米国株マーケット考察 2020.11.14

マーケットサマリー

米国株式相場は、3営業日ぶりに反発。

ダウ工業株30種平均は前日終値比399.64ドル高の2万9479.81ドルで終了。ナスダック総合指数は119.70ポイント高の1万1829.29で引けました。小型株インデックスのRussell 2000は2018年8月振りに史上最高値を更新しました。

昨日はダウ平均構成銘柄であるディズニーとシスコシステムズの決算が堅調だったことが投資家のリスク選好意欲を幾分改善させ、ダウ平均を押し上げました。

ディズニーはパンデミックでテーマパーク部門と映画の減収は続いているものの、動画配信サービスの「ディズニー+」の加入者数が7370万人と予想(6550万人)を大きく上回り収益に貢献しました。

一方、シスコシステムズは大手企業から需要は弱かったものの、中小企業および公共部門からの受注が力強い回復を示し、8~10月期決算は、売上高、1株当たり利益とも市場予想を上回りました。

米国での新規感染者数が過去最多に拡大する中、景気回復への不安も立ち込めている一方で、新型コロナウイルスのワクチン早期開発への期待がこれまで以上に高まっています。ワクチンの早期開発がもたらすであろう弊害を市場は全く無視しているのはあたかもメディア操作の影響だと思えますが、余りにも短絡的なのが怖い程です。

また、正式にはまだ勝利していないにもかかわらず、大統領選で勝利を確実にしたと思い込んでいるバイデン前副大統領は、追加経済対策をめぐり米議会と議論を継続していくと表明し、一部の市場関係者からは財政出動への期待も相場を支えたとの声もありました。世界経済の回復ペースは二歩進んで一歩下がる感じで進んでいるというのが市場のコンセンサスのようです。

経済指標に関して、米11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は8月来の低水準の77.0と、10月の81.8から予想外に低下し、新型コロナウイルスの再拡大で先行景況感が落ちこんだことが響きました。これを受け、米10年債利回りは0.90%から0.88%まで低下し、米ドルインデックスも低下。ドル・円は104円74銭と安値圏でもみ合い、ユーロ・ドルは1.1808ドルから1.1832ドルまで上昇しました。まだ米10年債の1%の攻防は結果が見えていないですが、米ドルは趨勢的に頭が重いような雰囲気を拭えない気がします。

用語解説


-ミシガン大学消費者景況感指数ー米国の消費者マインドを示す指標。ミシガン大学の調査研究センターがアンケート調査を実施し、毎月300人を対象とした速報値、500人を対象とした確報値を発表しています。

現在の景況感を示す現状指数(約40%)と先行きを示す期待指数(約60%)で構成されています。調査会社コンファレンス・ボード(CB)の消費者信頼感指数に先行して発表されるため、市場関係者の注目度が高い指数とされています。


立沢 賢一(たつざわ けんいち)
元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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