見出し画像

ギリシャでのステージ

このステージの特筆すべきは、、、
ステージ裏がイオニア海なのだ!



漆黒の闇に包まれる海沿いにステージ用の艶やかな照明が映える。
舞台上には、3人の三味線奏者。
それ以外には何もない。
ここで、何が始まるのか。
レフカダ島の人々はどんな心持ちでいたのだろう。

遠い遠い東洋の端にある日本という国はどれだけ認知されているのだろうか?
少なからず、この本番前に、このステージまで移動する僕らの姿を見た人々は、興奮した勢いで反応していた。
楽しみで待っていてくれていたのか。
いや、着物姿であることが、民族衣装のように映って好奇心を誘ったのか。
いやいや、
その着物姿の野郎たちが、
レンタルバイクに跨り颯爽と風をきって集まってきたのが異様だったのか。
んまぁ〜そういうことです  (笑)

大丈夫、ちゃんと国際免許を取得しました。
この島をバイクで走るのは、ホントウにサイコーだから、ぜっっっっっっっっっっっったいに経験して欲しいと、リーダーからお達しがあったので。
そしてそれに、100%納得した。
日本ではまず、味わえない。
理由は実際にお会いした時に聞きにきて欲しい。文字にはできない。

身体表現は言語を必要としないので、国境を越える。
日本独自の舞踊をベースに、人物や、物語を、表現する。
そういうステージを経験することで、役者としての表現力を試したい。高めたい。
そんな想いがあった。
何より面白そうで仕方なかった。

昼にはリハーサルを行っている。
夏のレフカダは日差しがえげつない。
共に踊る女性陣はみなそれぞれに、日焼け止めを塗り、帽子を被り、
日傘まで持ちながら場当たりするツワモノもいた。
その時は、汗だくでとてもフルパフォーマンスしたらバテバテになってしまう気候だったが、
夜になれば、海からの風が心地よく。
夕闇と水平線のコラボがクッッッッソ綺麗なのである。
ま、その風が扇子を操るのにめちゃくちゃ邪魔をするのを知ったのは、ステージに立ってからだったが。

音が鳴る。
義経千本桜の音源に合わせて、三味線方が生音を奏でる。
僕が踊るのは、その義経役だ。
有難いことに、まだまだ経験の浅いうちだったが、センターポジションで一曲踊ることを任せて頂けた。
他に男性は2人いる。
1人は殺陣でお世話になっている先輩A
1人はいつもいろいろとやらかす先輩Bだ。
先輩だが容赦無く”やらかす”と書かせて頂いた。(笑)
この旅でも、寝坊で危うく飛行機に乗りはぐるところだった。
集合時刻になっても来ないので、電話したところ、湯船に浸かったまま寝ていたそうだ (爆笑)

イントロの頭を聞いたら、女性陣がカミシモ(ステージの横)から飛び出す。
女性3人、男性2人、ステージで踊り出し、客席が湧き立つ。
それを舞台袖で確認して、いつもより少し早いカウントで僕は飛び出した。

現地のステージは想定よりさらに広かった。
袖に立つには、階段を上らなくてはならない。
着物を着込んで更には、甲冑も身にまとった僕は、今までにないくらいの重さを感じていた。
いつものタイミングで出たら、間に合わない。
ステージ奥、中央に着いた瞬間、僕は興奮に包まれ、アドレナリンが沸き立つ。
それを必死に抑え込むようコントロールするよう試みが始まる。
ステージに立つ時には、常にそれらを同時に感じる。
いや、本当に入りきっている時、、いわゆるゾーンのような状態、、
その時には、それらが素晴らしいバランスで勝手に流れる。
この表現が正しいかわからないが、というか今、思いついてしまったから書くけど、灯油をタンクに流す手動のポンプを上手く何度かプッシュしたら、勝手に流れ続ける。あのような感じでもある。(分かりにくいですね)

その後は、体が動きたいように身を任せる。
思考は、トラブルにだけ反応するようになる。
何度も何度も練習し、曲に体が反応するように、今の振り付けが次の振り付けを呼び込むように、ステージ上でいかにラクでいられるようになるか、
体に染み込ませてきた。
表情も、反応のまま。
音を感じ、反応のままに。目の前の人たちへ伝えるではなく、僕の感じたものが伝わってしまうように。
意思、思考は置いておく。

だから、後で、見返すと面白い。
2回のところが3回になっていたり、今までにやったことないくらいおおげさに表現していたり、顔が。。。なんなんその顔みたいな(笑)

しかし、当の本人は、その最中は振り返らない。
後ろを振り返ったら、たちまち素に戻る。
そうなったら、観客にも伝わる。
義経であるかのように振る舞った。
少なくとも、そうであることが、この時間を割いて観てくれている観客に対しての向き合い方であるような気がする。
人種なんかもちろん関係ない。
目の前の人間が、どれだけ研鑽して、想いをかけて、ステージにいるか。
人間が人間を観るのだ。
言語や文化がわからなくても伝わるものだ。

最後のお辞儀で、たくさんの拍手と、歓声を浴びた。
届いたかな。
照明が落ち、僕はステージを降りた。

後日、撮影された動画を観た感想は先程述べたものだ。
結果、それらはまだまだ未熟なのだろう。
もちろんわかっていたことだ。
ただ、思い通りにやって失敗をしたほうが修正しやすい。
僕は大きな大きな経験を積むことができた。

*動画を見たい方は、Facebookにダイジェスト動画が貼り付けてあります。
https://www.facebook.com/chinmujien/videos/869630403195891/


あの時のレフカダの人達が楽しんでいてくれたら
何かを感じていてくれたら

今日はこのへんで
See you next.



応援サポート宜しくお願いします。活動のエネルギーになります!