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ken_gravity
2021年10月30日 00:41
桟橋から次々と舟が出て行く。私はその様子を眺めながら願うのだった。行き着く先にどうかまた、君が居ますようにと。月の宴の祝いを終えて、夜空の海は静けさを取り戻していた。それはそれは静かな夜。程なくして、瞬く星々が一斉に歌い出す。さぁ星渡りの夜の始まりだ。さぁ舟を漕ぎ出せ。新しい場所に祝福を。新しいあなたに祝福を。男はポケットの中から一枚の金貨を取り出した。キプロスの金
2021年10月29日 02:06
夜空を泳ぎ雲の波を越えて、月の島に辿り着く。今夜は月の宴を祝う晩だ。大小さまざまな皿がテーブルに並べられている。星を浮かべた冷製スープに、三日月を添えたフォアグラのソテー。カクテルグラスは宇宙を彩っている。私は銀河を散りばめたスーツを纏い、一人の女性を待っている。遠くで歓声が聞こえる。「おぉ、星の子だ」「なんと美しい」「彼女の奏でる音は世界一だ!」「いや、銀河一だね!!