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なぜ中国ではノンアルビールが流行っていないのか?

こんにちは!上海KEMBOの髙橋です。現在、不妊治療のためにアルコールを控えています。タオバオでいろいろなノンアルビールを仕入れ、飲み比べている日々です。今回は中国のノンアルビール市場について調べました。

中国でのノンアルビール製造の歴史は意外に早い

中研研究院の「2020〜2025ノンアルビール業界のマーケットデプス分析と発展戦略研究報告<原題:2020-2025年无醇啤酒行业市场深度分析及发展策略研究报告>」によると、中国ではノンアルビール製造のスタートは早かったが、発展は非常に遅いと報告されています。

中国でのノンアルビールの製造は意外に早く、1985年広東江門市の飲料工場がドイツの生産ラインを導入し、製造を開始したのが初めと言われています。87年には広東恵州でスイスの設備を導入、97年、98年、2000年には青島ビール、山東華中琥珀ビール、山東広寒宮ビールが相次いで、ドイツからノンアルビールの設備を導入しています。

中国においてはアルコール度数3.5-4%が普通のビール、0.5-2.5%が低アルコールビール、0.5%以下がノンアルビールとされています。
(出典:https://finance.chinairn.com/News/2020/05/18/140732716.html

普段スーパーやコンビニには並んでいない

私が生活する上海においては、普段スーパーやコンビニでノンアルビールなどを見かけることはありません。ノンアルビールを買う場合は、様々なビールを扱う専門店かネットでの購入となります。

中国のメーカーで現在製造されているのは燕京ビールAlcohol Free、青島ビール0.0、珠江パイナップル味ビール、青世家青島乳酸ビールがありますが、どれもスーパーで並んでいるのは見たことがありません。輸入物のノンアルビールも並んでいません。

中国には多くのビールメーカーが存在しますが、ノンアルビールを製造している会社はたった数社という現状です。

ネット上では輸入物が多い

しかし、タオバオ上で无醇啤酒(ノンアルビールの意味)と検索してみたところ、ドイツ、オランダ、日本、ロシア、台湾、ベトナムのノンアルビールが出てきました。実際飲んでみた感じでも、国産のものよりビールに近い味のものや、いろいろなフレーバーのものが多くあり、国産ノンアルよりも味やメーカーの選択肢が多い印象を受けました。

値段は輸入物のほうが断然高いですが、個人的にはやはり美味しい味の輸入物を選んで飲みたいという感想です。

コロナ禍によるノンアルビールの急速発展

International Wine Spirits Researchの調査によると、今年6月に発表された研究報告では、未来5年において、世界のノンアル製品は50%の成長が期待されると報告されました。

2020年1~3月、中国のビール輸入総量は1.2億リットルで、前年同期比18.5%減少しました。輸入総額は1.5億ドルで、同11%減少。このうち、ノンアルコールビールは逆成長の様相を呈し、輸入量は43.35万リットルで、同49%伸びました。輸入額は48.8万ドルで、同47.64%伸びています。

2020年1〜3月ビール輸入状況

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コロナ禍の影響を受けて、消費者は更に健康問題を重視し、低糖、低カフェイン、ノンアルの傾向にあります。また専門家の分析によると、昨今の若者の飲酒観念は理性的で、これまで主流だった「不醉不归(酔わなければ帰らない)」という考えは歓迎されなくなり、「微醺小酌(ほろ酔い気分で飲む)」というのが若者に好まれています。

中国のノンアル市場の発展は緩やか

中国市場を見ると、早期にノンアル市場に参入した青島、雪花、珠江などの国内ビールブランドは、現在販売されているノンアルビールの種類の少なさから分かるように、特にいい結果を残せていないようです。

一方、輸入物は国産のノンアルビールに比べ、種類も豊富で、国産よりも売れ行きはいいようです。中でもオーストラリアのBundabergは消費用トップで、ネットで流行っているフルーツ味の発泡飲料で、包装や味が女性消費者に受けているようです。

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イプソスが発表した「2017中国ビール市場白書<原題:2017中国啤酒市场白皮书>」によりますと、国内のノンアルビールは、まだ普通のビールと味がかけ離れており、一般的に消費者はノンアルや低アルコールビールは味が薄いと感じています。

アルコール自体には一定の香りがありますが、ノンアルビールの生産は、既存の製品に対し、簡単な脱アルコール処理を行ったものが多く、原料、技術、設備などの面から改善するということではなく、ノンアルビールの味に大きな限界が出ているようです。

まだまだ、中国ではノンアルビールの認知度は低いようですが、昨今では健康面を考慮して、低アルコールビールや低カロリービールを試してみたいという消費者が増えています。ビールメーカーに対して製造過程の技術向上や普通のビールに近い口当たりのノンアルビールが期待されます。

Global Dataのデータによると、次世代のビール消費者(年齢18~24歳の人)はアルコール摂取量を減らすことに最も熱心な世代です。ノンアルビールが直面する主要な消費層は若い世代です。そのため、味、包装からマーケティング戦略まで、ブランドはこの部分のクラスターの特徴に対して配置を行う必要があるでしょう。

ノンアルビールを中国に売り込むためには、まずノンアルビールというジャンルの認知度を高め、普段の生活にビールプラスαの選択肢があるという概念を広めていくことが大事かもしれません。

記事出典:
https://www.sohu.com/a/418616674_156083 https://www.sohu.com/a/277800509_280777

ライター:タカハシヒロミ
2000年より上海在住。趣味は空手とダイビング。海水魚のブログも運営。

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