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中国、顔認証普及が拡大!

中国では顔認証システムの普及が拡大している。
用途も様々でQR決済に変わる用途や出社/退社時の認証にも使われており利用シーンはますます拡大していくであろう。
中国科学院情報技術研究所によれば、コンピューターによる顔識別の正確度はすでに99.15%に達しており、人間の目視の97.52%よりも高くなっているというデータもある。

下グラフは中国における顔認証システムの市場規模、および使用用途を示したものである。
2021年には、53億元(約800億円)の市場に達すると予想されている。また使用用途については出退勤・入出場が最も多く42%、セキュリティが30%、金融が20%と続いている。

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(出所:前瞻産業研究院)

図2

(出所:前瞻産業研究院)

下図は中国調査会社のアイメディアが出している調査結果である。
2018年から2022年までの顔認証決済利用者の拡大予測が示されている。この調査によると2022年には7億人以上にまで達すると予測されている。
また2019年、顔認証決済が利用されている場所としてはスーパー/コンビニが40.7%でTOP、その次には商業施設35.2%、自動販売機27.8%、娯楽施設26.9%、飲食店の19.4%と続く。
スーパー、コンビニではもはや当たり前の決済方法となっている。

図3

(出所:アイメディア)

中国で生活しているとあらゆるところで顔認証決済が活用されていることに気づく。スーパーやコンビニでの決済はもちろん、ちょっとした小さなパン屋さんにまで普及していたのには驚いた。以下は実際に利用されてる顔認証機器の写真である。現在、この様な顔認証決済はQRに変わる決済方法として急激に拡大している。

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2019年12月のデータとはなるが弊社ではGMO E-Lab Marketing Research (Shanghai) CO, LTD.が運営するアンケートサイト「MarketObserver」のシステムを使用中国の一級都市(北京、上海、広州、深セン)の16歳以上の男女に対し顔認証決済の利用状況をリサーチした。

顔認証決済の使用経験者は約60%まで達しており、50代以上で見ても男女共に約50%を超える。
また、最も利用する決済認証方法として、クレジットカードを超えていることからも中国での顔認証決済の急激な拡大が見て取れる。
更に今後、顔認証決済が増えるだろうと回答した方は91.5%という非常に高い数値となった。

逆に使用したことのない人に理由を聞いたところ、やはり「個人情報の漏洩」、「第三者による不正利用」という回答が40%を超えた。
実際に問題も発生している様だ。ある個人が某テーマパークで収集された顔認証を含む個人情報取り扱いに対してテーマパーク側を訴えた。この訴訟に関連した投稿には1億以上のアクセス数があり、多くのユーザーが個人情報収集の禁止を求めている。

また、政府が通信事業者に対し、直販店で新しい電話番号を契約する顧客を登録する際、利用者の顔認証データを収集することを義務付けたこともあり個人情報取り扱いに関する法整備も徐々にだが進んでいる。

顔認証技術の発展が提供する利便性とこの様な法規制はトレードオフの関係である。実際に利便性を手にしてしまうとなかなかその生活から抜けることは難しいという側面もある。今後とも議論がどの様な方向に進むのか注視したい。

ライター:Taro Nozawa

KEMBOホームページ:http://kembo-net.com

お問い合わせ:nozawa@kembo-net.com



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