米国株マーケット考察 2020.10.10

マーケットサマリー

米国株式相場は、続伸。ダウ工業株30種平均は前日終値比161.39ドル高の2万8586.90ドルで終了し、ナスダック総合指数は158.96ポイント高の1万1579.94で引けました。 

昨日も材料難な中、最近の相場変動要因のお決まりの追加経済対策の進捗状況を受けて、株式市場は上昇しました。

トランプ大統領は追加経済対策の協議を大統領選挙後まで一時停止すると数日前に発表したものの、トランプ大統領は議会に対して、1200ドルの特別給付金や、航空業界、小規模企業への的を絞った支援策は協議するよう要請しており、ムニューシン米財務長官とペロシ米下院議長は協議を再開しました。

この問題の最大のポイントは以前も申し上げましたが、金額です。トランプ政権は追加対策案の規模を当初1兆ドル規模から1.6兆ドルまだ拡大し、更に1.8兆ドルまで拡大した格好となります。

一方、民主党案は当初の2.4兆ドルから2.2兆ドルへ減額。与野党の歩み寄りによって追加対策の実現に近づいたとの見方が株価を押し上げた模様です。

間近に迫った米大統領選への不透明感は根強いものの、市場には楽観的なムードが続いているようです。

今回の大統領選では郵便投票を一部採用することになりますが、その公平性は非常に疑問視されています。

実は、「郵便投票」に関して、不正が出来るか否かは両サイドの言い分があり、正しい見解を説明するのは中々難しいのが実情です。

ここでは不正が起こり得るというベースで説明しますと、以下のようになります。

本人確認が徹底されないままの郵便投票は、不正が発生するリスクが高まります。それによって、11月3日の投票日を経てもまだ次期大統領が決まらないリスクは存在します。

つまり、万が一、トランプ大統領が落選した場合、彼が不正投票を理由に連邦最高裁判所に提訴することになるからです。

その場合、現在、最高裁判事は保守派が6人、野党・民主党の考えに近いリベラル派が3人なので、トランプ大統領に有利なるような判決が下されるのは確実です。

「郵便投票」の最大の問題点は、引越した人や既に死亡した人の住所にも投票用紙が送られてしまうため、その投票用紙が悪用される可能性が高いことが指摘されています。

実際に、共和党が州知事を務める州では、有権者登録名簿を定期的に整理して死者や引越した人々の名前を削除していますが、民主党が州知事を務める州ではこのような作業を積極的に行っていないのが現実です。

「郵便投票」を採用したネバタ州では、民主党が「有権者の現住所確認をしなくてもいい」という規則を設定したため、宛名と居住者の名前が一致しない住所に約20万通もが郵送され、高層アパートの郵便受けの脇に受取人のいない郵便投票用紙入り封筒が山積みになっています。

ノースカロライナ州では10月27日まで「郵便投票」の申し込みが可能ですが、9月15日現在で申請した人は83万人を超え、前回4年前の同じ時期に比べて16倍に増えていて、果たして事務処理が適切に行われるかは疑問視されています。

但し、「郵便投票」の結果などを理由に、数カ月とか数年の間、全く判明しない場合、次期大統領就任日2021年1月20日までに決まらない場合には、大統領継承法により、ペロシ下院議長が暫定大統領になるとの決まりがあるのです。

まだ市場では出てませんが、こんな「サプライズ・シナリオ」も有り得るのです。

現実に、民主党は両者が激戦州に腕利きの弁護士を派遣しており、ヒラリー元民主党大統領候補はバイデン現候補に「たとえ選挙日にトランプが勝っても、絶対に譲歩しないように!」と伝えています。

バイデン候補が僅差で負けた場合には、民主党はトランプ大統領の疑惑を捻出し選挙を長引かせ、ペロシ現下院議長を大統領に仕立てるように工作しているのです。

来週から米企業決算の発表が開始され、それを経て再び最高値を目指すか注目されます。

尚、来週の大手銀を皮切りに7-9月期の決算発表が始まります。S&P500企業の利益は前年比で21%の減益が見込まれていますが、予想減益よりも好決算が出た場合、トランプ大統領には追い風となることに間違いないでしょう。

立沢 賢一(たつざわ けんいち)
元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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