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キミは、クオリティとモビリティどちらが重要か理解しているか?

 今回は「クオリティとモビリティ」というテーマでお話をさせていただきます。
 昔、海外トップリーグのサッカークラブのトレーニングと言えば、ボールを使ったトレーニングよりもランニングやスプリント、フィジカルトレーニングなどが多かったです。例えば、昔のスペインリーグの試合を見ていると、本当に激しいプレーが多くて、ハードな試合をしています。そういった激しい中でも、スーパープレーを見せるマラドーナやクライフ、ロマーリオやグアルディオラなんかは、凄かったです。
 それから数十年が経ち、「やっぱりボールを扱うことを大切にしないといけないよね」という流れが生まれました。ちょうど、ロナウジーニョがバルセロナで黄金期を迎えていたころです。世界でもボールを使ったトレーニングが増えていきました。中には、極端にボール無しのトレーニングを嫌う監督やコーチも出てきたりして、数年後に、その流れが日本にも来たのを覚えています。
 現在も、どちらかと言うと、ボールを使ったトレーニングが多いんじゃないでしょうか。ボールを使うトレーニングが当たり前になってきたことで、「ボール扱いが上手い選手=サッカーが上手い選手」だと勘違いしている選手や指導者も多くて、僕はうんざりすることも多いです。サッカーの試合90分のうち、ボールを触っている時間は、長くても1人5分程度だというのに、ボール扱いだけでサッカー選手としてのレベルが決まってしまうなんて、矛盾すぎると思います。
 サッカーが上手いかどうかは、「認知する力、思考する力、判断する力、実行する力」この4つの力で考えるべきだということは、よく言われていますよね。僕もそう考えています。「ボールを持っているとき」「ボールを持っていない時」、どちらも見て、選手を正しく評価していく必要があると思います。ボールを持っているときの実行する力、つまり「プレーが成功したか、ミスしたか」だけで選手を評価していては、選手の価値を正しく判断することはできません。
 今日は、ここを少し掘り下げてお話したいと思います。「プレーの質」や「動きの質」、つまり「クオリティ」はとても大切です。トレーニングでも、ここを意識してトレーニングしていると思います。先ほどの話で言うと、ボールが無い時の「動きの質」も大切です。わかりやすいところで言うと、世界トップレベルの選手たちの中で、質の高い選手と言えば、メッシ選手やネイマール選手、デブルイネ選手やサラー選手など、上手くて速くて、なんでもできる選手が思い浮かべると思います。攻撃選手だけではなく、質の高い選手はディフェンダーにもいて、ファンダイク選手やルベン・ディアス選手、ピケ選手などの名前が上がります。
 ミスが少なく、加えて他の人にはできないことをやってしまう選手たちです。質が高い、クオリティが高いとはそういうことだと思います。ドリブルで数人相手にしかけて突破ができる選手、どんな状況でもゴールを奪える選手、誰も思いつかないプレーをする選手、ピンチでもしっかりとゴールを守ることができる選手、読みが鋭くボールを奪うのに長けた選手、そんな選手になるためにクオリティを高めるためのトレーニングに励む人は多いです。
僕が、言いたいのはここからで、「みなさん!これからの時代、クオリティと同じくらい、モビリティも大切にしていかなくては生き残れませんよ?それに気付いていますか?」と言いたいんです。
 メッシ選手は、クオリティが高い選手です。認知の力、思考の力、判断の力、実行の力、これらすべてのクオリティが高いです。ですが、モビリティでいうと、残念ながらあまり高いとは言えません。モビリティとは「移動性」「可動性」「流動性」と言った意味の言葉で、本当にざっくり言うと、クオリティが「質」を表しているのに対して、モビリティは「動きの量」みたいなもののことです。
 このモビリティが高い選手には、現バルセロナで僕がイチオシのガビ選手なんかがそうです。同じくバルサのペドリ選手も、フィールド内を左右前後に動いて効果的なプレーをしています。他のクラブで言うと、アトレティコのコケ選手、それからチェルシーのカンテ選手、バイエルンのミュラー選手、レアルマドリードのモドリッチ選手などがモビリティの高い選手です。
このモビリティが重要視されるようになっていくのには、理由があって、まず戦術の変化、次に優位性を保つため、です。戦術の変化は、ネガティブトランジションにおけるボールの即時奪回、すぐにボールを奪い返すことが大切になってきたからです。そして、ボールを奪ってから、より速くプレーしなければ、相手のプレスを掻い潜れなくなってきたからです。「速さ」が求められるようになると、当然、同時に「量」が増えるのがわかりますか?
速くなればなるほど、単純にプレーの回数が増えます。状況の変化も速くなります。すると、運動量も増えます。さらに、流動的なポジション修正が必要になりました。これは、攻撃と守備でフォーメーションを変化させたり、時間帯によってフォーメーションを変化させたりするチームがでてきたことからもわかると思います。さらに、守備陣形が組織的になったことで、攻撃時にポジションチェンジや流動的な動きが必要になりました。モビリティが重要になった理由がわかってきましたか?

 優位性を保つのは、結果的に試合で勝利をつかむためにめちゃくちゃ大切です。質的優位性は、すべてが速くなったことで「回数」を増やす必要が出てきたんです。1回や2回、相手をドリブルで突破できても、10回目ではバテて質的優位性が保てない、なんてことはあってはならないんです。これまでは、そこまで回数がなかった・・・でも、すべてが速くなったことで、プレー回数が増えているんです。
 位置的優位性や数的優位性を常に保つためには、動きの量が必要です。右サイドで数的優位性を創るために、1人でも多く、右サイドに送る、その後、位置的優位性を保っている逆サイドの選手にパスを出せるようにするために、さっきまで守備をしていたサイドバックが高い位置まで走って出ていく、みたいなことです。言葉にしてもスタミナのいるサッカーですが、これが当たり前になってきます。
 もちろん、クオリティも求められていて、クオリティに加えてモビリティも必要という話です。
 長くなりましたが、まとめると、プレーや動きの質、クオリティだけではなく、プレーや動きの量、流動性であるモビリティにも目を向けて、レベルアップしなければ、時代に取り残されますよ、というお話でした。

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VORAZ FUTBOL CLUB(ボラスフットボールクラブ)は、スペイン産ポゼッションフットボールを体現する、滋賀県大津市のサッカークラブです。現在は、日本サッカー協会にチーム登録し、滋賀県・社会人サッカー連盟に加盟しています。活動の場は、主に日本サッカー協会主催の関西社会人サッカー・滋賀県社会人サッカーリーグ戦です。

※ボラスフットボールクラブは、共に戦いたいという情熱をもった選手を募集しています。サッカーが下手でも構いません。謙虚で礼儀正しく、コミュニケーションを積極的に取れる選手を募集しています。チームへの加入を希望される方は、「LaBOLAサイトのメッセージ」もしくは「Instagram」から参加申請を記入の上、ご連絡ください。

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