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中国 「春節期間」における規制や要請

2021年2月11日〜17日は中国の春節期間であった。
中国では既にコロナ拡大が抑え込まれている、という印象は一部あるかもしれないが実際には春節2週間前くらいからは黒竜江省、吉林省、河北省、またここ上海でも感染者が連日発見された期間があった。この期間には建物の中に入る際には健康码と呼ばれる健康コードが緑(問題無し)で検温もクリアしなければ入れなくなる等、色々な場所で検査が厳しくなっていたのだが春節期間には幸いにも大きな感染拡大は見られなかった。
また、春節期間の移動規制や諸々の要請の効果もあり交通機関の利用は2020年と比較すると約58%減少したということであった。

春節期間の中国では帰省の為の大移動が発生する為、コロナ拡大抑制に向けて政府からの色々な規制や要請があった。筆者も青島へ帰省する予定があった為、小まめに情報収集をおこなっていた。

現在は各国ともに同じ様なコロナ拡大防止における色々な規制や要請があると思うがこれは中国でも同様、春節期間前後は特に色々な規制や要請が発表されていた。
本当に実施されるのかな、と思う様なものもあったり、また中国における社会問題も見えてくる様なもの等もあったので一部をご紹介したいと思う。
※結果的に発表のみであったような事項もあり実際の運用有無については不明確なことも多かったということはご了承ください。

①各地域の危険レベルにおける移動規制

春節期間のみではないが最近では各地域がリスクの高低により分類され、特に春節の期間は移動に関する規制があった。

・「高リスク」地域の住民または直近14日以内に高リスク地域に訪問歴がある人は春運期間は移動することができない

・「中リスク」地域の住民または直近14日以内に中リスク地域に訪問歴がある人は原則として移動をせず、必要があり省や市 をまたいで移動する場合は所在地の防疫当局の認可を得た上で、72時間以内の陰性証明が必要

・「低リスク」地域の住民は14日以内に発熱などの症状が出た人や輸入貨物を扱う作業員など感染リスクが高い人を除き、健康コードで「緑」が表示されていれば移動できる 


また、3月上旬に全国人民代表大会を控えている首都北京では特別措置として「高リスク」「中リスク」地域に住む人たちは北京に入ることが禁止されており、「低 リスク」地域から来たとしても14日間の健康観察があり7日目、14日目にPCR検査をする、というぐらい厳格な規制がなされていた。

筆者も春節期間は上海〜青島間を往復したが両地域共に「低リスク」地域に分類される為、実際にはPCR検査の陰性照明は必要ないということになる。しかし何が起こるかわからないので行きも帰りもPCR検査の陰性照明も携帯していた。帰りは事前に空港会社にも確認し、「必要」ということなので携帯したがチケットカウンターでは「必要ない」と言われ見てすらもらえなかった・・・w

ちなみに上海でPCR検査を受けると80元(約1300元)、青島では70元(約1140円)とだいたいこの程度の価格で受けることができ、24H後には結果をオンライン上で見ることができる。(※地方での検査の場合、外国人は紙の証明書のみ、ということもあった。)

②規制自粛する方々への手当て

各地域では春節期間帰省しない人たちに対し、市や企業から数百元程度(省や市、企業により異なる)の手当や地元で使用できる買い物チケット、また北京市では通信各社を通じて1人当たり20 ギガバイト(GB)のデータ通信量を提供があったりと、 様々な手を使って春節期間の移動自粛を要請していた。
コロナを拡大させないという意識、またこの様なあの手この手が項を奏したのか、春節前のあるアンケートでは85%の人々が今年の帰省を自粛する、という結果が出ていた。(あくまでも春節前のアンケート結果なので実際に帰省した人の割合はもっと多いと思う・・・)
また、手当ではないが規制自粛者への中国特有の優遇もあった。
中国の都市部では市外出身者の年齢や学歴等を基にしたポイント制が設定されており、それに応じて都市戸籍取得が認められる、という制度がある。その為、江蘇省蘇州市では帰省自粛した人たちへ該当制度のポイントが加算されるという優遇があったそうだ。

③帰省者に対する各地方政府の独自ルール設定の禁止

春節直前には中国国家衛生健康委員会より、各地方政府による帰省者への独自ルールの追加が禁止された。このニュースは見たときに安心した方も多いのではないだろうか。

そもそもコロナ拡大を防ぐための各省や各市のオリジナルルールの様なものはコロナ発生当時から一部存在していた。道路が封鎖されたり、他地域から来た人が強制的にPCR検査を受けさせられたり、強制隔離されたり、といったものである。
各地方政府もコロナが拡大すると自分たちの立場が危ういので気持ちは痛いほどわかる。ただし、この様なオリジナルルールには明確な発表も無く、出張や旅行レベルでも判断が難しくなってしまう。上海から出張で別地域へ行ったらそのまま隔離生活が始まった・・・という様な情報もあったので大々的に各地方政府のオリジナルルール設定を禁止してくれることは嬉しい限りである。

そうは言っても個人の危機管理意識も大事にしたい。コロナの場合特に自分は大丈夫と思いがちだが家族の為、身の周りの人の為、しっかりとPCR検査した上で移動をする、というのが最善であろう。

④春節期間における「留守児童」対策

中国では「留守児童」という社会問題がある。都市部へ出稼ぎに来ている方々の子供達が戸籍の制度上の関係から両親と別々に住むことで農村に取り残され、年に数回しか親と会うことができない、というものだ。
今回の春節期間の帰省自粛はこの様な方々の移動にもとても大きな影響を与えた。その為、中国民政省は親と一緒に過ごす事のできない子供達のための心のケアを強化する様に通達をおこない、春節期間に親と会う事のできない子供達の把握や期間中のボランティアの動員、またテレビ電話ができる様通信設備を提供する、等の対策をおこなっていたようだ。

⑤企業への規制自粛中人材への育成要請

本当かな。。。と思うがこれは中国人事社会保障省 から春節期間中の帰省を自粛する従業員に対し、企業側が研修をおこなう様、要請した、というものだ。
本当に実施した企業や従業員があったかどうか謎であるがこの研修では法と道徳、品質意識、安全・環境、健康・衛生などをテーマに し、研修にかかる費用については政策に基づき支援される、というものであった。

これは結果が分かり次第またご報告したいと思うが帰省もできない上にこの期間に研修を受ける、という様な人は本当にいたのであろうか少しばかり疑問である・・・・。

一部をご紹介したがこの様に春節ならではのものや、社会問題を映し出すものまで色々ある。この様な時だからこそ、より中国を理解できる様なものが多くなっているなと感じた。成功するもの、失敗するもの、様々だが、共通するのはどこの国の政府も必死である。

中国でもギリギリまでどうなるのかわからないもの、突然発表されるもの、急に変更されるもの、とたくさんあるが誰も経験した事のない現在の様な状況であれば致し方がない。失敗があることはもちろん、各国政府も神様ではないので全国民が安心、納得・・・という様な100点を取ることはなかなか難しいだろう。

今後とも協力できることを粛々とこなしつつ、うまくいかない事も許容しながら、コロナという危機を乗り越えていきたいと思う。

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ライター:Taro Nozawa
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