良いドリブル塾の選び方

　今回のテーマは「良いドリブル塾の選び方」です。僕は、皆さんのサッカー選手としてのレベルを上げるお手伝いをする事はできますが「ドリブル塾を開きたいですか？」と聞かれると、僕の答えは「NO」です。
　ドリブル塾やサッカースクールでドリブルを教えるときは、多くの場合「足のいろいろなところでボールタッチをしよう」「両足を使えるようになろう」ということを指導します。小さい子供なら、まずはボールをいろいろなところで触って慣れることが大切だとか、体の動かし方やバランス感覚を磨くために両足を使おうとか言われることが多いです。しかし、注意しなければいけないのは、小さな子供の時に覚えてしまったやり方や感覚は、すぐには変えられないということです。「まず慣れよう」と言いますが、そのやり方に慣れてしまって、本当にいいのかどうかという話です。両足を使って、足裏、インサイド、アウトサイド、つま先とボールをいろいろなところで触って、次回の後にボールを通して、ボールをまたいで、というドリブル…。それに慣れたとします。では、サッカー選手のドリブルが上手い選手の中で、そういったドリブルをしている選手がいるか考えてみてください。今、ドリブル塾やサッカースクールで教わっているプレーを、サッカー選手がやっていないのであれば、それはかなり実用性が低いということです。派手で、すごい技というのは、子供たちは「やりたい」となります。親からしても「うちの子すごい」と自慢できるので、飛びついてしまいがちです。そんなすごい技を試合で使って、ゴールを決めた息子や娘を見ていると「あのドリブル塾のおかげだ」「あのスクールでよかった」と思ってしまいます。ですが、それは子供の間だけです。子供のうちにそれで勝てるのは、多くの指導者が子供に守備のやり方やテクニックを教えてこなかったからです。もし、僕が子供向けにサッカースクールを開くのであれば、守備を教えるスクールを開くでしょう。ドリブル塾やサッカースクールで攻撃ばかりを教えてもらっている子供たちを、簡単に止める方法がわかるからです。話を戻すと、ドリブル塾やサッカースクールで教わっているドリブルというのは、サッカー選手がやっているドリブルではないといけないと僕は思っています。サッカー選手の中でもテクニシャンと言われる選手やドリブラーと言われる選手が、たまに見せるテクニックやフェイントというのは実用性が低く、どんな選手サッカー選手でもやっているドリブル、基本となるドリブルが出来るようになった方が良いと思っているからです。

　今回のテーマ「良いドリブル塾の選び方」ですが、結論、実用性の高い、どんな状況どんな選手でも使うドリブルを教えているドリブル塾を選ぶのが正解だと思います。僕がドリブル塾を開くのであれば、「直線ドリブル」を極めるまで教え続けます。まっすぐ進むドリブルです。これはとても地味ですが、これができない選手って、実はすごく多いです。まっすぐ進めない選手が多いのです。足元にボールを置いたまま体の正面を向けて、一歩につきワンタッチでボールに触ってまっすぐドリブルをすることができない選手は多いです。どこかで斜めにドリブルをしてしまい、修正のためにインサイドやアウトサイドを使ってしまったり、歩幅が合わなくなってボールに触らない時間を作り、体の向きを変えて状態を整えるなどしてしまいます。直線ドリブルだけを教えても、集客できない事はわかっていて、「派手な技」「とっておきの技」を教えた方が差別化しやすい、集客しやすいです。これはサッカー塾やサッカースクールを選ぶ側にも問題があるなーと思います。「地味なこと」「誰でも知っていること」をちゃんとやり続けられるかというのは、どんなところに行っても大切だと思います。これはサッカーだけではありませんよね。そういうところを見落としてしまう人の成長は、残念ながら期待できません。
　僕もこれまでに子供たちをたくさん教えてきましたが、やはり保護者のサッカーIQが高い時は子供の成長が早いです。何が大切かわかっているので、地味な内容でも理解があります。ちなみに、地味なこと誰でも知っている事は、これまた成果もそんなに簡単には出ません。簡単にできるようになるのであれば、みんなプロになってしまっていますよね。本当に、1年間とか2年間で身に付く内容ではないということです。
　結果、めちゃくちゃ当たり前で分かり切っていることを言いますが、長期的に考えて努力していくことが大切ですね。

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