自分」という理論。

プロティアン・キャリア論とは

ここからは、先生がクラスでお話ししてくれた内容以外にも、自身の備忘録として簡単にまとめてみた。

先生の著書「プロティアン:変幻自在キャリア」を拝見して、もともとダグラス・ホール教授が提唱していた「プロティアン・キャリア」理論に、ピエール・ブルデュー教授の「資本論」を組み合わせたことがもっとも印象的。

名著「ワーク・シフト」・「ライフ・シフト」で知られるリンダ・グラットン教授らの「無形資産」という概念を組み入れる取り組みももちろん重要な側面があるのだが、自分のバックグラウンドからか、それよいもキャリアの厚みや組み立てを「BS:貸借対照表」の枠組みでとらえたのは非常に新鮮だった。

「プロティア・キャリア論」を一言でいうならば「キャリア資本」、すなわちキャリアの厚みを、経済的な資産と同じように形成していったほうがいい、という考え方。

経済的なもので例えると、現金・株・不動産がイメージしやすく、これらのリスクだったり、リターン(見返り、値上がりなどの成長性)のバランスをはかり、分散して形成していく。

キャリア資本論では、キャリアについても同様に形成していくべきだと考え、種別としては、①ビジネス資本、②社会的資本、③経済資本、それぞれの特性を理解して構築していこうというもの。

クラスの後に学生運営メンバーと話になったのだが、「給与で仕事を考える」というのは③。一方で、①は、特定の分野・ジャンルの知識とか経験(習熟度)など、②は、人間的なつながりとか、それに関連する信用とか、人的なネットワークなど。

次にここへ時間の概念を組み合わせていって考えていくのが必要で、自分の実年齢(産まれてからの年齢)やキャリア年齢(特定の分野での経験年数・時間:自分であればホスピタリティ系は20年くらい、一方で教育者としては3年くらい)に応じて、①・②・③の配分、力をいれるところを変えていく。

もう少し自分のケースで例えると、ホスピタリティ系はすでに①・②がかなり溜まっているのですぐに③に転換できるな(人脈、経験・スキルがあるから、すぐマネタイズできる)、一方で教育者としては、そもそも①②③の合算値がすくなく、今すぐ③は考えにくく、いまは①に集中しているところ、②はホスピタリティ系のものを流用できるところがあるので、①があがってくれば(②は比較的強いので)、将来的には③にも寄与するかも、といったところ。

なので学生に話したのは、10代、20代という年代でいうと、③(稼ぐ!)というところよりは、①や②を重視した方がいいのでは?、というコメント。自分よりも皆が持っているのは確実に「時間」なので、形成に時間がかかる①・②を意識した方がいいかな、と(①・②を叶えつつ、③も形成できる職もあるけれど、いずれにしても①②③のバランスは個人の嗜好にもよるので、意識しましょう、というのは大事かと)。

クラスが終わった後に学生メンバーと話していたのは、②を意識するあまり、「友達や人間関係を損得で考える」ようになってしまう危険性もあるので、そこは気を付けなきゃね、とは自省も込めて。このあたりは無形・有形とは区別した無意識資本、有意識資本といった概念が必要かも。

大学クラスのゲストスピーカー

今回タナケン先生に来ていただき、本当に勉強になった。それは著書を読ませていただき、そしてクラスにてプレゼンいただいたことで新鮮な考え方をインプットいただいたことも一つなのだが、それ以外にもいろいろ。

こういった大学のクラスにてゲストスピーカーとしてお呼びする方々は基本的には特定分野の実務家の方々。もちろん担当教員(自分)がいるわけで、そこに他大学の教員の方をお呼びするというのはあまり一般的ではなく(らしい)、けれど授業の進行やプレゼンの仕方など、教員が教員から学ぶことはたくさんあるのでは、と改めて感じた。

もちろんタナケン先生は自分よりも百戦錬磨のご経験をお持ちだし、Zoomの使い方ひとつを取っても自分との違いがハイライトされて面白かった(ブレイクアウトセッションを手分けして、教員がそれぞれ各セッションに参加していくこととか)。

個人的には、メリットだらけなので、一部の方々にはあまりいい顔をされないかもしれないが(;^_^A、今後も刺激を受ける、受け合える方々を、実務家、アカデミア問わずお呼びしていこう、と決意も新た(笑)

おしまい。

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