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家庭でできるジビエ肉熟成法と絶品!熟成ジビエ肉レシピ

本稿は『けもの道 2017秋号』(2017年刊)に掲載された「肉好き猟師必見! 肉々しい特集」内の記事を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。


肉の熟成、ちょっとその前に

「シカ肉、熟成させたら美味いよね」……こう言って、自分で獲った鹿肉を自宅で「熟成」させたことのある狩猟者は近年、急激に増えている。

手に入れた肉をできるだけ美味しく食べたいという欲求は、狩猟者にとって本能のひとつと言えるだろう。

しかし、その「熟成」は正しい方法だろうか? 

「熟成」に限らず、生肉の扱いは正しい知識と、徹底した衛生管理が必要で、一歩間違えば食中毒や感染症を引き起こすこともある。

もう間も無く今年の猟期が始まる。猟期で得た肉を安全に、そして美味しく食べるため、「肉の専門家」たちに学ぶ。

↓ぜひ合わせてお読みください。

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今回、家庭でも活かせるジビエ肉の熟成法&調理法を教えてくれるのは、都内の中目黒でジビエを中心としたフレンチを振る舞う「LaBoucherie du Buppa」(ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ)の神谷英生シェフ。

彼は『料理人のためのジビエガイド: 上手な選び方と加工・料理』の著者でもある熟成ジビエ肉の第一人者だ。

LaBoucherie du Buppa(ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ)の神谷英生シェフ

写真・文|安藤“アン”誠起

家庭でできるジビエ肉熟成法

落ち着いた雰囲気の「ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ」店内。やはり熟成肉専用の大型冷蔵庫が一際目を引く

ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ店内に入ると、まず目に飛び込んでくるのは巨大な熟成肉専用の冷蔵庫。

この冷蔵庫は特注品で、中は4つの仕切りに分かれ、温度や湿度、庫内の肉に当てる風の速度や向きなどをコントロールできるようになっている。

これぐらいの設備があれば、美味しい肉の熟成には鬼に金棒だが、さすがにそれを家庭でやるのは難しい。そこで神谷シェフに家庭でもできる肉の熟成法を教えていただいた。

家庭の冷蔵庫で熟成するときのポイント

「家庭の冷蔵庫はいろんなものが入ってるので、肉に変なニオイが付きやすいんですよね。その辺りも考えて処理をしてくださいね」と神谷シェフ。

手順としては、まず肉にガーゼを巻いて、丸一日冷蔵庫内で馴染ませる。翌日、肉を取り出し、脱水シートで巻いて、密封パックに入れて空気を抜く。さらにそれを容器に氷と一緒に入れて冷蔵庫内に。氷が溶けたら水を捨ててまた氷を追加。これを6〜7日間繰り返す。そうすると肉はかなり縮んで旨味がギュッと凝縮される。

「ポイントは冷蔵庫内のどこに肉を置くか。実は庫内の冷気が出る場所に置くのがベストなんです。6〜7日が定石だけど、家庭では3日くらいで仕上げた方がいいかもしれないですね」

脱水シートが無い場合には、キッチンペーパーでも代用可能。その際、ドリップが出るので、2日に一度はペーパーを換える必要がある。

ところでキッチンペーパーを剥がすときに、肉にくっついて苦労した方も少なくないはずだ。そういう場合は、オリーブオイルをさっとかけると、油膜ができて簡単に剥がれる。

「ほかにも、冷蔵庫内に余裕があれば小さなサーキュレーターを入れて、1日ぐらい脂の部分に風をあてて水分を抜くという裏ワザもあります」

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