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日本にありがちな「サッカーはテクニック」という考えの矛盾!!では、この事実をどう説明しますか?

 今日は「技術でカバーできるなんて嘘!」というテーマでお話させていただきます。
 みなさんもご存知の通り、サッカーには「スピード」「パワー」「テクニック」が必要です。ですが「サッカーが上手くなりたい」と思っている選手の多くが「テクニック」だけに重きを置いてトレーニングします。これは、サッカーというスポーツの性質とも深く関わりがあります。サッカーというスポーツは、身体的な優位性が無くても活躍できるスポーツだと思われているからです。これまでの歴史を遡っても「背が低くても活躍している選手」は多くいます。逆に「筋骨隆々」「身長190cm以上」のスタープレーヤーというのは、あまり見たことがありません。背が高い選手でも、テクニックを売りにして活躍している選手が多いです。「フィジカルだけ」「スピードだけ」でナンバーワンプレーヤーになりました!という選手はいません。
 
 ストーリー性から考えても、メディアで取り上げられるのは、むしろ背が低くてテクニックがある選手です。こういった背景もあって、まず第一に「テクニック」と考えられがちなのです。
  サッカーは、そもそも「足でボールをあつかうスポーツ」です。背が高いと不利なことも正直多くあります。バレーボールやバスケットボールのように、身体的な優位性が第一優先されるスポーツではありません。
 バレーボールやバスケットボールというスポーツは、ゴールが上にあったり、ネットを超えないとプレーできなかったりします。試合で活躍するためには、ある程度の「高さ」が必要です。より高く跳ぶためにフィジカルトレーニングを組むことが普通です。そもそも、コートに入る人数が少ない以上、1人分の負担も大きいです。バスケットボールは体力のいるスポーツなので、ボールを使わずに走りのトレーニングをすることも多いです。こうやって考えると、サッカー以外の他のスポーツは「フィジカル」や「スピード」が直接試合の勝敗に関係してくることも多いのです。「スピード」「パワー」「テクニック」で言えば、「テクニック」よりも「スピード」や「パワー」が優先される場面も少なくありません。
 
 サッカーは「テクニック」があれば、「スピードやフィジカルは必要ない!」と考えられがちです。幼少期も「テクニック優先」で選手を育てようとします。スピードがなくても「テクニック優先」フィジカル弱くても「テクニック優先」という考えが広がっています。ですが、これは相当深い落とし穴だと思います。僕がプレーしていたスペインでもアルゼンチンでも「フィジカル」と「スピード」のトレーニングが優先されていました。「テクニック」のイメージが強いこの2つの国ですら、「テクニックよりもスピードやフィジカル」と考えられていたのです。
 「スピード」や「フィジカル」に重きを置いている成果は、とあるユース年代の試合でも見られました。僕がスペインのバルセロナに行ったときに見た試合です。日本で全国優勝した中学生年代のクラブチームが遠征でバルセロナに来ていました。そこでバルセロナのU-12(アレビン)のカテゴリーと試合をしていたのです。2つ年下のバルセロナチームが、スピードだけでぶっちぎってゴールを量産していました。サイドの1対1では、バルサの選手がボールを前に蹴って走るだけで、日本の全国優勝したチームの選手は追いつけずに、ゴールされていたのです。日本のチームはボールを回しながら進みますが、突破してもまたすぐに追いつかれていました。スピードがあって体力もあるので、スペインの守備に一瞬で囲まれてボールを奪われていました。スピードでボールを搔っ攫われているのを目の当たりにしたときに、「スピード」の重要性を改めて感じたのです。
 結論、テクニックよりもスピードやパワーがあった方が優位性を保てることが多く、「テクニックでどうにか・・・」という考えは幻想でしかありませんでした。「テクニックがあればスピードはいらない」はウソで、「テクニックがあればフィジカルが弱くてもいける」も嘘だということがわかりました。これは、同じように、「スピードとフィジカルがあれば、テクニックはいらない」も当てはまりませんが、上記の2つよりは優先度が低いです。なぜなら、バルセロナのチームは、ボールをポーンと蹴って走るという「スピードだけ」でゴールを量産していたのですから。

 加えて話しておきますが、フィジカルはトレーニングで伸びますが、スピードは持って生まれた才能だと思っている人が多いです。ですがこれは間違いです。スピードもトレーニングが必要です。トレーニングを重ねれば絶対に伸びます。もちろん、100mを9秒台で走れるかどうかは、身長や手足の長さといったバランスも関わってくるらしいです。それは何でも同じで、「サッカー選手として世界ナンバーワンになる」ためには努力だけでは難しいのと同じですよね。改めてもう一度念を押して言っておきますが、スピードもトレーニングで速くなります。
 ウサイン・ボルト選手が、陸上競技からサッカー選手に変わったときに、「陸上競技のトレーニングは毎回自分の限界までトレーニングするから、トレーニングに行きたくなかった。あれほどしんどいトレーニングは他のスポーツにはないと断言できる」とインタビューで話していました。世界最速のスピードを手に入れるために、それくらいトレーニングをしているということです。つまり「トレーニングで速くなる」ということなのです。
 
 今日僕が皆さんに伝えたかった情報は、「スピードがないからテクニックでカバーしよう」とか「フィジカル面で優れていないからテクニックを身に着けよう」とか考えているのであれば、それは大きな落とし穴で間違っているということです。スピードとフィジカルのトレーニングをして、相手よりも優位なスピードとパワーを身に付けた方が、試合では絶対に活躍できるのです。
 
 今日は「技術でカバーできるなんて嘘!」というテーマでお話させていただきました。

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