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民法 保証債務 総則(446-465)

第446条(保証人の責任等)
① 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
② 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
③ 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

第447条(保証債務の範囲)
① 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
② 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。

第448条(保証人の負担と主たる債務の目的又は態様)
① 保証人の負担が債務の目的・態様において主たる債務より重いときは、これを主たる債務の限度に減縮する。
② 主たる債務の目的・態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない。

第449条(取り消すことができる債務の保証)
 行為能力の制限によって取り消すことができる債務を保証した者は、保証契約の時においてその取消しの原因を知っていたときは、主たる債務の不履行の場合又はその債務の取消しの場合においてこれと同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定する。

第450条(保証人の要件)
① 債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。
 1 行為能力者であること。
 2 弁済をする資力を有すること。
② 保証人が前項第2号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。
③ 前2項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。

第451条(他の担保の供与)
 債務者は、前条第1項各号に掲げる要件を具備する保証人を立てることができないときは、他の担保を供してこれに代えることができる。

第452条(催告の抗弁)
債権者が保証人に債務の履行を請求したとき
→保証人は「まず主たる債務者に催告をすべき」旨を請求できる。
主たる債務者が
①破産手続開始の決定を受けたとき
②その行方が知れないときは、この限りでない。

第453条(検索の抗弁)
債権者が主たる債務者に催告をした後
→保証人が「主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であること」を証明したとき
→債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。

第454条(連帯保証の場合の特則)
 保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、催告・検索の抗弁の権利を有しない。

第455条(催告の抗弁及び検索の抗弁の効果)
 催告の抗弁及び検索の抗弁により保証人の請求又は証明があったにもかかわらず、債権者が催告又は執行をすることを怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなかったときは、保証人は、債権者が直ちに催告又は執行をすれば弁済を得ることができた限度において、その義務を免れる。

第456条(数人の保証人がある場合)
 数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、それぞれ等しい割合で保証する。

第457条(主たる債務者について生じた事由の効力)
① 主たる債務者に対する履行の請求等による時効の完成猶予・更新は、保証人に対してもその効力を生ずる。
② 保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。
③ 主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。

第458条(連帯保証人について生じた事由の効力)
 下記の規定は、連帯保証人についても準用する。
第438条
連帯債務者の1人との間の更改
第439条第1項
連帯債務者の1人による相殺等
第440条
連帯債務者の1人との間の混同
第441条
連帯保証人の1人について生じた事由は、他の連帯保証人に対してその効力を生じない。(相対的効力の原則)

第458条の2(主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務)
 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。

第458条の3(主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務)
① 主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2箇月以内に、その旨を通知しなければならない。
② 期間内に通知をしなかったときは、債権者は保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から通知を現にするまでに生じた遅延損害金に係る保証債務の履行を請求することができない。
③ 保証人が法人である場合には、適用しない。

第459条(委託を受けた保証人の求償権)
① 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者に代わって弁済その他債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額の求償権を有する。
② 第442条第2項の規定は、前項の場合について準用する。

第459条の2(委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権)
① 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。この場合において、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
② 前項の規定による求償は、主たる債務の弁済期以後の法定利息及びその弁済期以後に債務の消滅行為をしたとしても避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。
③ 求償権は、主たる債務の弁済期以後でなければ、これを行使することができない。

第460条(委託を受けた保証人の事前の求償権)
 保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。
1 主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき。
2 債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。
3 保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき。

第461条(主たる債務者が保証人に対して償還をする場合)
 前条の規定により主たる債務者が保証人に対して償還をする場合において、債権者が全部の弁済を受けない間は、主たる債務者は、保証人に担保を供させ、又は保証人に対して自己に免責を得させることを請求することができる。
②前項に規定する場合において、主たる債務者は、供託をし、担保を供し、又は保証人に免責を得させて、その償還の義務を免れることができる。

第462条(委託を受けない保証人の求償権)
① 第459条の2第1項の規定は、主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が債務の消滅行為をした場合について準用する。
② 主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。この場合において、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
③ 第459条の2第3項の規定は、前2項に規定する保証人が主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をした場合における求償権の行使について準用する。

第463条(通知を怠った保証人の求償の制限等)
① 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその保証人に対抗したときは、その保証人は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
② 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者が債務の消滅行為をしたことを保証人に通知することを怠ったため、その保証人が善意で債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。
③ 保証人が債務の消滅行為をした後に主たる債務者が債務の消滅行為をした場合においては、保証人が主たる債務者の意思に反して保証をしたときのほか、保証人が債務の消滅行為をしたことを主たる債務者に通知することを怠ったため、主たる債務者が善意で債務の消滅行為をしたときも、主たる債務者は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。

第464条(連帯債務又は不可分債務の保証人の求償権)
 連帯債務者又は不可分債務者の1人のために保証をした者は、他の債務者に対し、その負担部分のみについて求償権を有する。

第465条(共同保証人間の求償権)
 第442条から第444条までの規定は、数人の保証人がある場合において、そのうちの1人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。
② 第462条の規定は、前項に規定する場合を除き、互いに連帯しない保証人の1人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。

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