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本が売れない時代に書店員になった話。

本が売れない時代に書店員になった。
グラフィックデザイナーの仕事も並行しながらの本屋さんでの仕事です。

純粋に本のある空間、特に書店が好きなこと。本が好きなこと。そして、将来的に本のある空間を作りたいということが書店員になった理由で、5月に始めてもう3ヶ月近く経つ。

書店員になってみて

実際に書店で働き始めて抱いた感想は、楽しいだった。仕事自体はルーティンな作業が多いけど、日々変わる棚と次々に入ってくる書籍、様々なお客さんは飽き性な自分にとっては苦ではなく毎日が楽しい。
本に囲まれた場所は、無意識に言葉や文字、デザインが頭の中に入ってくる。もちろん拒絶したくても入ってくるというデメリットもあるけど、収集癖があって情報を集めたい自分にとっては最高の空間。

もう一つの感想は、意外と本って売れているじゃないかということだった。「本が売れない」「活字離れ」という言葉は自分が中高生の頃からずっと言われていた言葉で、自分の頭の中でも本って売れないんだなと思っていた。
でも、いざ自分が本を売る側になってみたら予想より売れている。
もちろん自分が働いているお店が少し特殊ということもあるけど、本を読む人は絶望するほど減ってはいないのかもしれない。
廃刊や休刊になる雑誌はなるべくしてなっていく分野のものだったりするし、雑誌の休刊=読書する人の減少ではないような気がする。

本が売れてなくても、本のある空間は確実に世の中に増え続けているし、本屋さんだけはなく「本×カフェ」や「本×ホテル」のように「本×〇〇」のような掛け合わせの本の需要がどんどん増えている。
本そのものというより、本のある雰囲気のいい空間が世の中に求めらている。


本屋さんのお仕事と必要な力

本屋の仕事自体は、レジや案内などの接客業務、棚作りや補充、イベント、フェアなどの書店業務、納品や書類作成、売上管理などの事務業務の3つに大まかに別れる。

そんな業務をこなす中で実感した書店員にとって必要なスキルがある。それは、本を超詳しく知ることでも、めっちゃカバー掛けが早いことでもなく、編集力と提案力だった。
日々、新しい書籍や雑誌が来る中で、どの本をどの棚に。どの本の隣に置くのかやこんなフェアをやってこの雑誌と書籍、雑貨を組合せて売ったらお客さんに喜んでもらえる、こんなイベントやったらいいなど、売り場での編集力とお客さんがどんな情報や書籍を欲しているのかや本自体の魅力を伝えられるような提案力が試されると働いてみて実感した。

本をたくさん読むことはしてないよりしていた方がいいし、本の知識はないよりあった方がいいけど必須ではない。
それよりは、線や面に結びつく点をたくさん持つことの方が大切だし、それを結びつけていくような編集力の方が必要だとまだ初心者書店員ながら思っている。

以上が約3ヶ月書店で初めて働いてみた感想です。

書店の存在は減ってはいるし、工夫をしないと生き残れない時代になっている。でも、その中で本のある空間は今まで以上に求められている。
そんな中で本屋さんがどうやって存在意義を果たしていくのかが試されていると働きながら実感している。

この感想は、あくまでも3カ月、都心の大型書店で働いた自分が抱いた感想で、この先どんどん変わっていくと思う。でも、本屋さんで働くことは想像以上に楽しいし、本に対する想いも前より深くなっている。


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