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"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第四期生

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数々のクリエイターの出身母体となった"小池一夫劇画村塾"。その第4期生である筆者の業界回想録です。
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2022年9月の記事一覧

"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第1章(3)

"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第1章(3)

<まず机の前に三時間!〜当たり前だが、実は最も大切だった実技>

 “漫画においては、何よりもキャラクターが重要”ということを、小池一夫先生はひじょうにわかりやすい例を挙げて説明された。
 例えば、小説との比較である。

 昭和に一時代を築いた松本清張先生の名作傑作の数々、『点と線』や『ゼロの焦点』『眼の壁』など、見事なタイトルはパッとすぐに浮かぶが、
「主人公のキャラクターは?」
 と、問われ

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"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第1章(4)

"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第1章(4)

<課題作品提出一度に十本も?!〜先輩の伝説の提出本数に衝撃驚愕!そして、小池一夫御大の面接へ>

 いずれ課題が出されるということは、最初の講義で、小池先生からも、事務局のSさんからも告知はされていた。
 さらに、先に”伏線”と記したが、それは以下のようなお話を、あらかじめ聞いていたからだ。

 狩撫麻礼先輩が、入塾生に向けたメッセージの中で、

「皆さん、課題が出されたら、できるだけちゃんと提

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"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第1章(5)

"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第1章(5)

<課題講評、そして御大面接!〜まさに劇画界のドン!>

 某日。
 小池先生から、
「今日は提出された課題の講評をやります」
 と、お言葉があった。
(来た!)
 一気に心臓の鼓動が速くなり、掌に脂汗をかいた。

(ボロクソ言われたらどうしよう? いや、それより先に、講評すらしてもらえなかったらどうしよう?)

 無表情を装って椅子に座ってはいたものの、内心はドキドキである。
「提出した人が思っ

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"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第2章〈1〉

"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第2章〈1〉

<「ローンウルフでいいんだよ」〜小池一夫先生のひとことで半鬱状態から起ち直る〉

 ひたすらアルバイトをして、ひたすら劇画村塾に通い、ひたすら課題を出し続けた。

 課題作品のほうは、その後も何度か小池先生に講評で取り上げていただくことができたものの、自分ではいいのか悪いのか、まったく分かっていなかった。

 プロとしてデビューしたいという気持ちも、あるような、ないようなで、はなはだいい加減だっ

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