【ポケモン映画 徹底考察(前編)】 次回作が公開される可能性について語ります
こんにちは、ケンです!
ここ最近、日本のアニメ映画が大きな賑わいを見せていますよね。『鬼滅の刃』は勿論、『名探偵コナン』や『ワンピース』など、定番のシリーズ作品が興行収入(以下、興収)で過去最高を記録する事例が相次いでいます。
そんな中、毎年夏に公開されていた『ポケモン』が2020年を最後に劇場から姿を消してしまいました。
コロナの制限がなくなったにも関わらず、現在も公式からの発表は全くありません。
そのため、ネット上では
といった多数のネガティブな意見を目にしてきました。
しかし、本当にそうでしょうか?
ここでは、ポケモン映画の次回作が公開される可能性がある要因や、そこからどんな内容になるのかを2部作に渡って徹底考察していきます。
本記事を閲覧することで、次の映画が出るまで安心していただけると幸いです。
とても長い内容になりますが、ぜひ最後までよろしくお願いします!
⚠️この記事はあくまで考察なので、事実とは異なる場合があります。予めご了承ください。
ポケモン映画の歴史
まずは、皆さんがより考察を理解できるように、今までのポケモン映画について解説していきます。
テレビ東京系にて放送されているアニメ『ポケットモンスター』の劇場版で、過去の主人公である少年サトシと相棒のピカチュウを中心に物語が展開されます。
1998年7月に第1作『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』が公開されると、国内の観客動員数は650万人、興収は72.4億円の大ヒットを記録しました。
これ以降、毎年夏に公開される定番シリーズとなり、ファンからは「夏はポケモン!」のキャッチコピーで親しまれてきました。他にも、入場者プレゼントで貰える幻のポケモンを目当てに、劇場へ向かう人が続出しました。
現在まで23作の映画が製作されており、2020年公開の『劇場版ポケットモンスター ココ(以下、ココ)』はコロナの影響で12月に延期されました。
ところが、近年では興収が減少傾向になっており、『ココ』は緊急事態宣言や『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』の公開時期と重なったことで、シリーズ最低の20.2億円を記録してしまいました。(グラフ[A]参照)
そして、本作を最後にポケモン映画が製作されなくなりました。
具体的な理由は不明ですが、主に「マンネリ化」「興収の低迷」の2つが憶測としてあげられています。
しかし、私は近い将来、ポケモン映画の次回作が公開されると確信しています。それはなぜなのか。
次回作が公開される要因
ポケモン映画の歴史がわかってきたところで、いよいよ本題に入ります。
①日本アニメの課題
コロナ禍から年々興収を上げていき、若い世代向けのアニメ映画が100億円超えのヒットを年に何本も生み出してきました。
数々のヒット作に恵まれ、日本の映画界は盛り上がっているように見えますが、こちらのデータをご覧ください。(表[B]参照)
これは、日本で公開された歴代のアニメ映画で興収100億円以上を突破した作品をまとめたものです。ここからわかる通り、表にある大半がジャンプ原作、新海誠作品、ジブリ映画になっています。
これらの主な共通点としては、「作画の背景が綺麗」「キャラの動きが激しい」「主題歌が大ヒットしている」の3点があげられます。
しかし、それ以外の独立系アニメなどは苦境に立たされており、一部の大作との格差は年々拡大しています。
これはアニメに限ったことではありませんが、作品数が増加しても同じような話題作に偏ってしまい、他ジャンルのヒット作が生まれにくくなっています。
結果として、視聴者の選択肢が限定されることで視野が狭まり、人気ランキングの上位を占める作品以外に注目が集まらなくなってしまいます。
それに加え、アニメーターの過酷な労働環境が未だに問題となっており、「低賃金」「人材不足」の悪循環によって退職する若者が後を絶ちません。
とはいっても、『君の名は。』の公開以降はジブリ以外の作品もヒットし、海外売上に伴う日本アニメの市場規模は拡大しているので、明るい話題もみられます。
それでもヒットバリエーションは狭く、本来映画にあるべき多様性が市場から失われる瀬戸際まで追い込まれています。
時代の波があるのでアニメ映画が永遠にヒットし続けるとは考えにくく、このままではアニメ業界が衰退する恐れがあります。
今後は既存の人気ジャンルに頼らず、独自性のある表現に挑戦することが課題になってくるのではないでしょうか。
よく「ポケモンは興収が低いから、次回作はありえない」と聞きますが、それは当たり前なんですよ。
物語よりもキャラクターを重視して、ゲームの特典を配布する手法に頼り続けてきたので、同じようなストーリー展開になって観客の年齢層をなかなか上げることができない。だから、興収が伸びないのは当然です。
そこで、一旦映画を休んで方向転換する必要が出てきたことが一番考えられます。
この後、ポケモンにとある動きがありました。
②増え続けるポケモンの映像作品
実は劇場映画がない一方で、ここ数年ネット配信を中心に展開するポケモンのアニメ・映像作品が急激に増えています。一覧にするとこんな感じです。
制作会社はスタジオコロリドやWIT STUDIOの他、海外のスタジオまで携わっています。映像表現も幅広く、3DCGやカートゥーンなど、バリエーションに富んでいます。
ファンからは好評で、どの作品もよく見られています。例えば、YOASOBIのミュージックビデオ「Biri-Biri」の再生数は2000万回を超え、ポケモン愛に溢れる素晴らしいMVになっています。ここから、劇場公開に匹敵するファンへのリーチが高いことがわかります。
私は、これが新作映画に向けた動きの一部ではないかと考えています。
WEBアニメで未開拓の領域に挑戦し続け、次の劇場版に相応しいのは何かを模索していると読み取っています。
以前投稿した考察記事では、次回作の内容をいくつか予想しました。どれもざっくりとまとめたものですが、この傾向から映画に使えそうなアイデアを膨らませていることが推測できます。
そして何よりも重要なのが、サトシ引退です。
1997年4月のテレビアニメから26年間、主人公を務めてきたサトシとピカチュウの物語が2023年3月に幕を下ろしました。
当時はXの世界トレンド一位になるぐらい衝撃的なニュースでしたが、これがポケモンにとってのターニングポイントになりました。
近年の新しい作品では、他のポケモンやキャラクターを中心に据えることが多く、そこから主役となるポケモンも広がって物語が多様化しています。
千匹以上いるポケモンの人気が拡大することで、キャラクターライセンスの割合も大きくなり、コンテンツの寿命を伸ばす効果もあります。
様々なエピソードを重ねることで、偏りなくそれぞれの認知度を高めていくポケモンの映像展開が成功を収めていることがわかります。
③興収と反比例する人気ぶり
近年のポケモン人気が絶好調なのも要因の一つです。2022年11月発売のゲームソフト『スカーレット・バイオレット(以下、SV)』の販売本数が2000万本超え、トレーディングカードの売上も好調です。USJのパレードやイベントにも登場し、こちらも盛り上がっています。
さらに、新作がなくても過去の映画を楽しんでいる人たちは今も存在しています。
例えば、2022年夏にアニメ25周年を記念して「夏の思い出、ゲットだぜ! 25周年ポケモン映画祭」が開催されました。これは、歴代23作品の中からファン投票で決まった3作品を期間限定で再上映する企画です。
思い入れのある映画を選択できるのはもちろん、結果を予想したり、作品のオススメポイントを一緒に語り合うなど、当時のSNSで大きな賑わいを見せました。
そんな中、『水の都の護神 ラティアスとラティオス』が上映作品の一つに選ばれました。
興収は26.7億円と低めですが、ファンからの評価は非常に高く、現在でも根強い人気を持っています。
イタリアの「ヴェネツィア」をモデルにした「アルトマーレ」の美しい街並みや、劇中に流れるアコーディオンの音楽が人々を魅了しました。
ラストではサトシが女子にキスされるという衝撃の展開になり、ファンの間では議論が巻き起こりました。
ここから旧作であっても、映画館へ足を運ぶことを躊躇わない人が沢山いることがわかります。
また、最低興収を記録した『ココ』も各映画レビューサイトでは4.0前後の高評価を獲得しており、好意的なレビューが投稿されています。
このように、興収だけで良し悪しをはかることができない事例となっています。
ファンの熱烈な支持によって大ヒット作よりも高く評価され、そこから新作の公開を望む声や期待が強まることで製作されたこともありました。
たとえ少数だとしても、実際に楽しんでいる人たちは根強く存在しているので、単一の視点で判断することはできません。
そのため、興収の低下によって次回作がなくなったとは考えにくいです。
ただ、興収が人気の指標として注目されている以上、この風潮を変えるのは容易ではないでしょう。
しかし昨年、そんな状況を一変させる映画が登場しました。
④マリオ映画の大ヒット
最近、話題になっていたので知っている人も多いでしょう。
2023年4月に公開された『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、あの大人気ゲーム『スーパーマリオ』を題材にしています。
日本では興収が140億円を超え、世界興収でも10億ドルを突破する大ヒットを記録しました。2026年4月には続編の公開が決まり、ファンの期待が高まっています。
一見ポケモンと関係ないように見えますが、こちらのデータをご覧ください。(表[C]参照)
これは、過去に日本で公開されたゲーム原作映画の興収をまとめたものです。他の実写作品と併せても、半数以上が10億円前後であることがわかります。(グラフ[C]参照)
ゲーム原作映画が思うようにヒットしなかった理由は、ゲームが体験の文化であることが考えられます。マンガと違って、自分でキャラを操作して遊ぶので、それぞれの体験が異なるのが特徴です。
ゲームを実際に遊び、その世界観に入り込めることが醍醐味なので、全く同じ内容を描いては魅力が失われてしまいます。
しかし、下手な改変をしてしまうと、楽しんできたファンの体験にギャップが生じてしまいます。
ゲームの文化をきちんと理解し、ファン以外の観客を獲得しなければならないので、ゲームの映画化は難しいです。
そんな中、マリオ映画はゲーム原作としては初めて100億円を超えるヒットを記録しました。
マリオのゲームで遊んだ共通体験を持っている人が世界中に存在しており、任天堂のキャラクターがディズニーに匹敵する高い認知度を持っていることがわかります。
誰もが知っているマリオが表情豊かに描かれ、たくさんのオマージュやプレイヤーの思い出が詰まったゲーム愛に溢れる作品になりました。
このように、マリオがゲームの映画化で大成功を収めることができた歴史的瞬間になりました。
ポケモンもこれに続いて、ユーザー目線で楽しめる新しい映画を製作している可能性があります。
ポケモンも非常に認知度が高く、例えばアメリカやイギリスの「アニメ・漫画」認知度ランキングではディズニーを抜いて一位になったことがあります。
実写映画『名探偵ピカチュウ』も大ヒットを記録しており、日本のゲームキャラクターは本当に世界的に認知度が高いです。
「でも、任天堂はポケモン以外のプロジェクトに注力しているから、別に関係ないのでは?」と思うかもしれませんが、任天堂の古川俊太郎社長が2023年の決算説明会で他IPも映像化していく発言をしています。
SVが大ヒットしている以上、任天堂がポケモンを視野に入れないはずがありません。多様な展開を通じてブランド価値を最適化することで、将来的に新作映画が公開されると推測しています。
結論
次回作が公開されない理由として、「マンネリ化」「興収の低迷」が主にあげられていますが、4つの要因からどちらも理由として成り立たないのです。
本当に次回作が公開されるかはわかりませんが、少なくともポケモンには新作映画を公開できる可能性が残っています。
様々な短編作品で試行錯誤していき、表現のバリエーションを広げています。そして来たる時に劇場公開し、シリーズ最高興収を目指しているのではないでしょうか。
ポケモン映画が再び盛り上がる日は近いかもしれません。
次回予告
とはいえ、次回作の主役がリコ・ロイになるとは限らないこともわかりました。
リコ・ロイじゃないとしたら、次はどんな内容になるのか?ここからポケモンは何を目指しているのか?
次回、「ポケモン映画 徹底考察 (後編)」で存分に語っていきます。夏頃に投稿予定です。
お楽しみに!!
⬇️後編はこちら
参考サイト
※一部画像引用([a], [b])
[A], [C] Wikipedia
[B] 興行通信社の「歴代興収ベスト100」
【数土直志の「月刊アニメビジネス」】劇場映画がなくても拡大中「ポケモン」アニメの戦略
No.016『日本のアニメの衰退化問題 その1』
[a] わが国アニメ産業の現状と課題
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/researchfocus/pdf/14718.pdf
Synapse編集部が行く!日本アニメの現状 Vol.2 「制作現場の問題と、変革の兆し」
ポケモン映画:ファン投票のリバイバル上映 新たなトレンドに
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』がゲーム原作映画の歴史を変えた作品と呼べる“納得の理由”〈世界中で大ヒット〉
マリオ映画がディズニー映画に匹敵する大ヒットを記録。任天堂は映画産業に本格進出するのか?
[b] “kawaii”やオリジナリティーで、英米にも浸透!?〜グローバルコンテンツ調査イギリス・アメリカ編〜
画像引用元(ヘッダー、[1]〜[8])
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku © Pokémon
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