人事評価制度の作り方を解説!導入までのステップやメリットとは?
人事評価制度は、企業が従業員を評価してキャリアや給与を決めていく制度です。
しかし、実際に手を動かすと人事評価の作り方で悩む人も多いでしょう。
人事評価はどのように行うべきか?
人事評価制度はどのように作るのか?
人事評価制度を導入するメリットは何か?
など、人事評価制度について知りたいことも多いはず。
そこでこの記事では人事評価制はどのように作るのか、評価方法と導入するメリットについて、また成功のポイントや失敗例と対策などを解説していきます。
ぜひ最後まで読んでいただいて、人事評価制度を作る際の参考にしてください。
人事評価制度とは?3種類の評価の種類を解説!
人事評価制度は、企業が従業員を評価して賃金や待遇を決めていく制度です。
その評価を、従業員のスキルアップや人材の配置などに活かして企業全体を良くしていく目的で取り入れています。
人事評価制度は、評価内容で分けると以下の3種類です。
・能力評価
・業務評価
・情意評価
能力評価
能力評価は、従業員が業務に必要な能力や知識があるかを評価するものです。
評価の内容は部署や職種によって異なります。
具体例としては、海外事業部では英語力やコミュニケーション能力が求められるといったことです。
業務評価
業務評価は、従業員が一定期間にどのような業績を上げたかを評価します。
期間内にどれだけ会社に貢献できたかを評価するのです。
業績といってもたくさんの種類があって、統一して評価することは難しいでしょう。
ですが公平性を保つ意味でも、数値化して客観的評価をすることが大切です。
客観的な評価方法をするには、業績につながる事柄を洗い出し、それぞれの達成度や貢献度を数値化するなどの方法があります。
情意評価
従業員の勤務態度や意欲、言葉遣いや態度などを評価します。
担当業務への取り組む姿勢や言動はもちろん、普段の様子も評価対象です。
人事評価の作り方ではどの項目に重点をおくべき?
能力評価・業績評価・情意評価の3つの評価方法は、従業員のキャリアや業種によって重要視するポイントを変える必要があります。
スキルが未熟で育成段階の新人従業員は、情意評価を重視することがあります。
職種では、業績を数値で評価しやすい営業職やマーケティング職は業績評価をした方がいいでしょう。
全体のサポート業務の多い総務や経理は、業績が数値化できないため能力評価と情意評価が重要視されることが多いです。
従業員がどのキャリアか、どんな職種かに注目し、評価方法を決めることがとても重要になります。
人事評価制度を導入するメリット
先に述べたように3種類の人事評価制度が存在しますが、そもそも会社はどうして人事評価制度を導入するのでしょうか。
ここでは、人事評価制度を導入するメリットを5つ紹介します。
人事評価制度のメリット①|報酬決定と離職率の低下
1つ目のメリットは、従業員の報酬を決めることができます。
報酬は、従業員が会社で働く目的の大きな目的です。
適切な報酬がもらえなければ、離職につながる場合もあるでしょう。
人事評価制度を導入することで、適切な報酬額を決めることができます。
従業員の方は客観的な評価で決まった報酬なので、金額に対する理解や納得感を得られるでしょう。
この報酬に対しての理解や納得感を得ることが、離職率を低下させます。
人事評価制度のメリット②|仕事の役割の決定と従業員との信頼関係の向上
2つ目のメリットは、仕事の役割を決めることで従業員との信頼関係が向上します。
会社運営をする上で、従業員の役割を管理し、組織をひとつにまとめ経営することは重要です。
キャリアは従業員の頑張りを社内外にアピールできます。
適切な等級評価は従業員との信頼関係の向上に大きな効果があるでしょう。
人事評価制度のメリット③|適材適所の実現
3つ目のメリットは、従業員に適材適所な仕事を提供できることです。
人事評価制度を導入し、それぞれの長所・短所を把握すると、従業員を最適な職場に配置できます。
結果を残すことを得意とする人は、結果が見えやすい営業職に配置しましょう。
サポート役として行動することが得意な人は、人事や経理のような会社全体を動かす職場に配置します。
従業員の特徴を把握する手段としても人事評価制度は有効と言えるでしょう。
人事評価制度のメリット④|経営理念や行動指針の共有
4つ目のメリットは、経営理念や行動指針を従業員と共有できることです。
企業の経営理念や行動指針に基づいて評価をすることで、自然と会社の目指している方向性や従業員像を従業員と共有できるでしょう。
従業員は会社に評価してもらうため、人事評価基準を意識して行動します。評価基準が
企業の経営理念や行動指針に沿っていれば、従業員は自然と企業の目指す方向や従業員像に近づくでしょう。
この行動が経営理念や行動指針の共有に役立ちます。
人事評価制度のメリット⑤|人材育成基準の明確化
5つ目のメリットは、人材育成基準の明確化です。
人材評価制度では、組織が評価項目で何を重要視するかをはっきりと決めています。
ですから日頃の業務でも人材育成項目が明確になります。
上司は部下に対して、普段から人事評価で重要視している項目に沿って指導すればいいのです。
人材育成基準は、上司が部下をどのように育成するかを意識できます。
上司にとってわかりやすく、また会社としてもブレない人材育成ができるでしょう。
人事評価制度の作り方・手順の7ステップを解説!
それではここからは、実際に人事評価制度をどのように作ればいいのかをご紹介します。
人事評価の作り方がわからない方は必見です!
人事評価制度の作り方ステップ①|目的を明確にする
まずは、人事評価制度をなぜ導入するのか、その目的を明確にしましょう。
単純に給与や役職を査定するのが目的なのか、適材適所に繋げたいのか、経営理念や行動指針の共有をしたいのかで最適な評価方法が変わってきます。
人事評価制度導入には、必ず達成したい目標を明確にしましょう。
人事評価制度の作り方ステップ②|評価基準・評価項目を決める
人事評価制度を導入する目標が具体的に決まったら、次は目標達成のために必要な評価基準と評価項目を決めましょう。
評価基準は、能力・業績・情意のどの項目を、どの程度重視するかを選びます。
その上で評価基準に合った評価項目を決めていきます。
人事評価制度の作り方ステップ③|規程を作る
評価基準と評価項目が決まれば、その評価内容をどのように役職や報酬に反映させるかを決めていきます。
役職や報酬を決めることは、人事評価制度において最重要項目です。
役職や報酬を適切に用意するためにも、どう反映させるか人事規定を決め評価基準と評価項目の関係も明確にしましょう。
人事評価制度の作り方ステップ④|評価手法や評価システムなどの運用体制を決める
人事規定が決まったら、次は評価を行うための運営体制を決めましょう。
前の章で書いていますが、評価手法にはいくつか種類があります。
それぞれの企業に合う評価手法を決め、評価するために必要な仕組みやサービスを具体的に決めます。
人事評価制度の作り方ステップ⑤|社内全体での共有と協力を依頼する
評価する目的、評価基準・評価項目、人事規定、運営体制まで決まれば、あとは会社内で共有しましょう。
会社全体で評価する側とされる側双方の理解と同意を得る必要があります。
会社の方針としてしっかりと情報を共有することが大切です。
共有する際には単に導入する評価方法やシステムを伝えるだけではいけません。
導入する背景や目的も共有することで、従業員から理解してもらえる効果的な施策を行えます。
人事評価制度の作り方ステップ⑥|運用する
会社内で共有できたら、実際に運用を始めましょう。
人事評価制度の作り方ステップ⑦|効果検証
運用して終わりではありません。
定期的に効果があったか検証する必要があります。
人事評価制度は、導入してすぐに効果が出ないこともあるので長期的な目で見ることが必要です。
導入前後の変化を、数値化できるものとできないものの両方の観点で検証しましょう。
そして、効果が少ない部分は随時改善し、効果があるところは促進することが大切です。
その際はPDCAサイクルを使って観察しましょう。
人事評価制度を成功させる2つのポイント
人事評価制度導入を成功させるには2つのポイントがあります。
そのポイントを紹介していきましょう。
人事評価制度を成功させるポイント①|評価・運用方法を公開すること
評価・運用方法を従業員に対して公開しましょう。
評価・運営方法に信憑性がないと従業員は受け取る結果を納得しにくいものです。
これらを解消して、従業員が評価を理解し納得して受け入れられるようにしていきます。
人事評価制度を成功させるポイント②|結果の反映に納得感がある
人事評価制度による評価をキャリアや給与にきちんと反映させましょう。
評価が個人と会社の利益になっていることを従業員に理解してもらうことが大切です。
そのためにはキャリアや給与と人事評価制度の関係性を従業員に伝え、どこを改善するべきか指導するといった対策をとると納得感が増します。
人事評価制度を導入する際によくある3つの失敗と対策について
ここでは人事評価制度を導入する際によくある3つの失敗と、その失敗に対しての対策をご紹介していきましょう。
人事評価制度の作り方でよくある失敗①|評価が公正でない
1つ目の失敗例として、評価が公正でないことがあります。
この主な原因は、評価基準と評価項目が曖昧なことで起こる評価の偏りです。
この失敗は、評価基準と評価項目を明確にすることで解決するでしょう。
能力・業績・情意のどの評価方法を重視しているのかを見直して、評価項目を明確にして従業員と共有しなければいけません。
人事評価制度の作り方でよくある失敗②|個人目標と会社の目標にズレがある
2つ目の失敗例として、個人目標と会社の目標のズレがあります。
これは特にMBOを導入するときに注意が必要です。
個人と組織の目標の方向性がズレていると、従業員の成果が出ず適切な評価ができません。
この失敗の対策は、随時面談を行うことです。
初めの目標を設定して共有する時はもちろん、導入後も随時面談をして個人と組織の目標の方向性がズレていないか確認します。
もしズレがある場合は、早めに修正するようにしましょう。
人事評価制度の作り方でよくある失敗③|評価者のスキル不足で正しい評価ができない
3つ目の失敗例は、評価者のスキルが足りずに正しい評価ができない場合です。
正しい評価がされないと、従業員からの上司・会社への信頼度が下がります。
そうなると信頼関係が希薄になり離職にも繋がりかねません。
この失敗の対策は、評価者が同じ内容で評価できるよう育成することです。
評価する人が変わっても同じ指針で評価ができるよう、評価者側の教育も行う必要があります。
人事評価の際に評価者に必要なスキル
ここでは、人事評価の際に評価者に必要なスキルを4点紹介しましょう。
前の章でも書いていますが、評価者がスキル不足では正しい評価ができません。
そうなると従業員は不満を感じ、会社への不信感や離職に繋がります。
最低限必要なスキルを4点まとめましたので、参考にしてください。
人事評価の際に評価者に必要なスキル①|正しい目標を設定するスキル
1つ目は、正しい目標を設定するスキルです。
個人と会社の目標が正しく設定されているか、同じ方向性かを判断できるスキルが必要になります。
会社と個人で方向性が違う目標を立てると、目標に沿った業務をしても業績が上がりません。
そうすると仕事をしたのに適切に評価されなくなってしまうのです。
会社が目指している方向性を的確に理解し、組織と個人の目標を正しく設定できるスキルを身につけましょう。
人事評価の際に評価者に必要なスキル②|プロセスを正しく把握するスキル
2つ目は、プロセスを正しく把握するスキルです。
結果として現われる成果だけでなく、従業員の業務プロセスを正しく把握するスキルが必要になります。
目に見える成果を評価することはわかりやすく簡単な方法です。
ですが、成果を出すまでのプロセスも評価することで、従業員は評価を納得できるものになります。
また業務プロセスの改善を指摘できれば、人材育成にもプラスになるはずです。
成果だけでなく、プロセスも正しく把握できるスキルを身につけましょう。
人事評価の際に評価者に必要なスキル③|客観的に考えて判断するスキル
3つ目は、客観的に考えて判断できるスキルです。
評価者は主観を挟んではいけません。
評価は客観的に考えて判断したものでなければ公平性にかけます。
組織として決まっている評価基準と評価項目をしっかり理解し、人事評価制度に沿った客観的な評価を行うスキルが必要です。
人事評価の際に評価者に必要なスキル④|正しいフィードバックができるスキル
4つ目は、正しいフィードバックができるスキルになります。
正しい評価はもちろん大切ですが、評価を元に改善点を指摘したり、良い点を伸ばすアドバイスをしたりすることも大切です。
個人や会社のより良い未来のためには、フィードバックスキルは必須といえます。
人材育成の観点からフィードバックできるようにスキルを身につけましょう。
まとめ|自社に合った人事評価制度を作り、適切に評価しよう
この記事では、人事評価制度の概要、種類、目的、成功と失敗のポイントとその対策について解説してきました。
自社に合った人事評価制度を導入し適切な評価をすることで、会社の経営にもプラスになることがご理解いただけたかと思います。
従業員評価に加え、評価を活かし経営を促進することまでは視野に、自社に合った人事評価制度を導入していきましょう。
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