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走ると見えてくる景色

さぁ、今日はどこを走ろうか。

運動は心の健やかさを育んでくれる。
最近はよく、様々なメディアからそういった内容で運動の重要さを知ることが多い。

僕は中3の時にそれを実感した。
高校受験を前に部活動は引退する流れで、そうして志望校を決める前に身体が僕に訴えてきたことがあった。
…動きたい。
勉学に集中し、運動をまったくしない日々が少し続いただけでも心のバランスが崩れ始めていた。
僕はそういうタイプの人間だった。
今はネットで調べればどんな悩みも一通り解決策が出てくる。
僕は、心の病みを、運動できてないからだと、身を持って早くから知らされていた。


こんな局面でも、政府がジョギングをしてもOKと通達してくれたのは、有り難かった。
それに、
次の映画の役は、何やらアクションが多そうな役回りであることを知らされていたから、なおさらである。
その作品が無事にクランクインできるのかどうか、心配ではあるが。。。
でも、
それに向けて常に準備するのが仕事であり、そうすることで自分の気持ちも保たれる。モチベーションが維持できる。

今日、夕方以降は雨が降る予報だ。
目標は約1時間のジョギング。
特別ハードな課題ではない。
そんなにペースを上げて走ることもしないからだ。
午後四時になって家を出る。ギリギリになって動き出すのは癖のようなもかもしれない。
ハイペースにこだわらない理由は、度重なる怪我で身体のバランスを崩しているからだ。
このぐらいで走りたい、このぐらい負荷のかかる運動は少し前にもやっていたからすぐそのくらいはできる能力はある。
こういう感覚は、ある程度運動をしてきた人は分かるかもと思う。
でも、年齢を重ねて怪我をすると、元に戻りきらないし、戻そうとするにはとても細かい神経を使う時間をたくさん要するようになってくるのだ。
俳優として、身に付けたい芸はいくらでもあるので、身体の状態が悪くても稽古を重ねてしまう。
今、この時期はある意味好機なのである。
自分の体のアンバランスさに対して、地味ぃ〜に再教育する時間として。

なので、ゆっくり走る。
母指球の感覚、
踵を踏む瞬間に股関節に体重が乗る左右の割合、
太もも周りの筋肉の反応具合、
左右股関節の捻られたり傾きの均等さ、
背骨のバランス、
体幹の締まりとそれに伴う連動性、
呼吸による内側の動き、
頭の乗る位置、
腕の振り、
全体のパワー出力のありか、
そんなことを捉えながらゆっくり走る。

全ては無意識に落とし込むため、徹底的に意識する。
無意識にならなくては、芝居という複雑なやりとりを始めた瞬間、全てが無くなる。
粗々として、イビツで、洗練されてなくて、磨き上げた表現ではなくなってしまう。
まるで無意識で、反応的なのに、実は物凄くコントロールされている表現。
理想としているモノの一つである。

しかし、せっかく走るのであれば、行ったことない場所へ行きたい。
そういう決め方は何かにつけ、僕はけっこうあるほうである。
スマホの地図を眺めながら、ある公園を目標とした。
そこへ行くルートも最短ではない、極力通ったことない道を走る。
一本裏通りを通り始めた時だった。


何やら品の良い雰囲気を感じる。
左右とも、高そうな一軒家が並んでいる。
それはいわゆる画一的な家々というわけではなく、それぞれがデザインやセキュリティに富んでおり、、、どう言えば伝わりやすいかと言えば、
金持ちの家であった。笑

少し坂になっているのも利用されて、まるで城の石垣のように塀がたっている家もある。
そこに住む人たちの事を想像しながら走る。
どういう仕事なんだろう。。
また、昔からその土地に根付いているだろう家の雰囲気を持った、しかし古びているわけではない、家も目につく。
中から、白い髭の和服を着た品の良いおじさんが出て来そうだ。
どうやって富を築いて、そして、親は子へどういう教育をしているのかな?
社長だとして、ビジネスの話とか、お金の話とか、子供に対してするのかな?
資産家ってやつかな。想像し難い。
こういう疑問は、自分のことと比べ、まったく違うであろう家庭環境であることが想像できるし、
それに、役者としては想像するのが常であるため、興味が湧いてしまう。

そんな事を考えながら、右往左往して家を眺めながらジョギングしている僕の姿は、
確実に監視カメラに映り込んでいるだろう。
アヤシイね。笑

やはり、ジョギングは良いものだ。
車は早すぎる、
自転車でも、眺めてあれやこれや想像していたら事故の元だ。
急な反応が遅れる。

今、思い出したのは、映画で台湾のロケへ行った時のこと。
あそこは確か、台南だったか、、、
周りに何もなくて、
でも、異国の土地だから、ジョギングをするとめちゃくちゃ楽しかった。
道端に生えている植物や、街路樹や、空気の匂い、太陽の感じ、
いろんなものが日本とは違うから、
写真を撮りながら、2時間以上走ったのを覚えている。

そうして、家へ帰ってきてシャワーを浴びる。
次はどこを走ろうか。
そろそろ、全方向行ってるかもしれない。
引っ越しもアリ、と思う。

東京だけで居るのはつまらない。
いろんなところを、いろんな人と走りたい。

今日はこのへんで。
See you next.


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