景気後退が深刻化する可能性は拭えない-マーケット考察-2020.6.25

米国株式相場は反落。

マーケット考察 2020.6.25

ダウ平均は710.16ドル安の25445.94ドル、ナスダックは222.20ポイント安の9909.17ポイントで取引を終了しました。空運、レジャー、小売などの経済活動再開銘柄が軒並み売られ、原油安、金利低下でエネルギー、金融株も下落しました。下落率は主要3指数そろって6月11日以来の大きさでした。

昨日は国際通貨基金(IMF)が2020年の世界経済がマイナス4.9%、また米国経済の見通しを一段と引き下げ、景気後退が深刻化する可能性を警告したため、大きく下落して寄り付き、その後、

(1) ニューヨークなど北東部3州がウイルス感染急増地域からの訪問者に対して、14日間の隔離要請を発表
(2) 携帯端末のアップルがヒューストンの7店舗を再び休業することを発表
(3) 全米各地でウイルス感染者数が連日急増していること
(4) 米国が欧州連合(EU)と英国からの輸入品に対し新関税を検討しており欧米貿易戦争勃発への懸念が浮上した

と相場に対してマイナス要因が続出しました。

トランプ政権が米中貿易第1段階貿易協定の続行を再確認したほか、クドロー国家経済会議(NEC)委員長がウイルス感染第2波の兆候は見られず、経済を再度封鎖する可能性を否定したため、景気回復期待が強まり、さらに、ムニューシン米財務長官が真剣に追加救済策を協議しており7月にも可決されるとの見通しを示したことも好感され相場が続伸したのとは真逆の動きでした。

興味深いのは、EUに対する米国の報復関税問題は、やはりコロナ問題や続々と出てくる反トランプ派の攻撃に、トランプ政権も焦りを隠しきれない感じは否めないです。半トランプ派の攻撃に反撃するには、「これでもか!」的財政出動による景気刺激策を講じ続け、株式市場と米国経済を支えることしか無いような気がします。

再三申し上げてますが、市場はしばらく楽観論と悲観論との綱引きで、最近は楽観論優勢で悲観論は大分引っ張られて、負け宣言する寸前まで追いやられていました。個人投資家の強気と機関投資家の弱気合戦でもあるのですが、相場は上がっては昨日のような冷や水を浴びせられ続けますと、次第に強気モードが減退し、大きなマイナス材料が突発しますと、急激なベアモードへの展開も有り得ます。

現在、過剰流動性の影響で相対的に実体経済以上にダウ平均株価が上昇してますし、経済モデルのパラダイムシフトの予感でナスダック銘柄は高騰してきています。「えいやー!」の掛け声で相場に飛び乗った投資家は、実体経済と市場経済との乖離を自覚してますから、次第に利確のタイミングを模索し始めている感は否めません。

勿論、再び相場の安心材料が満載な日が始まれば、ひと時の不安感は払拭されるのですが、ネガティブなニュースが連続してきますと、戻しの上昇相場に乗り損なった組も新規買いを控える方向に戻る可能性があります。

毎日猫の目のように変化のある相場模様は新型コロナ第2波という爆弾を抱えている限り、当面は続くのは間違いないようです。

外国為替市場では、米国政府がEU輸入品を対象に新たな関税の賦課を検討しているとの報道を嫌気しユーロやポンド売りが優勢となりました。

蛇足ですが、添付のチャートを見れば、株式市場で買い上がりたくもなくなりますが、取り敢えず、市場は見て見ぬ振りをしてきてます。


立沢 賢一(たつざわ けんいち)
元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資家サロンを通して投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

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