株式市場は続伸-マーケット考察-2020.5.28

株式市場は続伸。

昨日同様、(1) 経済活動再開、(2) ワクチン開発、(3) 経済活動回復のために政府と中央銀行が積極的に政策を講じるであろう期待感が米国株式市場に安堵感を与え、終値で昨日超えられなかった25,000ドル台を維持できました。

然し乍ら、決して市場はポジティブなニュース一色ではありませんでした。主に以下3つのネガティブな報道もされました。

(1) 中国の全人代で香港統制を強化する国家安全法の制定がほぼ確実視されていることで米国側が香港からの米国への輸入品優遇関税の停止を検討しており、米中対立の懸念が高まりつつあります。

また、(2) 経済の最悪期からは逸脱したものの、V字回復は期待できない状況で、現在の株価と実体経済との乖離が激しすぎるとの声も出ています。

そして、(3) 実体経済の真の姿を表しているベイジュブックの内容が発表され、経済活動は燦々たる状態で米国全地域で低下しており、且つ今後の見通しも不透明感極まりなく、全米企業の大半が今後の企業活動に関して悲観的になっているという内容でした。

ところが、これらのニュースの市場への感応度は低く、昨日の相場ではスルー状態でした。

テクニカル的にはS&P 500は遂に200日移動平均線と、節目の3,000を同時にブレークしました。また、米ダウ平均株価指数は3/9以来の高値で3/9に相場下降局面で作った25,226.62の窓を埋めました。出来高的には3月の下降局面のボリュームの半分程にしか満たないことから、多くの投資家が相場の反転を確信し買いに転じているのではないと言えます。

商いが大きくない中で、引き続き相場への警戒感を保ちながらの打診買いに支えられた値幅調整の相場形成になるのではないかと思われます。

長期的に見ますと、今の相場で踊らされてしまうのはリスキーだと言えます。昨日発表されましたS&Pグローバルの分析によりますと、新型コロナにより、信用格付けに引き下げリスクがある国や企業の数が過去最高に達した模様です。投資適格級からジャンク級(投機的水準)に引き下げられる可能性がある発行体数も過去最高となっており、フォードやクラフト・ハインツ、ルノー、デルタ航空、メイシーズなど世界的な大手企業を含め24の発行体が既にジャンク級に引き下げられています

S&Pの格付け対象の内、メディア・娯楽、自動車、運輸など2年以内に格下げされる可能性がある「ネガティブ」や、格下げの方向で見直している「クレジット・ウォッチ・ネガティブ」が付されている発行体数は、現時点で合計1287に達しています。新型コロナの影響によりここ数カ月で既に700近い発行体が格下げされ、2009年の金融危機時に記録した1028を今の段階で上回っているのです。

長期投資を目指している投資家は実体経済が市場経済を動かすタイミングが感染第2波が起こる可能性が出る年末前までには有り得ますので、今は冷静な判断を要求される局面に立たされていると言って良いでしょう。

立沢賢一

〜投資家サロンについて〜
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投資の世界では勝てない投資はしてはいけません。 勝つ為に徹底的に戦略を立てなければいけません。
私は住友銀行/メリルリンチ/バンク・オブ・アメリカ/HSBCと長きに渡って金融スペシャリストとして活動してきたノウハウを存分に活かして投資はしていますが、その時のコネクションなどは一切利用していません。
つまり “全ての方が真似できる可能性がある” と言う事です。
知識やノウハウ、投資スキームまで私が長年かけて編み出した無形資産を後継者を継承したいという思いから惜しみもなくご教示致します。

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