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言葉の持つチカラ

読書ノート「組織と個人の成果にブレイクスルーを起こす法 ~パフォーマンスアップ3つの法則~」スティーヴ・ザフロン、デイヴ・ローガン 著

世界的コンサルティング企業のCEOと米国ビジネススクールの教授という2人の著者が、「人は、限界を超えたパフォーマンスにいかにしてたどりつくのか?」という問いについて、世界各国のプロジェクトで実証済みの方法論を本書で体系化したという。
久々に後で読み返す本に出合ったので、自分用にまとめておく。

はじめに

本書の記載でしっくりこない箇所があったので、原文は分かりませんが、以下のように定義したり読み替えたりしました。(注:個人的解釈なので本書の内容とずれているかもしれませんが、悪しからず。)
・本書の「設定された未来」と対になる概念で、創生的言語で語られ、みんなが向かっていく価値のある未来のことを「望む未来」と定義した。
・本書の中で頻繁に登場する ”状況の起き方” や ”状況が起こってくる起き方” という日本語がそのままだと理解できなかったので、”状況や事実をどのように認識するか” や ”状況や事実をどのように認識したり意味付けしたりするか” という風に読み替えた。
・第4章以降に記載のある(組織内の) ”会話” は、言葉を交わすこと以外にジェスチャーや態度や行動パターンの中に感じられる言外のメッセージも指していると思ったので、”コミュニケーション” と読み替えた。

【未来を書き換える】

組織や個人は、創生的言語で語られる「望む未来」ではなく、説明的言語で語られる「設定された未来」に向かっている。

本書で述べる3つの法則を組織に適用し、この「設定された未来」を「望む未来」へ書き換えることができると、人々が権限レベルを超えた意見や実行力を持つことができる文化が職場に生まれ、人々の行動が変化し、古い問題が解消し、不可能だと思われたレベルまでパフォーマンスを向上させることができる。

「設定された未来」は、過去の出来事や現状に対する不満等が繰り返される言葉や行動パターンと結びついているため、組織内のコミュニケーションに注意を払って「欺瞞」(不満、不満に伴う行動パターン、不満を持ち続けるメリット、これらを維持し続ける代償)を発見し、清算しなければならない。

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「学習する組織」(ピーター・センゲ 著)の中で語られている「(負の)自己強化型ループ」の関係が、本書でいう「欺瞞」や「設定された未来」の間にあることを指しているのだと思った。

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「望む未来」を描くために、、、
①私たちを縛り付けているのは、人生における事実ではなく、言語のもつれであると気づき、
②「設定された未来」をはっきりと口にし、私たちはその未来を本当に望んでいるのか自問し、
③関係者全員と過去の課題や欺瞞をすっきり清算しておく。

関係者と協力して、みんなに行動のひらめきを与え、全員の関心を引きつけ、口にした瞬間に本物となる「望む未来」を明確にしていく。

描いた未来に共鳴しない人を見つけたら、どんな対案があるのか尋ねてみよう。

みんなの足並みが揃うと、「それこそ私の意味することだ!」と全員が口にして、その実現に必要なことに本気で取り組むようになる。

【インテグリティの重要性】

強い組織にはインテグリティ(integrity 完全で破綻のない品質や状態や様子。一体となっていること。全体。)がある。

インテグリティがあると作業性や効率が上がり、逆にインテグリティのない組織では、約束が守られず人々の責任感がなくなるため、効率がどんどん下がる。

インテグリティとは、単に約束を守ることではなく自分の言葉を大切にすること。

「人は言葉によって状況をとらえる。だから、約束をした人は、その言葉の中で自分自身や他の人に向き合うことになる。その言葉が本心ではなく、矛盾していて完全でないなら、自分に対して正直だとは言えない。完全で欠けたところがない自分を取り戻そうとしなければ、約束を尊重する人にはなれない。」(P.151)

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『ティール組織』(フレデリック・ラルー著)の中で語られている「全体性」(ホールネス)と本書著者がいう「インテグリティ」は似たような概念を指していると思った。

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自分自身や組織のインテグリティを育むために、何をするべきか?
▢ その瞬間に合わせた都合の良いことを話すのではなく、事実や本心を示して、どんな状況でも一貫性のある発言をする。
▢ できる限り約束を守り、約束を守れない時にはそのことを伝えて結果に対処する。
▢ リーダーは、約束を守れなかった人がインテグリティを回復できるように関わる。
▢ リーダーは、コミニケーションを通してインテグリティを維持する。

【リーダーの役割】

リーダーは、人々に未来を書き換える力を与え、人々の団結したいという気持ちを引き出すことができる。

リーダーシップの源は、未来を見て、人々の話(本当に求めていること、重要だと思っていること)を聞くこと。

リーダーは、組織のインテグリティを育み、「設定された未来」を消し去ることで、未来の声を聞く余白(スペース)を生みだすことができる。

リーダーは、みんなが同じ方向を向くまで、自分たちは誰で何をしようとしているのか分かるまで、何度も何度も話し合うことができる。

いつの時代もリーダーが話すと人々は行動を起こす。

リーダーは、自分の心が躍るような未来の声を求めているから、直感を信じることができる。

リーダー自身が、活気に満ちてエネルギーにあふれる未来像そのものになっていく。

リーダーは、幅広い人材から現在の状況を聞き、財務・商品・マーケットポジション・競合他社・文化・従業員の志などの情報を考慮した上で、未来の声を聞くことができるようになる。

【チェックリスト】

以下、本書の学びを実践する上で、参考になりそうな問いを個人的にピックアップしたもの。

〈過去について〉
様々な立場の人々は、、、
▢ どんな行動を取ったか
▢ どんな行動を取らなかったか
▢ どんな希望を持っていたか
▢ どんな不満を持っていたか
▢ どんな目標を達成したか
▢ どんな目標を達成できなかったか
▢ うまくいかなかったことについて、どのような説明や正当化をしたか

〈現状について〉
様々な立場の人々は、、、
▢ どんなことを口に出して言うか
▢ どんなことを口に出さずに(姿勢やジェスチャー、表情、声の調子などで)伝えているか
▢ どんなことをメールや付箋、書類に書いているか

〈過去と現状に対する考察〉
私たちや彼らは、、、
▢ これまでと同様なコミュニケーションや行動を続けると、どんな状況になるだろうか
▢ どんなコミニケーションや行動が生産的か
▢ どんなコミニケーションや行動が足を引っ張っているか
▢ どんな「設定された未来」を見ているのだろうか
▢ 「設定された未来」から刺激を受けているだろうか
▢ 「設定された未来」を冷めた目で見ているだろうか
▢ 心配事は何だろうか
▢ 心配事は「設定された未来」によって解決できるのだろうか
▢ 自分の言葉に責任を持っているだろうか
▢ 正式な合意がなくても(自主的に)、期待される行動をしているだろうか
▢ 隠し事をせずに誠実にコミュニケーションしているだろうか
▢ 「設定された未来」は、あらゆる利害関係者の関心を満たす(ワクワクさせる)ことができるだろうか

〈「望む未来」へ書き換えるための対処法〉
▢ 私たちや彼らのコミュニケーションの中で、取り除くべきものはどれだろうか
▢ 組織の中をインテグリティが流れ始めるような新しいコミュニケーションを始めるには、どうすれば良いだろうか
▢ 私たちや彼らが「望む未来」を強く意識できるコミュニケーションとはどのようなものだろうか
▢ 私たちや彼らが見ている「設定された未来」を書き換えられるほど強力で新しい「望む未来」とは、どのようなものだろうか
▢ 組織やグループの新しい未来の声に耳を傾けている人はいないか
▢ その役割を果たす人は誰だろうか
▢ 自分がその役割をやりたいと思ってもらうためには、どのように励ませばよいだろうか
▢ どんな未来なら、みんなの懸念に対応できるだろうか

【パフォーマンス3つの法則とリーダーシップの帰結命題】

本書のタイトルにもある3つの法則と、その法則をもとに、リーダーシップはどのような役割になるか(帰結命題)が書かれていたので転記(”状況の起き方”については本書の記載を一部変更)した。

パフォーマンス第1法則:人の行動(パフォーマンス)は、本人が状況や事実をどのように認識したり意味付けしているかと相関する。
リーダーシップの帰結命題1:リーダーは、状況や事実をどのように認識するかを決める力を持ち、他の人にもその力を与えることができる。

パフォーマンス第2法則:状況や事実をどのように認識し意味付けしているかは、言葉の中にあらわれる。
リーダーシップの帰結命題2:リーダーは環境をマスターする。

パフォーマンス第3法則:未来に基づく言葉には、その人が状況や事実をどのように認識したり意味付けしたりするか、トランスフォームする力がある。
リーダーシップの帰結命題3:リーダーは組織の未来に耳を傾ける。

【コミットメント】

第8章コミットメントの記載があとで見返すのにちょうど良さそうだったのでメモ。

コミットメント1:観客席から出る
コミットメント2:新しいゲームを作り出す
コミットメント3:障害物を前提としてゲームをする
コミットメント4:洞察を分かち合う
コミットメント5:適切なコーチを見つける
コミットメント6:過去のファイルを未来のキャビネットに入れない
コミットメント7:命がかかっているかのようにゲームをする

感想

5,000円もする本だったので、中古で購入しましたが、じっくり向き合うべき本でした。
出会えてよかったです。
紹介してくれた 田邉さん ありがとうございます!!!

今回の個人的な読書のテーマは ”パフォーマンスの高い組織は、今後すべてティール型を志向するのか?(自律分散でフラットな組織でないと飛躍的なパフォーマンス向上は見込めないのか?)” という疑問でした。

その問いに対する本書の答えはこうだと思います。
”組織形態によらず、みんなが「望む未来」を共有できてインテグリティが育まれるような組織(にできるリーダーがいるの)であれば、パフォーマンスは飛躍的に向上する!”

このnoteは個人的なメモとしてまとめていますが、読んだ人にとって何かのヒントや参考になったら幸いです。
では、今日もよい1日を♪

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