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京都の本屋

京都へ旅行へ行った際に書店を何店舗か巡ったのでまとめようと思う。
京都は大学が数多くあり学生が多く、古くから文豪、作家が多く暮らし、訪れた街なので個性的な書店が数多くあった。

① 誠光社

恵文社の店長を2002年から務めてきた堀部篤史さんが独立し、2015年にオープンした本屋。
直取りやリトルプレスが多めだが、しっかりと大手や中小の出版社のものもある書店。
目の届く範囲大きさで、しっかりの棚に手が入っている。
お店のある場所も、近所には「MEMEME COFFEE HOUSE 」などのカフェやレコードショップ、雑貨屋がありつつ、住宅も多いエリアで誠光社目当てでくるお客さんはもちろん、住んでいる人にも開かれた書店だ。ちゃんと雑誌も置いてあるのも良い。

誠光社
〒602-0871
京都市上京区中町通丸太町上ル俵屋町437
営業時間:10:00 - 20:00
定休日:無休(12/31〜1/3除く)
https://www.seikosha-books.com

② 恵文社 一乗寺店

イギリスの新聞社ガーディアン紙が、2010年に発表した「The world’s 10 best bookshops(世界で一番美しい本屋)」に選ばれた恵文社一乗寺店。
地方の書店ムーブメントの中心として、京都の文化を支えたお店。
従来の分類や取り扱いと違いセレクト、編集された棚作りをし、雑貨などを織り交ぜ、店頭に本とともに並べた書店の元祖的な存在で、その後様々な書店が恵文社を真似してお店づくりをしている。

世界一美しい書店に選ばれた脚光を浴びた時から約10年の時を経て、雑貨を置く、カフェ併設の書店は当たり前に、セレクトされた棚も当たり前になってしまい、新鮮さや感動はなかったが、京都の文化を長きに渡って支えてきた場は格好よく、素晴らしい佇まいだった。

恵文社 一乗寺店
〒606-8184
京都市左京区一乗寺払殿町10
営業時間:11:00-19:00 
定休日:無休(元日を除く)
https://www.keibunsha-store.com

② メリーゴーランド京都

メリーゴーランド京都が入居している壽ビルディング

子どもの本専門店。
子どもの本専門店という名の通り、絵本や児童書がメインだが、決して子供向けの書店という訳ではない。
子供はもちろん楽しいが、絵本だけでなく食や教育、大人たちに向けたライフスタイル本など、子供と一緒に大人も成長していけるような本が取り揃えられている。
自分はあまり絵本や児童書を読んで来なかったので、置いてある本が新鮮だったし、そこに並べられる実用書や新刊本の組み合わせは新たな発見がある並びだ。

メリーゴーランド京都
京都市下京区河原町通四条下ル 市之町251-2寿ビルディング5F
営業時間:10:00 - 18:00
定休日:木曜日
https://www.mgr-kyoto2007.com

④ BOOKS & THINGS

京都の祇園にある古書店。路地を進み、玄関のチャイムを押してから、靴を脱いであがるお店。
上がった和室には芸術や写真などをメインに様々な本がある。店主の方がそばにいて見ていると声をかけてくれるのだが、個人的には見ているときに声をかけられるのは苦手だ。

書店で本を探している時間、読んでいる時間は、誰にも奪われたくない内省の時でもある。
なるべく一人でいたいな〜、構わないで欲しいな〜って思いながら店主の話を聞いていた。

東京以外で、これだけの古書のビジュアルブックを取り扱ってるのは珍しいし、路地を進み、座敷に上がるという本の体験はなかなかない。コミュニーケーションを取りながら、本を探したい、知りたい人にとってはいいお店。
近所には古美術店も多いので、それとあわせて行くといい。

Books & Things
京都市東山区古門前通大和大路下ル元 375-5
営業時間:12:00-19:00
定休日:不定休
https://andthings.exblog.jp

⑤ 京都岡崎 蔦屋書店


蔦屋書店の京都の店舗。そこまで広くはないが、地域に開かれたお店だ。
寺社や美術館、劇場が隣接する地域にあり、なんといっても入居している建物は、前川國男設計の京都会館。
改修、改築をしているが、外観のファサードなどは前川建築の特徴が詰まっている。

書店としては、アートと日本文化をメインに、観光客や美術館を訪れた人へ向けてセレクトされたお店ではあるが、地域にしっかりと開かれて、場の利点を生かしている。

京都岡崎 蔦屋書店
京都市左京区岡崎最勝寺町13 ロームシアター京都 パークプラザ1階
営業時間:8:00-22:00 
定休日:無休
https://store.tsite.jp/kyoto-okazaki/

⑥ 大垣書店

京都を中心に店舗展開をする書店。
地域密着型の大型書店で、THE 新刊書店という感じだが、丸善ジュンク堂や紀伊國屋にはない、京都の文化を担ってきた自負というか、京都の日常というそのような雰囲気が漂うお店だ。
こういう地方に根付いた地元の書店は大切だし、しっかりと続いて欲しいなと思う。

⑦ 丸善 京都本店

梶井基次郎の檸檬に出てくるお店。書店自体は普通だ。
檸檬に出てくる旧丸善の場所は、今と違うところにあり、宿からも近かったのその場所であろうところで写真を撮った。京都は名作に出てくる場が多くて、楽しい。

檸檬に出てくる丸善のあった京都市中京区の三条麩屋町付近にて


⑧ toi books 〔大阪〕

2018年に閉店した「心斎橋アセンス」の書店員だった磯上さんが開いた書店。
5坪の小さな本屋さんではあるが、様々なテーマごとに本が分けられた棚は、一回見てもなお発見がある不思議な棚だ。

小説やエッセイなどの文芸書が豊富にあり、大型書店にもある本も多いが、そういったおなじみで知っていたはずの本にも改めて目が行って、あれも欲しい、これもと手が伸びていく、仕掛けがあり本の引力が強い書店。
小さな書店だからこそ、じっくりとお店を何周も何周もして、発見し選べるいい本屋さんだ。

toi books
大阪府大阪市中央区久太郎町3丁目1−22 OSKビル204号室
営業時間:12:00-19:00
定休日:木曜日
https://mailtotoibooks.wixsite.com/toibooks

京都の書店を訪ねてみて。

京都の有名書店に行って思ったが、やはり京都のような地方都市で、東京にもあるような書店をやる必然性は感じない。
いかに東京や、その他都市にある書店と差別化して、土着的な思想や風土を活かし、その土地に住む人、来る人へ本を通じて還元していくか。
そういったことが大切ではないか思う。

前にも、地元・福島のセレクトショップに行って思ったが、東京やその他地域のロールモデルをそのままやるのではなく、知識やお店、人にも地産地消的なその土地の人が生み出し、消費、昇華していくサイクルを地方の小売店、特に書店は作らなきゃいけないと自分は思っている。
そうしないと地方都市は、東京のフォロワーとして、東京からの情報の川下、東京発の消費サイクルの枠組みでしか、暮らすことができない。
意識を変えて、行動していくのが一番難しいのだけれども。


京都は、文化の地産地消の土壌が比較的整っている都市ではあるが、セレクト書店の元祖として存在した恵文社ですら、そのセレクト書店が東京やその他都市で当たり前となった時代に、個性がなくなり、画一化された書店の一店舗になっていたのは悲しかったし、いかに持続的にそのお店の理念や新しい価値をリレーして保っていくかの難しさを目の当たりにした。

ネットや本で見て、知った気になってはいたが、やはり地方の書店やお店には行ってみないと分からないことがたくさんある。


ぜひ、色んな地域に行ったらその土地の本屋さんに行って欲しい。
有名チェーン書店でも、その土地の文化を垣間見ることができる。

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