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中国、行き過ぎた超学歴社会にメスを入れる「未成年者保護法改正」

上海KEMBOの中原です。

6月1日に未成年者保護法が改正された。
主に未成年者の健康と安全のための法律であるが、
今回教育関連の項目の修正内容が興味深いので紹介したい。
尚、中国の未成年者は18歳未満を指す。

「未成年者保護法」では、保護者の義務として「未成年者の休息、レクリエーション、身体運動の時間を保証する」ことが明確に規定されている。 第3章学校保護の章では、「学校は、未成年の生徒の保護者と協力して、未成年の生徒の学習時間を合理的に調整し、休息、レクリエーション、身体運動の時間を保証しなければならない」と明確に規定されている。

「学校は、法定休日、休校日、夏休み、冬休みを利用して、義務教育中の未成年者の集団授業を企画し、学習負担を増やしてはならない。」

「幼稚園および校外の研修機関は、就学前の未成年者に小学校のカリキュラムを教えてはならない。」

「学校や幼稚園は、学外の研修機関と協力して、未成年者に有償のカリキュラム指導を行ってはならない。」とある。

つまり就学前の幼児には算数や英語を教えてはいけないと法律で定められたのだ。中国の多くの親はできるだけ早く我が子を塾に入れ、英語や算数を学ばせ、受験により、より良い学校に入れたいと思っている。
また、夏休みや冬休みは競って、サマースクールを探し、高額の費用を支払い、勉強漬けにしている。
多くの親たちは問題とは思っていても、まわりがやっているからやらないわけにはいかない。競争に負けたらこの子の人生が終わってしまうと思っているからだ。

そこにメスを入れられるのは政府による法規制しかなく
今回の法改正となったのだが、これにより多くのEduTech企業に逆風が吹いている。早期教育に対応したオンライン英語教育アプリ等が乱立しており、
多くの投資を集め肥大化している。競争も激しいので顧客の囲い込みのため、安くする代わりに多くの前払いを強要している。
今後、サービスを提供できないとなると倒産する会社も出てくるはずで
それは、前払い金が戻ってこないこともあるだろう。

今回の法改正により、どこまで子供と親の負担が減るのかまだわからないが
ここまで法規制しないと変わらない、変われないというのも中国らしいと言える。

筆者の子も中国系のインターナショナルスクールへ行ってるので、宿題はとても多い。これが今後変わっていくのか気になるところであるが、私自身は、概ね賛成である。勉強する習慣をつけることや、好奇心を満たすための勉強をすることは賛成だが、ただただ早く前に進めるような詰め込み教育だけだと、疑問を持ったり思考する時間が無くなってしまうと思う。やはりスポーツや芸術等も重要だし、バランス良くやるのがいいのではと思う。

ライター:中原賢一
KEMBO(上海賢房信息技術有限公司)CEO 董事長 総経理
2000年、ソフトハウス、ITコンサルティング会社でシステムエンジニア。
2003年より中国往来開始、上海でのWEB系システム開発のPMを歴任。
2008年、上海にKEMBO社設立、中国の日系企業を中心にWEBマーケティング、プロモーションを多数実施、現在はデジタルマーケティングコンサルタントとして、クライアントと寄り添い新ブランドの戦略立案から制作・運用までデジタルマーケティング全般をお手伝いする。また、データ分析、AIは再度エンジニアレベルから研究中。日本ディープラーニング協会E資格保持者。
趣味は空手。2児の父。

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