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初レッスンの思い出②

緊張しながら店員さんに体験レッスンの申し込みをした数日後、いよいよその日がやってきました。この時はさすがに友人のNくんに同行をお願いするわけにはいかず、一人でヨシダ楽器の店奥にあるレッスン場所へ向かいました。

中学3年生のはじめまでピアノ教室に通っていたので、音楽教室に通うのは約5年ぶりでした。今思うとそんなに期間は空いていないように感じますが、「親が通わせる習い事(ピアノ)」と「自分で申し込んだ習い事(ギター)」では初回レッスンにのぞむ心境もずいぶん違ったと思います。

幼稚園生の頃に受けたピアノの初レッスンの光景や心情を思い出すことはできませんが、大学2年生の頃に受けたギターの初レッスンはいくつか覚えていることがあります。

初レッスンの心境

レッスン教室の扉に初めて手をかけた時はワクワクとドキドキが入り混じった感情でした。実はレッスンの内容や先生の演奏について、ほとんど何も知らずにレッスンの申し込みを行いました。

当時(2010年)はネットを検索する習慣が私になかったのですが、TwitterとFacebookの日本版が2008年にスタートしていたことを考えると、事前にレッスンの情報を収集できたのかもしれません。ただ、「どんな先生だろう?」と思いながらも、何も知らずに会うのは大事な経験になりました。

例えば、「このラーメンのネット評価は高かったけど、自分はあんまり・・・」と思ったり、「口コミは全然なかったけど、オレはこのカレー好き!」と思った経験はきっと多くの人にあるはずです。「合う/合わないは行けば分かる」という経験則はグルメだけでなく、音楽教室にもあてはまるものです。私が主宰する教室の初レッスンを控える今になって強く思うのは、初めてギターを習う先生が縦石佳久さんで良かったということです。

師匠との出会い

レッスンの教室の扉を開けて最初に思ったのは「髪がすごい長い。」という余りにもストレートな見た目の感想でした。「そんな感想?」と思うかもしれませんが、20歳の私は髪が肩まで伸びている大人の男性に接したことがありませんでした。「ギタリストはやっぱり髪の長さが必要なのか・・・」と思いましたが、今は「髪の長さ=ギタリストの資格」ではないと理解しています(笑)

私が体験レッスンを受けた頃、縦石さんは27歳でした。7歳差の感じ方は30・40・50代と年齢が増すにつれて誤差に近付きそうですが、20歳の私にとって7歳差は大きいものでした。その感覚は今もほとんど変わらず、久しぶりにお会いした2022年時点でも「縦石先生」という呼び方がしっくりきました。ただ、縦石さんは友人として接してくれるので、体験レッスンの頃に抱いた緊張は過去の記憶です。

その体験レッスンで「どうしてギターを習いたいと思ったの?」と尋ねられたので、私は「もっと上手くなりたいんですけど、独学では限界を感じます・・・」と答えました。続いて、「何か今練習している曲はある?」という質問にも答えると、「ちょっと弾いてみて」と言われました。「マジか・・・」と一気に緊張が高まる中で、数週間後に部活動のサマーコンサートで演奏する予定の『Yesterday(作詞・作曲:レノン=マッカートニー/編曲:武満徹)』を弾きました。プロの演奏を不格好に真似たものだったので、縦石さんは様々な足りないことに気付いていましたが、私の緊張をほぐすように「結構弾けているね」という声を掛けてくれました。

真に受けて「オレは弾けている!」と自信を深めることは決してありませんでしたが、代わりに最も緊張する時間を終えた安堵を覚えました。すると、縦石さんが「せっかく来てもらったから僕も今練習している曲を弾くよ。」と言って、サービスで演奏をしてくれました。その時に弾いてくれた曲は『ラファガ(作曲:ホアキン・トゥリーナ)』で、タイトルはスペイン語で「突風」を意味します。それまでクラシックギターの作曲家はアンドリュー・ヨークとローラン・ディアンスしか知らなかったので、目の前で初めて聴く曲に静かに驚きました。「なんかすげぇ…こんな曲あるんだ。」と心の中で呟くと同時に、「きっと知らない曲がまだまだ待っているんだな」と教室に通う決心もしました。

おそらく縦石さんはギター好きの大学生である私を思ってラファガを選曲してくれたと思います。この曲は作曲家の職人技がつまった華のあるギター作品で、縦石さんは曲の終わり近いラスゲアード(弦をかき鳴らす奏法)で「あ~難しい~!!」と感情を爆発させていました。

※あやみのギター音楽教室のお知らせ記事「初レッスンの思い出②」と同じ内容です。HPはこちらです。
https://ayamino-guitar-music-school.com/

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