脳梗塞で曲がった肘を伸ばす為に②
脳梗塞で曲がった肘を伸ばす為に第二段です。
今回は肘が曲がってしまう事を肘から離れた部分、肩関節から見てみたいと思います。
上腕二頭筋と肩関節の安定
上腕二頭筋はニ関節筋であり長頭が肩甲骨関節上窩に短頭が肩甲骨烏口突起に付着しています。
肩関節を跨いで付着しておりますので肩甲上腕関節の安定性低下の際に代償的に働く可能性があると思われます。
よって肩が不安定であれば上腕二頭筋の緊張が上がり肘も曲がってしまうのでは?と考えることができます。
肩甲上腕関節の安定性
ではここで肩甲上腕関節の安定性について考えていきたいと思います。
肩甲上腕関節、いわゆる肩関節は肩甲骨の関節窩と上腕骨の上腕骨頭からなる多軸関節です。
人体の関節の中でもかなりの可動性を有しており、その反面安定性が低いです。
肩甲骨関節窩に対してして上腕骨頭が大きく骨性の支持が少ない関節であります。
その安定を補填する為に筋肉、関節唇、靭帯などで補強をしているような状態となっております。
その中でも関節唇、靭帯などは受動的な要素であり 脳梗塞による影響は受けにくいと考えられますが
筋は脳梗塞により肩関節の安定性を高めるローテーターカフの機能低下がおこると肩関節の不安定へと繋がると思います。
そして肩甲骨自体のアライメントの偏位が肩甲上腕関節の安定性に影響していきます。
肩甲骨アライメントと肩甲上腕関節安定性
肩甲骨が下方回旋すると肩甲上腕関節の角度が増えてしまいます。
肩甲上腕関節の角度が増えると関節への圧迫力が低下してしまいます。
『医歯薬出版 カラー版筋骨格系のキネシオロジー』
より図引用
上の図をみるとSCS(上関節包構造)と上腕部の重力の力の合力が関節の安定性に寄与している事がわかります。
肩甲骨の上方回旋位が保持できないと関節面に働く力(図のCFの矢印)の長さが短くなり関節の圧迫力の減少が見られています。
よって肩甲骨のアライメント不良があると肩甲上腕関節の不安定が出現、それにより代償的に上腕二頭筋の緊張が入る可能性が考えられます。
肩関節安定性を高める為に
上腕二頭筋の過度な緊張を落とす為に肩関節の安定性をアプローチしていきます。
その為に肩甲骨を良い位置に持っていきます。
具体的には肩甲骨の下方回旋位を上方回旋位へと徒手的に誘導していきます。
この際に注意したい事は肩甲骨の立体的な動きをイメージする事だと思います。
肩甲骨の動きは内外転、挙上、下制、上方回旋、下方回旋、前方突出、後方突出などありますが
それらに加えて前傾、後傾や内外旋のような動きもあり3次元での肩甲骨の動きをイメージして徒手的誘導をする事が良いかと思います。
そして徒手的に誘導したら肩甲上腕関節、肩甲骨周囲の筋活動を促す為に『手で支える』といった練習を私は良く使用します。
例として座位でテーブルの上に上肢を置くような活動です。
抹消からの反力によって関節への圧迫力を高めるのと姿勢制御としての筋活動を高めるのに有効と考えてます。
ポイントとして、ただ手をテーブルに置くだけで無く
上肢からの反力で上半身を支える(上半身が起きてくる)イメージです。
そこから手をついたまま体幹の屈曲、伸展や立ち上がり、などバリエーションをつけて行っていきます。
注意点としては亜脱臼の度合いによっては抹消からの反力が関節窩に行かず肩甲上腕関節にストレスをかけてしまう可能性があります。
アライメントをしっかり整え、抹消からの反力が適切に関節面の安定化に繋がっているか確認しながら行いたいところです。(うまく言語化できずイメージがつきにくいかと思いますが、申し訳ありません。)
今回はこれで終わりたいと思います。
最後まで見ていただきありがとうございます。
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