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今こそ財政出動、新型コロナショックを乗り越える

新型コロナショックに国家はどう対応すべきなのか?

最近多くの有名人や専門家の方々がポスト( アフター ) コロナというテーマでコロナ終息後を想定してのトークを彼方此方で行い始めました。

1ヶ月前にはそのような話をメディアで語られることは皆無でしたので、世の中が少しは良い方向に向かっているのかも知れません。と言っても4/17には東京での感染者数が201名と1日で最多を記録してます。個人的には米国も日本もちょっと先走り気味ではないかと危惧してます。

そもそもポスト( アフター ) コロナを語るよりも今何をすべきかが最も重要だと私は考えてます。現在、経済活動が停止状態に陥り失業者が増加する中で、果たしてポスト( アフター ) コロナの頃、一体全体どれだけの人達が失業者となっているのでしょうか? それすらも分からない状況下で、ポスト( アフター ) コロナを語るのは時期尚早だと思います。

実際に、このまま行けば、経済学的には需要が大ダメージを受けます。コロナショックが勃発する前から日本はデフレギャップという供給過多に悩まされてました。つまり、需要が少ない中で供給量ばかり有って、倉庫に在庫が溜まってしまって困る状態でした。そこにコロナショックの到来で、個人の所得が激減したり、職を失い所得がゼロになってしまったりしているのです。

そうなるともう個人や民間に努力してもらって需要を喚起するのは不可能に近いです。そこでこの機に誰が何をすべきか?という問題を考えないといけないのです。

その答えは国家が有効需要( 真水 )を増やすことなのです。

4/7にGDPの約20%相当にあたる事業規模総額108兆円の新型コロナ緊急経済対策の発表がありました。恐らく、多くの国民はその金額を見て、「日本政府も遂にお尻に火が点いて頑張った!」と思ったことでしょう。一見、大規模な経済対策に見えますから。ところが、詳しく見ると必ずしも素直には喜べない内容であることに気が付きます。

まず、有効需要( 真水 )に関して、(1)給付金や減税など政府から家計や企業に対して税金を戻すことです。家計に対して、住民税非課税世帯など収入が大きく減少した世帯に総額約4兆円の給付金の支給が行われます。そして、休業などで売り上げが落ち込んだ中小企業に対しては最大200万円の給付金が支給され、これが総額約2兆円。合計約6兆円となります。(2)公的部門が消費や投資を増やすことです。新型コロナウイルス対応として人工呼吸器、マスク配布、ワクチン開発、などに約2兆円の政府歳出増加とその他で合計約11兆円の政府歳出が増える予定です。

つまり、約17兆円の追加的な政府歳出が、経済の落ち込みを対応する分と位置づけられます。そしてこの追加的歳出の原資は赤字国債の発行で賄われます。

ここで気をつけなければいけないのは「事業規模」という言葉です。それには以前決まった補正予算分を二重計上したり、政府系金融機関による民間への融資拡大枠が含まれていますので、実質的な経済対策にはなっていないのです。

コロナショック前の2019年第4四半期の年率GDP成長率はマイナス7.1%と発表がありました。これは景気後退期にも拘わらず、消費税増税を行なった結果と言えます。そもそも論として、コロナショック対策以前にGDP7.1%分の経済刺激策を施さなければ2020年の経済成長率はマイナスになってしまっていたのです。その状態でコロナショックが上乗せされた訳ですから、日本経済にとってまさに泣き面に蜂なのです。

従いまして、少なくとも40兆円レベルの有効需要( 真水 )の創造が必要だと思います。一番効率的なのはまず消費税をゼロにすることです。これにより20兆円分相当の真水が増えます。後の20兆円で現金給付や休業補償などの中小企業救済策に充てればかなりの効果が期待できます。

コロナショックは1929年に起こった世界大恐慌と比較されますが、その時は株価の暴落から始まり米国では失業率が25%程まで急騰しました。それを救ったのは皮肉にも第二次世界大戦の特需でした。それにより大失業経済から完全雇用経済へと変貌したのです。

今回、私たちは戦争という手段を使えません。然し乍ら、例えば社会資本整備の一環として電柱地中化だけでも400兆円余りの需要の創造になります。1986年から1990年頃のバブル期に行わなかった社会資本整備や老朽化したトンネルや橋などの整備などなど財政出動できる事業は幾つでもあります。

日本政府は緊縮財政を財政拡大にいち早く転換しないと日本国が滅びてしまうかも知れません。コロナショックは人命的にも経済的にも負のイベントですが、それを大義名分に財政拡大が出来る様になれば、日本は再生できるのは間違いないです。そしてこの機を最後の機会として捉えて、日本政府は面舵いっぱいすべきです。
立沢 賢一

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