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シェアリングエコノミーとマッチング技術で創る未来 in US

こんにちは。サンフランシスコでの研究開発活動で得た気づきを定期発信しています。未来創造・新顧客価値創造のヒントとなれば幸いです。

USで最近気になったマッチングサービスの事例を紹介します。USでは効率性や経済性のために見知らぬ他人と何かを共有する文化がずいぶん昔から根付いていました。ルームメイトで家を共有したり、カープールで通勤手段を共有したりは何十年も前から行われていましたが、ここ10年でテクノロジーの進化により様々なシェアリングエコノミーのサービスが普及しました。Uber, Lyft, Airbnb, TaskRabbit, DoorDash, InstaCart, Upworkなどが代表的なサービスとして人気ですが他にもキャンピングカーシェアやボートシェア、自宅の駐車スペースシェア、家庭料理シェアなどを提供するサービスも出てきています。いずれのシェアリングサービスも個人と個人それぞれのニーズをマッチングさせる技術がキーとなっています。

USで最近気になったマッチングをキーとしたサービスをいくつか紹介します。

Lunchclub: 1:1 professional matching

Lunchclubは専門職同士を繋ぐマッチングサービスです。TinderやBumbleなどの恋愛マッチングのプロフェッショナル版のようなもので、サインアップ時にObjectivesやGoalsを入力するとAIにより自動マッチングされて毎週1on1が設定される仕組みです。例えば“raise funding,” “find a co-founder or parter,” “explore other companies,” and “brainstorm with peers.” といったような共通のObjectiveを持つもの同士をマッチングさせ、情報交換や関係構築を促します。

Lunchclubはもともとはマッチングした後はオフラインによる1:1ミーティングを自動設定するサービスでしたが、オフラインでネットワーキングできなくなったパンデミック 後にオンライン1:1ミーティング自動設定に切り替えたところ利用数が10 倍になったとのことです。他人とのインタラクションの機会が減った今の時代に沿った需要と相まって、今月 $24.2M(約25億円)を追加調達しました。

グループではなく1:1のF2Fによる対話のニーズがある点がポイントです。
ただ単に他人とのインタラクションの機会を求めていることではなく、オンラインでも目的ベースでインタラクティブに他人と関係を構築したいニーズがあることを示しています。

今やミートアップも全てオンラインと化してしまい、以前のようなネットワーキングが難しくなってしまいました。ちょっとしたネットワーキングであればオンラインミートアップでも良いですが、共通の目的を持つ同士を見つけるにはLunchClubのようなサービスは良いと思いました。

僕自身、昨年度に参加した4日間の合宿研修で共に過ごした少人数のメンバーが、当時は見知らぬ人同士だったが共通の目的と志を持つ人たちだったからこそ、その後の人生においてかけがえのない仲間となりました。サンフランシスコで2時間のミートアップを数十回も参加して何百人とネットワーキングするよりも、少人数で数日間インタラクティブに密に議論して得たものの方が大きかったことを実感しています。LunchClubが同じバリューを生み出すのか分かりませんが、今までなかった共通のObjectiveを持つ人を1:1でマッチングさせるサービスに可能性を感じました。

参考:昨年度に参加した4日間の合宿研修で得たものまとめ↓


Learning Pods: Matching for parents, kids and teachers

USは8月の終わりから新学期が始まっていますが、サンフランシスコベイエリアでは学校登校はまだまだ認められず、オンラインによるDistancing Learningが続いています。この終わりが見えない状況に嘆く親や保護者たちは自分たちでソリューションを創ろうと結束し、Pandemic Podsと呼ばれる教育機関から独立したグループホームスクーリングのコミュニティが次々と作られる動きが起きています。Facebook Groupには地域ごとにPandemic Podsグループが作られ、グループによっては先生を雇ったり、教育費・保育費を親同士で支払いが起きたりと、雇用の機会創出やコミュニティベースの教育ビジネスにまで発展しつつあります。

Facebook Groupで地域ごとに作成されたPandemic Pods

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小グループとは言えアウトブレークのリスクは付き纏いますし、全ての学生を持つ家庭が参加している・できるわけでも無いので教育格差がますます広がると非難もされていますが、それでもベイエリアで数万人にも及ぶ親が参加する事態まで発展したのはオンラインによる教育に対する不満が新学期以降もオンライン教育が続くことの発表と同時に爆発した格好です。


一方で民間サービスとしても、オフラインによる少人数制のソーシャル教育の場を作るLearning Podsのサービスが増えつつあります。サンマテオのスタートアップSwing Educationは従来は学校と先生のマッチングサービスを手掛けていましたが、パンデミック によりマッチングによる収益が90%ダウンし、今は親グループと先生のマッチングサービスにフォーカスしています。
またサンフランシスコのスタートアップNurture Podsは元々はルームメイトのマッチングサービスを手掛けていましたが、同様に需要の変化に伴い、親同士のマッチングサービスにピボットしました。他にも類似のサービスCareVillageが生まれたりと、感染リスクと天秤にかけてマッチングを利用する親や保護者が急増していることを示しています。

物議を醸すLearning Podsによるマッチングですが、それほど、親や保護者のオンライン教育に対する不満が大きく、このDistancing Learningが続く限りこれらのマッチングサービスを利用する動きは今後もしばらく止まらないでしょう。

あらゆるマッチングサービスが創る未来

これらの事例を含めて今後いろんなユースケースでマッチングサービスが出てきて、個々のニーズに合わせて安全簡単にそして即時に他人とマッチングできるライフスタイルに変わっていくと考えています。シェアリングエコノミーサービスのような短期的なニーズを満たすものからLunchclubのような長期的な関係構築まであらゆるマッチングが全てデジタル上で行われ、その際に、これまでの安全性や信頼性を考慮したマッチングに加えて価値観、相性、多様性、公正などの要素も重要になってくるでしょう。

僕の好きなコンセプトの一つであるBe My Eyesという視覚障害者と健常者ボランティアを即時にマッチングさせるサービスがあります。このサービスを通じて視覚障害者の目の前で起きている問題をリモートから健常者ボランティアが視覚障害者のスマホのカメラ映像で映し出された現場を見ながらサポートします。Be My Eyesアプリを立ち上げるとBe My Eyes ユーザである視覚障害者 245,567人に対して4,187,963人のボランティアが世界中に存在し(※本note執筆時)、ボランティは視覚障害者からのサポートリクエストを常に受けられる状態にあることを示しています。

Be My Eyesのターゲットユーザとユースケースは極めて分かりやすいですが、このコンセプトはいろんなユースケースでも成り立つと考えています。特にデジタルネイティブ世代の若者を中心に、即時に発生したニーズに対して即時にそれを満たせる他人と安全にかつ簡単にマッチングできる未来になると僕は考えていて、その未来を創るコンセプトの研究開発をしています。近くベータサービスをLaunchする予定で仮説を検証できるのが楽しみです。

それでは、またサンフランシスコから発信していきます。

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