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けもの道 01[2106特別号]

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狩猟専門誌『けもの道』の2016特別号の記事をまとめてお得に読めるマガジンです。狩猟、猟犬、ジビエなどに興味がある方なら、本物の狩猟者たちの世界に魅了されるはず!
『けもの道 2016特別号』のnote版有料記事を4〜5本以上お読みになる場合は、本マガジンをご購…
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記事一覧

狩猟の原点 我、犬に会い、ケモノに会う。 〜 なぜヒトは大物猟を目指すのか?

文羽田 健志 はじめに まずは『けもの道』復刊おめでとうございます。 私が狩猟を始めて間もない頃、毎月、狩猟に関する雑誌が家に届くことが楽しみの一つでした。そこには狩猟者の主観たっぷり、思うがままの文章が掲載してあり、ときには無茶苦茶と思われるようなことも書かれていましたが、ゆえにそれがとても面白く、また、勉強になりました。 文章というものは、読む側の受け取り方次第でどのようにでもなるものだと思っています。毒にも薬にもなり、また発する側が毒を発していても薬になることも

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【猪犬トリビュート】名著『紀州名犬語り草』で称賛される紀州三名犬

紀州3名犬とは?昔も現代も、イノシシ猟師にとって、猪犬は最も大切なパートナーであることに変わりなく、明治維新後社会が急速に欧米化する中でもイノシシ猟犬は、昭和の30年代ごろまで日本犬(和犬)が主体であった。但し、市街地の日本在来犬は西洋犬との雑化が急速に進み、大正末期には純粋の日本犬は山間僻地の狩猟犬として残るのみとなっていた。 一方、各方面で起こったナショナリズム(国粋主義)は日本固有の自然・生物にも波及し、日本在来犬にも保存の機運が高まった昭和の初め、各地の地犬が「日

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【狩猟の現場から】大物猟天国 北海道

文溝口壮一 私は、現在72才の老ハンターです。今回縁あって『けもの道』再出版に寄稿する幸運に恵まれ、今も楽しんでいる北海道における大物猟について、私の経験を読者の皆様に少し紹介したいと筆を執りました。 北海道といえばエゾ鹿猟が盛んで、さらには超大物である|羆にも会えるという、真に大物ハンティングの夢の大地です。機会を見てハンターの皆様には一度は訪ねて頂きたいと思っています。 北海道でのエゾ鹿猟は、その独特な地形と気候から、「流し猟」、「忍び猟」、「巻き猟」を行っていま

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日常の中のわな猟 〜 なぜヒトは大物猟を目指すのか?

文|千松 信也 この日の、いつもの見回り昨猟期、12月中旬くらいのこと。前日の夜に雨が降り、ぐっと冷え込んだ日曜日の早朝、山に仕掛けたわなの見回りに行くため、軽トラに乗り込んだ。 〈昨日はええ感じの雨やったし、ぼちぼちあのシシ掛かってへんかな〉 そんなことを思いながら軽トラを運転し、途中でコンビニに寄って缶コーヒーを買ってから猟場に到着。林道の隅に軽トラを停める。 〈…さて〉 いつものように猟用の上着に着替え、スパイク地下足袋に履き替える。腰には小ぶりの剣鉈をぶら下

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【第1回】俺たちの狩猟塾 実践!見切り猟 〜 移動跡新旧判別ポイント

狩猟塾 再開!今回、塾長からのお誘いは、「明日、有害(駆除)出るけど、どない?」という控えめなLINEメッセージからだった!! 『けもの道』特別号の製作に向け、連絡手段が電脳系になった塾長とともに『狩猟塾』再開!! 編集「休刊の間、何か変化はありましたか?」 塾長「仲間が朝イチに跡見や見切りをしてくれるようになって、助かるようになったなぁ」 編集「塾長もだいぶラクが出来ますね」 塾長「しかしやな、自分の犬を掛けるんやったら、仲間を信頼してても、自分で見切りの結果に納

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【大会レポ】猪犬訓練の世界 〜 第六回全国猪猟犬栃木大会

文・写真佐茂規彦 猪猟師が集う社交の場平成28年4月10日、栃木県にある那須塩原|猪犬訓練所において開催された「第六回全国猪猟犬栃木大会」。 この大会は、関東を中心に活動する若手猪猟グループ「猪鹿庁」(※岐阜県のNPO法人「メタセコイアの森の仲間たち」とは別団体)のメンバーらと北関東清水犬舎が主催し、年1、2回開催されている猪犬の競技会だ。 猪猟師が自慢の猪犬を引き連れ、互いの犬の猟芸を披露し、競い合う猪犬競技会。一昔前までは全国各地にあった猪犬訓練所で盛んに行われて

猪犬訓練の世界 〜 吉野川猪犬訓練所・春季合同訓練会

吉野川猪犬訓練所・春季合同訓練会全国各地にある猪犬訓練所では、定期または不定期で猪犬の訓練が行われている。一定の評価基準によって順位付けを行う競技会とは違い、訓練では、経験の浅い犬に猪の動きを理解させたり、猪に対する犬の反応を飼い主がじっくりと観察することが出来る。 犬を使って猪を獲ることの基本的な意味は、犬に猪を捜索させ、狩猟者が現場に着くまで犬が猪を止める、または射手の待ち場まで猪を追い出すことにある。 当然、狩猟者の猟法や猟のスタイルによって、個々の犬に求められる

【熟練猟師の初報告】注意すべき水槽・注目すべきアマス

猟場での犬の “水難事故”『けもの道』が休刊となり、狩猟の情報が目に入らなくなって3ヶ月も過ぎようとしていた今年の有害捕獲。何十年という狩猟経験の中で、初めてのことが起こり、報告させていただきます。 『けもの道』の愛読者であった方の中には、すでに経験済みで「今頃?」と思う方もいらっしゃるかも知れませんが、愛犬の事故を1件でも無くすために。 文・写真久住英樹 不幸な水槽事故 農家の高齢化に伴い全国規模で耕作放棄地が増えている。私が猟場としている藤枝(静岡県)でも年々増

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シカ・イノシシに潜む寄生虫のコワ~い話(ジビエを安全に食べるための正しい知識)

ジビエに潜む寄生虫猟師の皆さんが昔から食べていたシカやイノシシが、最近は「ジビエ」という小洒落た名前で呼ばれるようになって来ました。 増え過ぎたシカ・イノシシを有効活用するために、全国各地の自治体でもジビエを推進しようとしています。 お役所が介入して食品として流通させるならば、安全性に気を配らないといけません。知事推薦のジビエで食中毒が起きてからでは遅いのです。 ということで、各自治体・厚生労働省などはジビエを衛生的に取り扱うための指針(ガイドライン)を出しています。

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シカ肉料理をおいしく食べるための2大重要ポイント

重要ポイント1 〜 ケモノ臭さを消すお店で食べたシカ肉料理は美味しかったのに、自分で調理したらやっぱりケモノ臭かった。自宅でシカ肉料理に挑戦した方に、そんな経験はないだろうか? ケモノ臭の原因 いわゆるケモノ臭が出る原因は、止め刺し箇所、血抜き方法や運搬・解体に掛かる時間のほか、シカの年齢や状態などにも左右され、煮込み料理などをする際に気になるところだが、簡単な下処理を行なうだけでケモノ臭はかなり取り除くことが出来る。 シカ肉の下処理方法 シカ肉をサッと湯がくと肉が

[第1話]職業? 猟師です。 - 原案・ちえぞう|協力・吉井あゆみ|作画・里見紀

原案|ちえぞう 協力|吉井あゆみ 作画|里見紀 (了) 狩猟専門誌『けもの道 2016特別号』では本作を含む、狩猟関連情報をお読みいただけます。note版には未掲載の記事もありますので、ご興味のある方はぜひチェックしていただければと思います。

シカ害に脅かされる鴨川の水源地 〜 “実感する” 狂い出した森林生態系

京都市内を流れる清流・鴨川。古くは平安時代から日本の史記に登場する歴史ある河川の一つであり、その水源は京都市北区の深山地域、雲ヶ畑にある。近年、増え過ぎたシカによる害はその水源となる森林にも等しく及んでいる。鴨川の水源を見守る岩屋山志明院の住職・田中真澄氏にシカ害の実態を聞く。 ごく短期間で現れたシカの害「シカが増えたのは、ここ12~13年の間ですね。それまではこの寺の周りでもたまに見かけるぐらいで、当時はまだ自然の動物と出会うのが嬉しかったものです。」 雲ヶ畑地域を登る

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北海道エゾ鹿対策最新事情 〜 エゾシカの個体数指数管理

文|酪農学園大学 伊吾田 宏正 エゾシカの個体数指数管理ここ数年、エゾシカの個体数は減少傾向と言えそうだ。 北海道が招集する研究者などによる「エゾシカ保護管理検討会(現在の名称は『エゾシカ有識者会議』)」が毎年公表している「エゾシカ個体数指数」が、ここ数年減少傾向にあるからだ。 「個体数指数」というのは、少し馴染みのないものだが、「個体数」そのものは、現代の最新科学をもってしても推定が困難である。 緑が豊富で地形が急峻な我が国のような環境において、森林性の動物の個体数

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【ジビエ界の働くクルマ】移動式解体処理車・試作1号車に見るジビエにかける夢

ジビエ界待望の働くクルマが登場!解体処理施設が抱える悩みを解決できるか!? 平成28(2016)年7月25日、長野県庁で「移動式解体処理車」の試作1号機がそのベールを脱いだ。 獲物のフレキシブルな回収と迅速な解体処理は、野生獣を食肉として利活用する上で、最も大きく、そして答えのない課題のひとつだ。ジビエ界に突如現れた働くクルマは、最適解を提示できるか!? 移動式解体処理車とは?移動式解体処理車は、NPO法人日本ジビエ振興協議会(2017年に一般社団法人化、現在は「一般社