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コロナウイルスとEUの対策

今回もコロナウイルスの話題です。うんざりしてしまいますが、世界の情勢を知るためには 欠かせないものですので、粘り強く見ていきましょう。いつも通り、経済学の知識も付け加 えてわかりやすく解説していきますよ!!さて、現在ヨーロッパではコロナウイルスの感染が著しく拡大しています。 (下の表を参照。)アメリカがダントツなのがわかりますが、感染者数2位から4位の国はスペイン、イタリアなどのヨーロッパ諸国となっています。日本の感染者数よりはるかに多いことがわかりますね。 

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さて、そんなヨーロッパでは日本以上に緊急支援対策が迫られていることとなります。そこ で、ヨーロッパの多くの国が加盟している EU の出番です。何より、EU 諸国には共通通貨であるユーロがありますから、このユーロでどれだけ社会を支えていくかにかかっていま す。実は、EU 諸国の経済対策は日本とは違った厳しさがあるのです。その重要なポイント は、「固定相場制」にあります。ユーロ圏内では1ユーロはどこでも1ユーロで、国は違っ ても価値は変わりません。一見、両替の必要がないから便利と思うかもしれませんが、金融 政策を考えてみるとその厳しさがわかるでしょう。

例えば、EU の中央銀行が金融緩和をしたとしましょう。すると、お金の量が増えるので経済活性化が期待できます。しかし、これが行き過ぎるとお金が過剰に増えインフレを起こし、 ユーロの価値が下がってしまいます。ユーロ圏内は固定相場制ですので、その価値を変化させることはできません。よって、中央銀行は金融引き締め政策を行い、社会のユーロの数を元の水準まで減らします。これで最初に打った政策は無に帰すことになりますね。つまり、 固定相場制の社会では金融政策の効果がないというわけです。各国は、財政政策によってのみ自国の経済を調整することになります。日本のように変動相場制の国々では、金融政策と 財政政策の2本柱で経済を支えていますから、EU 諸国の経済対策とは大きく違うことがわ かるでしょう。 

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ちなみに日本の金融政策はどのような仕組みでしたか?下のコラムをみて理解を深めて見てください!!

さらに、ユーロ圏内ではもう1つ大きな問題があります。それは債券についてです。仮に、 日本円の信用が落ちて国債の価値が落ちたとしましょう。すると、主に被害を受けるのは 我々日本国民です。他の国の人は日本円を生活の中で使っていないので、被害は比較的小さくなります。

しかしユーロ圏内では、どこか 1 国が政治的信用を失うなどすると、ユーロを 使うほかの国々にも大きな影響が与えられ、信用を失った国の抱えていたユーロ債(日本で いう国債)を肩代わりするといった行動に出ざるを得ません。なんといっても、固定相場制 ですからユーロの価値を下げるなんてもっての外ですよね。こうした事例は数年前のギリ シャの財政破綻で起こった事です。今回のコロナウイルスの件でも、この債券を巡って多く の議論が交わされています。感染爆発が起き、そこまで経済的に豊かでないイタリアやスペインはコロナ債の発行を求めており、なんとか緊急支援対策を打ち出したい考えです。 

一方で、EU への拠出金が多くこれまでのユーロ圏経済を力強く支えてきたドイツやフラン スでは、この債券の発行を拒んでいます。 「そんな債券を発行して、あなたたちの国は本当 に返済することができるの?感染拡大が続いて返せなくなったら、こっちの負担が増えて しまうことになるのわかってる?」というのが彼らの言い分です。いずれにせよ、支援対策は絶対に必要になってくるので、それがどのような形で実施されるかを注意深く見ていきたいところですね。

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